第十五話 ホームシック裏
エイド視点回です
「メメメッメ、メアちゃんがしんじゃうーッ!!!」
「エイドォ~エイドォ~ゥ~!!」
「ティア様だいじょうぶです。だいじょうぶですから! 落ち着ついてください」
この今にも死にそうな顔をして、騒いでいる子供。この方こそ私がご奉仕しているご主人様です。こう見えても年は同じで、小人族ではないのにこの小ささ、今でも驚きですね。
そんな小さなご主人様は、いつの間にか手の掛かる妹のようになってしまい。しかし私より先に一児の母なのですから世の不条理を感じます!
「うぇええええええ~ん」
ゴロゴロゴロゴロ
「エイドォ~! エイドォ~!? エ~イ~ド~ォ~!!!」
名前を何回もお呼びにならないでください。
「うわ~~ん! どうしよう~~!!」
ドッタンバッタン!
たいへんに困った状況ですね。
その原因は目の前の赤ちゃん。
メア様。
今日お目覚めになられてから、トチ狂ったように泣いて、転がって、大騒ぎするからです。……ティア様のほうがうるさいかもしれませんが。
しかし、泣き声は弱々しくとても儚げなので、この状況の異様さが浮き彫りになります。あ~! ベビーベッドに当たります~!?
さすがラルム様のお古。怪我をしないように柔軟性に富んでいますね。反発を利用してさらに速度をあげています。
さあエイド チョム!! 国に仕えるメイド長の名において、メア様の異変の原因を突き止るのよ!
まずは――、
メア様の体力面は心配がなさそうです。もの凄い勢いでゴロゴロしておりますからね。
おしめ交換の時に体を診ましたが、どこかを痛めている様子もありませんでした。奇妙な事にその時はいつも通りに泣かれて、大人しく交換されていたので不思議に思いましたね。
原因は肉体面ではなく、きっと精神的なものでしょう。その事をティア様にお伝えします。
「ティア様、お聞きになってください。お体の方は診たところ健康そのものでした。これは推測なのですがメア様は精神的。――嫌な出来事があったのではないでしょうか?」
「イヤなできごと?」
「思い当たる節はございませんか?」
頭の悪そうな顔をして、う~ん~う~ん~と唸っています。
「う~ん~!? あーーッ!! き、きのうねぇ、メアちゃんがおいしそうにね。こなミルクをのんでいたから~。その~、ないしょでつくってのんじゃった! ……そ、それがげんいんかなぁ?」
あなたはバカですか? バカでしたね。まあそこが可愛いのですが。別に怒りませんから、私の視線からお逃げなにならないでください。まあ、私も興味本位で少し飲んでしまいましたから……これは秘密です♪
「おいしかったですか?」
「あつかった!」
そうですか、さすがティア様! 見当違いの答えありがとうございます。
「……ティア様が作られた粉ミルクは絶対に、絶対に! お与えしないでくださいね。最悪の場合、メア様が火傷しますから、わかりましたか?」
首を縦にブンブンと振っておられます。メア様が関わるとほんとうに聞きわけが良くて助かりますね。
「他にはないですか?」
「う~ん~う~ん~」
口を大きく開け、眉間に指をお当てして考え込まれています。
ティア様が発言されたことはまったく関係なさそうですね。
あれ? ――昨日? 朝起きてからメア様の異変が始まったので、原因が昨日にあるというのは、当たりのような気がします。それも寝る前に決定的な“何か”が起きたのでしょう。思い出すのよ、エイドッ!!!
……
昨日寝る前に「明日はお風呂に入りますよ~」とメア様に申し上げました。
――これね! これだわっ!! 陛下方がお風呂セットをお持ちになってから、メア様の睡眠時間が異様に長くなっていました。
それが終わったと思ったらボーっとする機会が多くなっておられましたね。あれは嫌な現実から目を背けるために不貞寝したり、どう切り抜けようか考えていたのですね!
点と点が繋がりました!
ラルム様はティア様一筋でしたから、きっと私達メイドと一緒にお風呂に入るのが不義理で嫌なのですね! 今のラルム様のお世話をするには裸にならないといけませんから。ティア様を裏切りたくないのですね。純情なんですから~。
どうしましょう? 裸にならずにお世話をする方法を考えるのよエイド!
……
よく考えろエイド!!
ラルム様なら別にご覧になっても構わないのです。そうです! むしろ見せつけて!!!
それに今のラルム様はメア様!! これから先の事を思えば、これは試練として耐えてもらわねば!!! ぐふふ、ラルム様とお風呂、うふふふふ……。
「エイド!? “なにか”わかったの?」
「え?」
私としたことが顔にでていたようですね。ティア様は希望に満ちた眼差しを送ってこられます。ですが、
「申し訳ございません。メア様が駄々をこねているようにお見えしましたから、それが可笑しくて、つい顔にでてしまいました」
「エイドにはこれが、ダダをこねているようにみえるの?」
「はい」
我ながらかなり苦しい言い訳です。メア様はベビーベッドの反発を利用されて、さきほどより速くコロコロ転がっています。生まれてまだ二ヶ月だなんて誰も信じないでしょう。……王族と知れば信じそうですが。
「びぃええええええ~ん」
コロコロコロコロ
泣き声に悲しみが追加された気がしますね。
「きらわれたのかな?」
顔面蒼白でお聞きになっています。嫌われている? 真逆でたいへん好かれていますよ。そう答えられれば良かったのですが、メア様がラルム様だというのはまだ秘密にしたいはず。どう返事をいたしましょう?
「「う~っふぇっ~ぐ~うぇ~~ん」」
クルクルクルクル
泣き虫なティアは泣いてしまわれました。どうしましょう? それにラルム様と綺麗にハモられています。いっそ二人きりでお風呂に向かわせますか? そうすれば解決に……ラルム様が溺れるか、ティア様がのぼせるなどの、ろくな未来しか見えませんね。
やはりいっしょにラルム様とお風呂に、うふふ……おっと思考が戻ってしまいました。こんな事ではラルム様に嫌われてしまいますね!
嫌われる?
ラルム様が転生したことは、私にはバレているのでしたね。だとすれば私がそのまま一緒に入ると――。
未来メア様「私がラルムだと知っていて、お風呂に入ったよね? あの時あんなに嫌がったのに! 近寄らないで!!」
……ラルム様に嫌われるーーうーー!!! ラルム様に嫌われてしまう未来なんて……そんなのダメです!!!
「だいじょうぶぅ? おかおがしんでるよ?」
いつの間にか大粒の涙を流されているティア様が、私を励まそうと顔をお覗きになっています。いったいどんな顔をさらしてしまったのでしょうか。
私が慌てると釣られてティア様もお慌てになってしまいました。
「う~う~えぇ~ん」
グルグルグルグル
「うぇ!!!」
ゴロ スゥ~
体力の限界が訪れたのか、お眠りになりました? ……寝られたのよね? …………急に寝た?
「わあーーー!! メアちゃんがしんだあああぁぁ!!! うわーーん!」
バカティアの全力声がうるさいです。
ラルム様を注意深く診ましたが、気持ちよさそうに寝息を立てられて、親指をお吸いになっていますね。
「疲れてお眠りになっただけですよ」
「ほんとう~~!?」
「はい」
「ウソじゃないよね?」
そんな嘘をついてどんなメリットがあるのですか。ティア様は勢いよくジャンプされてベビーベッドの中にお入りになりました。すぐにラルム様のお顔をご覧になると安心されて涙が引っ込んだみたいです。
しかしすぐに心配そうにラルム様の手を握られようとして――。
悲しい顔をされました。
「ティアはおかあさんしっかくだよね。メアちゃんのおせわはエイドがほとんど。ティアがやってもしっぱいばかり。できることなんて、なんにもない! ……う……うぇ、きっとこんなだからきらわれて――」
ほんとうにラルム様を……。ティア様にとってはメア様でしたね。
ティア様はほんとうにメア様の母親としてがんばって愛しているのですね。……母親の愛、ですか…………。
私がなんとかしましょう!!!
「おしめ交換や、沐浴――新生児のお風呂――だって一人でできるようになられたじゃないですか。誰だって初めは失敗するのです。そこで挫けるか挫けないかがその後を変えるのです。メア様が産まれて変わるとご決心されたのでしょう」
「でもぉ~う~え~」
「メア様に愛情は十分伝わっていますから、だから泣かないで!!」
また大粒の涙を流して、今度は鼻水まで垂らして、世話が焼けますね。私は目線を合わせて、努めて優しく子供に言い聞かせるように元気づけます。
「そんなお顔をされていたら、メア様に嫌われちゃいますよ?」
「キラわれたくない!!! ティアがんばるから……ひぐ、ティア……うぐ、メアちゃんにキラわれないようにがんばるから!!!」
ティア様に意志の光が宿りましたね。
「そうです。その意気です!!!」
「ぐす、でもどうしたらいいの?」
あ~あ~、スカートでお拭きにならないでください。下着が丸見えです! 私は持っていたハンカチでお顔を整えて差し上げます。
「そうですね……ひとまず休憩にしましょうか。次にメア様がお起きになった時に、飛び切りの笑顔をお見せになってください。ティア様の笑顔はみんなを幸せにしてくれますから」
「ふぐ、……わかった」
……
いちおうの策は思いつきました。少々たいへんですが魔導具を使えば、衣服を着たままお風呂に入ることができます。この事をラルム様にお伝えすればだいじょうぶなはずです。私も共にお風呂に入れますからね。
あとはいつも通りのラルム様に戻れば完璧。泣いていた理由なんて、どうでもよくなるでしょう。なんせティア様ですから。
肝心のティア様は……ベビーベッドの下で、今は寝ています! どうしてそのような場所で寝るのか、ちょっとズレていますね。そう思っていたらラルム様がお起きになりました。今の内にお伝えしましょう。
「ラルム様お風呂の件ですが、安心してください。メイドは私だけで服も魔導具でなんとかしますから」
(ナシちゃん、みんなに迷惑かけたんだから、ちゃんと挽回しなさいよ!!)
(わかってるよ)
ラルム様が寝ぼけ眼で私の話をお聞きになると、満面の笑顔を返されました。
これで問題解決。ティア様を起こして差し上げないと。
……
すぐにお起きになるとラルム様の所によじ登られました。
「メアちゃん……」
(お母さん目が真っ赤じゃない!!ナシちゃんほら笑って)
「キャッキャッ」
「おかあさんのことキライじゃないの?」
メア様を不器用にお抱きになって、見つめ合っておられます。
「キャッキャッ」
「メアちゃん! ありがとう!!」
「キャぐぅぇ~」
思った通りになりましたね。ラルム様はかなり汗をかかれたみたいなので、このままお風呂に行きましょう。ティア様にお伝えしてお風呂の準備をします。
(ミシッっていった! いま俺の体からミシッて!! 脂汗が止まらない!!!)
(はやく神技≪無敵≫使いなさいよ)
…………
……
城のお風呂場は男女別々で、王族の方々とそれ以外の人々が使う計四つ在ります。私達は王族が使う女湯に来ました。私達以外が使っていないか、確認だけして入ることにします。
「メア様? お風呂場に着きましたよ」
イベントクリア報酬
ゲットスキル
エイド
【暴走】 ⇒ 【暴走+】
とんだ見当違いだよ
補正 攻撃力+1 <new>クリティカル時ダメージ15%UP
ティア
【母親】 ⇒ 【母親+】
少しずつでも頑張っています
補正 <new>特定の対象がピンチの時全能力+200%UP
創作日記:すみません愚痴です。
今回は読み飛ばしてくれていいです。
〈あまりにも長いので未来からの干渉により要約〉
今の時代の流れてきに地の文が短くなってるよね。
俺の小説の地の文どうしよう。
追記 決ーめた。
未来日記:地の文について思う事。
そもそもなぜ地の文が長くなるのか? 作者歴十ヶ月の俺が考えるに、読者に伝える能力がないからです。あとは、読者を信じられないからですね。
今と昔では娯楽の桁が違います。昔の文豪達が心血を注いだ描写も今の時代では、格落ちです。映像技術が進歩しすぎて、本来、無であったものまで表現されてしまい『文学の必要性が薄れました』
百聞は一見に如かずの通り、見る描写は普通に逆立ちしても映像作品には敵いません。小説に残された武器はかなり少ないです。愚かなことにその数少ない武器をも捨ててしまう作品が多いですね。映像化(一般的な挿絵含む)した商品様はもれなく、俺にとってゴミです。まあ、元々『作品』としてだしてないでしょうからかまわないよね。
しかし、映像作品に敵う方法があります。絶対に映像化しない事ですね。簡単な例えをだします。
あなたの目の前には理想の人物がいます。
は!?と思われましたか? これをほとんどの人が満足する映像化は今の技術では不可能です。でも、文学では簡単に表現できます。それはなぜか、答えは簡単です。読者と一緒に理想の世界を創れるからです。読者一人一人が知っている最高の映像を使わしてもらうのです。この事を念頭に『作品』を創作すれば、アニメ、漫画、ドラマ、ゲームに負けません。しなければただの劣化品、しょせん『原作』、『作品』にはなりえないです。
どうか読者を信じてくれる『作品』が増えるのを願っています。……地の文長いな(しょぼん)




