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『公爵令嬢様、距離感が近すぎます! 〜伯爵子息は今日もツッコミが追いつかない〜』  作者: 伊佐波瑞樹


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番外編 第3話 お兄様、初めてのお茶会なのに家族全員が落ち着きません

番外編 第3話 お兄様、初めてのお茶会なのに家族全員が落ち着きません


 皆さん、こんにちは!!


 アルフレッド・シェルザートです。


 俺の十五歳の誕生日が終わり。


 リリスからもらった、


『アルフレッド様の好きなところ』


 と書かれた三十頁の冊子を。


 毎晩、一頁ずつ読み返すようになってから。


 五日が経った。


 最初の夜。


 一頁目から三十頁目まで。


 全部。


 続けて読んだ。


 翌朝。


 ライズに、


「一頁ずつ大切に読むつもりでは?」


 と聞かれ。


「最初の一回は全体確認です」


 と答えた。


 自分でも。


 かなり苦しい言い訳だと思う。


 だが。


 三十頁目の、


『生まれてきてくださったところ』


 という言葉が。


 最後にあると知ってしまっているのだ。


 途中で止める方が難しい。


 だから。


 初日は全部読んだ。


 二日目も。


 一頁目から全部読んだ。


 三日目。


 ライズから、


「毎夜、全体確認を?」


 と聞かれた。


「はい」


「全体確認に、毎回四十分ほど?」


「文字の間も読みます」


「間を?」


「気持ちです」


「左様でございますか」


 ライズは。


 それ以上。


 言わなかった。


 記録帳には。


 たぶん。


 何か書かれている。


 俺も。


 リリスの好きなところを。


 一日一つずつ。


 書いている。


 一日目。


『自分で選んだ言葉で、俺を祝ってくれたところ』


 二日目。


『秘密にするのが苦しくなった時、秘密の存在だけを話してくれたところ』


 三日目。


『大きすぎる菓子を、本当に一人分として考えていたところ』


 これは。


 好きなところなのか。


 ツッコミの対象なのか。


 少し迷った。


 だが。


 俺の誕生日を。


 大きな気持ちで祝おうとしてくれた結果。


 菓子まで物理的に大きくなった。


 そう考えると。


 リリスらしい。


 四日目。


『俺が嬉しくない時は、無理に喜ばなくてよいと言ってくれたところ』


 五日目。


 今朝。


『自分の好きな人だけではなく、その人の家族や友人も大切にしようとするところ』


 書いた。


 まだ。


 五つ。


 三十日までは。


 長い。


 でも。


 急がない。


 一日一つ。


 見つける。


 すでに。


 三十個以上。


 思いついている気がする。


 だが。


 今。


 全部書かない。


 今日のリリスを見て。


 今日の一つを。


 書く。


 それでいい。


 そして。


 本日。


 俺たちには。


 かなり気になる予定があった。


 ただし。


 俺たち自身の予定ではない。


 レオナルド・フルーラ先輩。


 リリスの兄。


 ガロウ公爵家の嫡男。


 妹を大切にしすぎる、冷静なようで冷静ではない兄。


 そのレオナルド先輩が。


 騎士団関係者の令嬢と。


 初めて。


 正式に。


 お茶を飲む日である。


 家族同席。


 正確には。


 両家の母親が同席。


 本人同士。


 そして。


 必要な従者。


 場所は。


 フルーラ公爵家の離れにある小応接室。


 青い薔薇の温室ではない。


 夜会でもない。


 見合いではない。


 婚約の話でもない。


 ただ。


 以前から面識のある二人が。


 もう少し話してみたい。


 そう思い。


 両家の母親が席を整えた。


 それだけ。


 それだけなのだが。


 フルーラ公爵家では。


 朝から。


 大変なことになっているらしい。


 発端は。


 昨夜。


 リリスから届いた短い手紙だった。


『アル。


 明日は、お兄様のお茶会です。


 お兄様は落ち着いていらっしゃいます。


 お父様は落ち着いていらっしゃいません。


 お母様は札を十四枚用意されました。


 私は、見守りたい気持ちがあります。


 ですが、家族のお茶会ではなく、お兄様のお時間です。


 ですので、学園でアルと一緒に、お兄様が楽しい時間を過ごせるよう願いたいです。


 ただ。


 お父様が別室へいる予定だと聞きました。


 別室です。


 同じ屋敷です。


 少し心配です。


 リリス』


 別室。


 同じ屋敷。


 ガロウ公爵。


 危険。


 かなり。


 しかし。


 俺たちが。


 止めに行くのも違う。


 レオナルド先輩の茶会。


 本人たちの時間。


 家族の不安へ。


 俺とリリスが入りすぎる。


 それも。


 距離感がおかしい。


 だから。


 俺たちは。


 学園へ行く。


 通常授業。


 いつも通り。


 ただし。


 正門で。


 リリスの顔を見るまでは。


 俺も。


 少し。


 いや。


 かなり。


 気になっていた。


 朝。


 食堂。


 父上と母上。


 俺。


 いつもの朝食。


 スープ。


 パン。


 卵。


 果物。


 だが。


 母上の手元には。


 フルーラ家から届いた書状。


「おはようございます」


「おはよう、アル」


「おはよう」


「それは?」


 俺が聞く。


「セレスティア様から」


「お茶会について?」


「ええ」


 母上は。


 少し笑う。


「ガロウ公爵が」


「はい」


「昨夜から、離れの周辺を五回確認したそうよ」


「五回」


「窓」


「はい」


「扉」


「はい」


「庭」


「はい」


「茶器」


「はい」


「相手方が座る椅子」


「なぜ椅子を?」


「距離が遠すぎないか」


「はい」


「近すぎないか」


「はい」


「座り心地は」


「はい」


「逃げやすい位置か」


「何から逃げるんですか!?」


 朝の食堂へ。


 俺の声。


 母上が笑う。


 父上も。


 新聞の向こうで。


 少し肩を揺らしている。


「騎士団長として」


「お茶会です!!」


「万一」


「何の万一ですか」


「相手の令嬢が」


 母上。


 書状を読み直す。


「レオナルド様を連れ去る可能性」


「ありません!!」


「ガロウ公爵の中では」


「はい」


「娘だけでなく、息子も連れ去られる可能性があるらしいわ」


「息子は成人に近い年齢です」


「まだ学生だ」


 父上。


「父上まで」


「ガロウ殿の気持ちを説明しただけだ」


「はい」


 母上が。


 書状の続きを。


「今朝の携行札は七枚」


「一週間の禁止期間中でも、既存札は」


「使えるそうよ」


「何を?」


 母上が。


 一枚ずつ読む。


『息子の茶会も駆け落ちではない』


『相手令嬢の家柄を騎士団式に調査しない』


『会話が途切れても父が入らない』


『別室の扉へ耳を当てない』


『窓の外を偶然通らない』


『茶会終了時刻まで廊下を往復しない』


『息子が幸せそうなら、それでよい』


 最後。


 大切。


 だが。


 前の六枚。


 全部。


 必要。


「別室の扉へ耳を当てない」


 俺。


「すでに考えていますね」


「昨夜、一度」


「まだ茶会前です!!」


「響きを確認したそうよ」


「何の?」


「扉越しに会話が聞こえるか」


「聞こうとしているじゃないですか!!」


 父上が。


 新聞を畳む。


「アル」


「はい」


「今日」


「はい」


「お前は何をする」


「学園へ」


「はい」


「通常授業」


「はい」


「リリスと」


「はい」


「レオナルド先輩が楽しい時間を過ごせるよう願います」


「それだけか」


 一拍。


「はい」


「フルーラ家へは行きません」


「よい」


「連絡は?」


「本人から話したい範囲で」


「よい」


 母上も。


 頷く。


「気になるでしょうけれど」


「はい」


「誰かの恋を」


「はい」


「応援することと」


「はい」


「全部知ろうとすることは」


「はい」


「違うから」


「はい」


 その通り。


 レオナルド先輩は。


 リリスの兄。


 俺にとって。


 大切な人。


 だが。


 今日。


 どんな話をするか。


 相手をどう思うか。


 俺たちへ。


 全部。


 公開する必要はない。


「母上は?」


 俺が聞く。


「何が?」


「気になりませんか」


「気になるわ」


「はい」


「相手の令嬢も」


「はい」


「レオナルド様も」


「はい」


「幸せな時間ならいいと思う」


「はい」


「でも」


 母上は。


 花茶を一口。


「本人から話すまで待つ」


「はい」


「それに」


「はい」


「私には」


 父上を見る。


「父上とのお茶があるもの」


 父上が。


 一瞬。


 目を上げる。


「今日?」


「夕方」


「聞いていない」


「今、言ったわ」


「はい」


「予定は?」


「空けてください」


「分かった」


 即答。


 俺は。


 少し笑う。


「父上も」


「何だ」


「楽しみですか」


 一拍。


「ああ」


 短い。


 母上の目が。


 少し潤む。


「褒められた後も?」


 俺が言う。


「朝食は続く」


 父上。


 パンを食べる。


 母上。


 笑う。


 誰かの恋。


 誰かの茶会。


 それだけを見て。


 自分たちの時間を忘れない。


 大切。


 学園へ。


 正門。


 リリス。


 いつもの位置。


 制服。


 青い薔薇。


 だが。


 落ち着かない。


 右。


 左。


 門。


 時計塔。


 馬車。


 誰かを。


 待っているように。


 俺の馬車が止まる。


 リリス。


 俺を見つける。


 安心した顔。


「ご機嫌よう、リリス」


「ご機嫌よう、アル」


「足の状態を聞いても?」


「はい」


「痛みは?」


「ありません」


「違和感は?」


「ありません」


「疲れは?」


「少し」


「睡眠は?」


「途中で四度」


「多いですね」


「お兄様のお茶会が」


「はい」


「気になりました」


「はい」


「時計は?」


「二度」


「公爵閣下は?」


 リリスが。


 少し。


 遠い目。


「眠っていないかもしれません」


「はい」


「夜中に」


「はい」


「離れの周りを」


「五回」


「アルも?」


「母上から」


「はい」


「窓を?」


「はい」


「扉を?」


「はい」


「椅子を?」


「はい」


「お父様」


 リリス。


 顔を。


 両手で。


 少し覆う。


「お兄様は?」


「朝食を」


「はい」


「いつも通り」


「はい」


「召し上がりました」


「はい」


「体調は?」


「問題なし」


「はい」


「楽しみですかと」


「聞いた?」


「一度だけ」


「答えは?」


 リリス。


 俺を見る。


「少し」


「はい」


「楽しみだと」


 目。


 潤む。


「よかったです」


「はい」


「それ以上は?」


「聞きませんでした」


「はい」


「本当は」


「はい」


「何を着るのか」


「はい」


「どの菓子を出すのか」


「はい」


「何を話すのか」


「はい」


「相手の方のお名前を呼ぶのか」


「はい」


「次のお約束をするのか」


「はい」


「全部」


「はい」


「聞きたかったです」


 正直。


「でも」


「はい」


「お兄様のお時間です」


「はい」


「聞かずに」


「はい」


「送り出しました」


 胸。


 温かい。


「よくできました」


 言って。


 一拍。


「評価では」


「はい」


「嬉しいです」


 リリスの涙。


 一粒。


「受け取ります」


「はい」


 そこへ。


 レオナルド先輩。


 いつもの。


 少し離れた場所。


 今日は。


 制服。


 茶会は。


 放課後。


 まだ。


 学園。


 本人。


 普通。


 だが。


 髪。


 いつもより。


 少し。


 整っている気がする。


 制服の襟。


 完璧。


 靴。


 磨かれている。


「おはようございます」


 俺。


「ご機嫌よう」


 リリス。


「はい」


 レオナルド先輩。


 短い。


 いつもの。


「足は?」


 先輩が。


 先に。


 リリスへ。


「問題ありません」


「アルフレッド」


「問題なしです」


「よい」


 そして。


 沈黙。


 リリス。


 聞きたい。


 でも。


 待つ。


 俺も。


 聞かない。


 レオナルド先輩が。


 俺たちを見る。


「何だ」


「何も」


 俺。


「はい」


 リリス。


「見すぎです」


 先輩。


「はい」


「すみません」


 リリス。


「茶会は」


 レオナルド先輩。


 自分から。


 言う。


「放課後」


「はい」


「母上と」


「はい」


「相手方の母君」


「はい」


「四人で」


「はい」


「話す」


「はい」


「父上は」


「別室」


「はい」


「扉から」


「三つ離れた部屋」


「よかった」


 俺。


「当初は隣室だった」


「危険すぎます」


「母上が移した」


「はい」


「窓は?」


「庭側が違う」


「はい」


「廊下は?」


「使用人がいる」


「はい」


「父上は」


「はい」


「自分の席で書類を読む」


「札は?」


「七枚」


「はい」


 レオナルド先輩。


 少し。


 息を吐く。


「リリス」


「はい」


「聞きたいことは?」


 一度。


 本人から。


 許可。


 リリス。


 少し。


 驚く。


「はい」


「一つだけ」


「何だ」


「お兄様」


「はい」


「今日」


「はい」


「楽しみですか?」


 先ほど。


 朝。


 聞いた。


 それでも。


 今。


 学園。


 もう一度。


 確認?


 だが。


 レオナルド先輩は。


 嫌な顔をしない。


 少し。


 考える。


「はい」


「朝より?」


「少し」


 リリスの目。


 大きく。


「増えましたか?」


「学園へ来て」


「はい」


「いつも通り過ごして」


「はい」


「少し落ち着いた」


「はい」


「だから」


「はい」


「楽しみだ」


 リリス。


 涙。


「よかったです」


「一度だけだ」


「はい」


「受け取りました」


 それ以上。


 聞かない。


 レオナルド先輩。


 俺を見る。


「アルフレッド」


「はい」


「何か?」


「俺も一つだけ」


「はい」


「緊張していますか?」


 先輩。


 少し。


 口元。


 動く。


「はい」


「何が?」


「会話が」


「はい」


「続かなかった時」


「はい」


「相手に退屈だと思われること」


 強い。


 レオナルド先輩。


 静か。


 完璧。


 何でも。


 できる。


 そう見える。


 だが。


 緊張。


 ある。


「会話が止まっても」


 俺が。


 慎重に。


「はい」


「すぐに失敗ではありません」


「はい」


「相手も」


「はい」


「考えているかもしれません」


「はい」


「茶を飲む時間も」


「はい」


「同じ時間です」


「はい」


「それでも」


「はい」


「困ったら」


「どうする」


「分からないと」


 俺。


「言ってよいと思います」


 レオナルド先輩。


 聞く。


「何が?」


「何を話せばよいか」


「はい」


「緊張していること」


「はい」


「楽しいけれど」


「はい」


「言葉が追いつかないこと」


 自分。


 リリス。


 俺たち。


 そう。


 してきた。


「相手へ」


「はい」


「緊張していると」


「はい」


「言うのか」


「必要なら」


「はい」


「俺なら」


「はい」


「言います」


 レオナルド先輩。


 少し。


 目を伏せる。


「そうか」


 短い。


「参考にする」


「はい」


「でも」


 俺。


「はい」


「先輩の言葉で」


「分かっている」


「はい」


 リリス。


 兄を見る。


 嬉しそう。


 でも。


 何も。


 追加しない。


「では」


 レオナルド先輩。


「授業へ」


「はい」


 歩く。


 三人。


 校舎へ。


 リリスと俺。


 少し後ろ。


「アル」


「はい」


「お兄様」


「はい」


「緊張していらっしゃいました」


「はい」


「でも」


「はい」


「言ってくださいました」


「はい」


「大切な宝物です」


「レオナルド先輩の言葉です」


「はい」


「家族の喜びとして」


「はい」


「持ち帰ります」


 教室。


 友人たち。


 全員。


 レオナルド先輩のお茶会を。


 知っている。


 なぜ。


 どこから。


 たぶん。


 ユリウス。


「今日だね」


「はい」


 リリス。


「お兄様の」


「はい」


「初お茶会」


「お茶会自体は初めてではありません」


 俺。


「令嬢と」


「家族同席です」


「でも」


 ユリウス。


「少し特別」


「はい」


 エレナ嬢。


 リリスを見る。


「心配ですか?」


「はい」


「何が?」


「お兄様が」


「はい」


「楽しくなかったら」


「はい」


「相手の方が」


「はい」


「嫌だったら」


「はい」


「お父様が」


「それが一番心配では?」


 俺。


「はい」


 笑い。


 リリスも。


 少し笑う。


「でも」


 クラリス嬢。


「はい」


「お兄様は」


「はい」


「ご自分で行きたいと?」


「はい」


「相手の方も?」


「はい」


「では」


「はい」


「まず」


「はい」


「お二人の選んだ時間です」


 リリス。


 頷く。


「はい」


「楽しかったかどうかは」


「はい」


「後で」


「はい」


「ご本人たちが」


「はい」


「受け取ることです」


「はい」


 ニールも。


「僕」


「はい」


「王城で会った方と」


「はい」


「書状を続けています」


「はい」


「最初」


「はい」


「返事が遅いと」


「はい」


「嫌われたのかと思いました」


「はい」


「でも」


「はい」


「三日後に」


「はい」


「丁寧な返事が」


「はい」


「届きました」


「はい」


「相手の時間は」


「はい」


「僕には分かりません」


「はい」


「待つことも」


「はい」


「関係の一つだと」


 リリスの目。


 潤む。


「待ちます」


「はい」


「お兄様から」


「はい」


「話したい時に」


 先生。


 入る。


「本日は」


「はい」


「皆さん、ずいぶんと他人の茶会へ意識が向いていますね」


 教室。


 少し。


 静か。


「授業は?」


「通常通りです」


「はい」


「ただし」


 先生。


 黒板。


『応援と介入の違い』


 書く。


「ちょうどよいので」


「はい」


「本日の話題へします」


 授業。


 礼法と対人距離。


 先生。


 黒板。


「誰かを応援するとは」


「はい」


「何でしょう」


 ユリウス。


 手。


「成功してほしいと思う」


「はい」


 クラリス嬢。


「本人が望む時、支えること」


「はい」


 ニール。


「話を聞くこと」


「はい」


 エレナ嬢。


「本人の選択を尊重すること」


「はい」


 リリス。


 少し。


 考える。


「見守ること」


「はい」


「では」


 先生。


「介入とは?」


 俺。


「本人が頼んでいないことを」


「はい」


「自分の不安だけで」


「はい」


「決めること」


「はい」


「常に悪いですか?」


「危険な時は必要です」


「はい」


「本人が判断できない時も」


「はい」


「では」


「はい」


「今日のような茶会は?」


 全員。


「見守る」


「はい」


「応援する」


「はい」


「本人から話すまで待つ」


「はい」


 先生。


 頷く。


「誰かの恋は」


「はい」


「周囲にとっても嬉しいものです」


「はい」


「心配にもなります」


「はい」


「ですが」


「はい」


「本人たちより先に」


「はい」


「物語を作らない」


 強い。


 ガロウ公爵。


 結婚式。


 リリス。


 俺。


 皆。


「初めてのお茶会が」


「はい」


「初恋とは限らない」


「はい」


「恋でない可能性も」


「はい」


「次がない可能性も」


「はい」


「続く可能性も」


「はい」


「それは」


「はい」


「今日の二人が決めることです」


「はい」


 リリス。


 静かに。


 頷く。


「分かりました」


「はい」


「お兄様の初恋だと」


「はい」


「決めません」


「はい」


「楽しい時間なら」


「はい」


「嬉しいです」


「よろしい」


 授業。


 続く。


 算術。


 歴史。


 魔法。


 だが。


 時間。


 進む。


 昼。


 放課後。


 近づく。


 俺たちは。


 時計を。


 見すぎない。


 リリスは。


 途中で。


 一度。


 窓を見る。


「今頃」


 言いかける。


 止まる。


「まだ授業です」


 自分で。


「はい」


 俺。


「放課後です」


「はい」


「今は?」


「昼食です」


「はい」


 スープ。


 パン。


 肉。


 野菜。


「アル」


「はい」


「食べられていますか?」


「はい。スープ、パン、肉、野菜」


「受け取りました」


「リリスは?」


「スープ、パン、野菜、肉を少し」


「菓子は?」


「今日のお兄様のお茶会に」


「リリスは参加しません」


「はい」


「でも」


「はい」


「同じ菓子を」


「食堂へ頼んだ?」


「いいえ」


「よかった」


「少し考えました」


「考えたんですね」


「はい」


 笑い。


 午後。


 鐘。


 放課後。


 レオナルド先輩。


 学園を。


 先に出る。


 制服ではなく。


 屋敷へ戻り。


 着替え。


 茶会。


 俺たち。


 正門。


 見送る。


 だが。


 馬車へ。


 集まりすぎない。


 レオナルド先輩。


 リリス。


 一度。


「お兄様」


「はい」


「楽しんでください」


「はい」


「無理に?」


「しない」


「はい」


「緊張したら?」


「必要なら言う」


「はい」


「お父様が?」


「母上が止める」


「はい」


「では」


 リリス。


 笑う。


「行ってらっしゃいませ」


「行ってくる」


 短い。


 馬車。


 乗る。


 動く。


 リリス。


 見送る。


 だが。


 見えなくなるまで。


 追わない。


「アル」


「はい」


「今」


「はい」


「ついて行きたいです」


「はい」


「でも」


「はい」


「行きません」


「はい」


「一緒に」


「はい」


「学園の庭へ?」


 俺が聞く。


 リリス。


 少し驚く。


「はい」


「お茶を?」


「俺たちの」


「はい」


「普通のお茶です」


「はい」


「お兄様のお茶会を再現しない」


「はい」


「想像しない」


「はい」


「俺たちの放課後を」


「はい」


「過ごします」


 リリスの目。


 潤む。


「喜んで」


 クラリス嬢たちも。


 一緒。


 東庭園。


 小東屋。


 前の茶会ほど。


 正式ではない。


 食堂で。


 茶。


 小さな焼き菓子。


 六人。


 友人。


 座る。


「レオナルド先輩へ」


 ユリウス。


 カップを。


 上げようとする。


「本人がいません」


 俺。


「応援」


「ここで乾杯されても」


「では」


 クラリス嬢。


「今日、私たちも集まれたことに」


「はい」


 同じ。


 いつもの。


 飲む。


 話す。


 最初。


 レオナルド先輩の話。


 少し。


「お兄様は」


 リリス。


「はい」


「甘いものが」


「はい」


「お好きです」


「そうなの?」


 ユリウス。


「少し」


「何が?」


「蜂蜜の焼き菓子」


「意外」


「なぜですか」


「厳しい顔で甘い」


「顔と菓子は関係ありません」


 俺。


「相手の方は」


 エレナ嬢。


「ご存じなのですか?」


「夜会で」


「はい」


「一度」


「はい」


「お話ししました」


 リリス。


 言える範囲。


「穏やかな方でした」


「はい」


「お兄様へ」


「はい」


「無理に質問を続けず」


「はい」


「庭園の話を」


「はい」


「されていました」


「はい」


「お兄様も」


「はい」


「楽しそうでした」


 それ以上。


 相手の名前。


 家。


 性格。


 全部。


 言わない。


 守る。


「続くとよいですね」


 ニール。


 リリス。


 少し。


 考える。


「はい」


「でも」


「はい」


「今日だけでも」


「はい」


「楽しい時間なら」


「はい」


「それでよいです」


 成長。


 未来。


 決めない。


 俺。


 胸。


 温かい。


「リリス」


「はい」


「今日の好きなところが」


 言いかける。


 止まる。


 冊子。


 三十日。


 秘密。


 今。


 言わない。


「何ですか?」


「秘密です」


 リリスの目。


 大きく。


「私へ?」


「はい」


「お誕生日?」


「違います」


「何の?」


「三十日後に」


 リリス。


 口元。


 両手。


「アル」


「はい」


「私の好きなところ?」


 分かった。


「一度だけ聞く」


「はい」


「秘密です」


 リリス。


 泣く。


「まだ何も」


「はい」


「いただいていません」


「はい」


「でも」


「はい」


「嬉しいです」


「三十日後です」


「はい」


「急ぎません」


「はい」


「でも」


 笑う。


「楽しみにしています」


 皆。


 温かく。


 見る。


 ユリウス。


「僕の好きなところも?」


「書きません」


「即答」


「はい」


 笑い。


 時間。


 進む。


 日が。


 少し。


 低くなる。


 レオナルド先輩の茶会。


 今。


 始まっている。


 あるいは。


 もう。


 会話。


 続く。


 でも。


 俺たちは。


 時計。


 見ない。


 リリス。


 一度。


 懐中時計塔を見る。


 戻る。


「待てています」


 クラリス嬢。


 リリス。


 微笑む。


「はい」


「少し」


「はい」


「苦しいです」


「はい」


「でも」


「はい」


「お兄様の時間です」


「はい」


 沈黙。


 茶。


 風。


 友人。


 待つ。


 それも。


 応援。


 一方。


 フルーラ公爵家。


 俺たちは。


 見ていない。


 後から。


 レオナルド先輩が。


 話したい範囲で。


 知る。


 だが。


 後で聞いた話を。


 先に少しだけ。


 言うなら。


 ガロウ公爵は。


 別室で。


 最初の二十分。


 きちんと。


 書類を読んでいた。


 七枚の札。


 机。


 一枚目。


『息子の茶会も駆け落ちではない』


 読んだ。


 二枚目。


『会話が途切れても父が入らない』


 読んだ。


 三枚目。


『別室の扉へ耳を当てない』


 読んだ。


 そして。


 二十一分目。


 廊下へ。


 出ようとした。


 理由。


 茶を。


 取りに。


 使用人が。


 室内に。


 用意していた。


 公爵。


 戻る。


 二十八分目。


 窓へ。


 近づいた。


 外を。


 見るだけ。


 窓の向こう。


 離れの庭。


 応接室の窓とは。


 方向が違う。


 見えない。


 公爵。


 戻る。


 三十五分目。


 レオナルド先輩の笑い声が。


 聞こえた気がした。


 実際。


 聞こえなかった。


 別室。


 三部屋。


 離れている。


 公爵の想像。


 しかし。


 その想像だけで。


 目が潤み。


 ハンカチ。


 三枚。


 セレスティア夫人が。


 途中。


 様子を見に来た時。


 公爵は。


 机で。


 背筋を伸ばし。


 札を。


 両手に。


 持っていた。


「あなた」


「はい」


「廊下へ?」


「一度」


「なぜ」


「茶を」


「あります」


「はい」


「窓へ?」


「一度」


「なぜ」


「外を」


「見えません」


「はい」


「耳を?」


「当てていない」


「本当に?」


「一度だけ聞く」


「はい」


「本当に」


 セレスティア夫人。


 少し。


 微笑む。


「よく待てています」


 公爵。


 目。


 潤む。


「褒められた後も?」


「茶会は続いています」


「はい」


「あなたの書類も」


「はい」


 夫人。


 戻る。


 ガロウ公爵。


 札。


 最後。


『息子が幸せそうなら、それでよい』


 見る。


 待つ。


 実際の茶会。


 レオナルド先輩。


 令嬢。


 両家の母親。


 最初。


 礼。


 挨拶。


 緊張。


 茶。


 会話。


 庭園。


 騎士団。


 学園。


 令嬢が。


 レオナルド先輩へ。


「緊張されていますか?」


 と聞いた。


 先輩。


 少し。


 止まる。


「はい」


 答えた。


「私もです」


 令嬢。


 笑う。


「何を話せばよいか」


 先輩。


「少し迷っています」


「では」


 令嬢。


 窓の外。


「迷っていることから」


「はい」


「話しませんか?」


 沈黙。


 その後。


 二人。


 少し。


 笑う。


 レオナルド先輩。


 蜂蜜の焼き菓子。


 好き。


 令嬢も。


 好き。


 庭園。


 青い薔薇ではなく。


 白い小花。


 好き。


 騎士団の話。


 家族。


 兄弟。


 話せる範囲。


 ゆっくり。


 会話。


 途切れる。


 茶を飲む。


 沈黙。


 だが。


 苦しくない。


 次。


 相手。


「先ほどの沈黙は」


「はい」


「退屈でしたか?」


 レオナルド先輩。


 一度。


 聞く。


 令嬢。


 少し驚く。


「いいえ」


「はい」


「落ち着きました」


「はい」


「私も」


「はい」


「言葉を選んでいました」


「はい」


「次に」


「はい」


「お聞きしたいことができました」


「何でしょう」


「妹君のお話を」


 レオナルド先輩。


 止まる。


 妹。


 リリス。


 警戒?


 だが。


 令嬢。


 続ける。


「夜会で」


「はい」


「深い青のドレスが」


「はい」


「とても素敵でした」


「はい」


「ご本人が」


「はい」


「自分で似合うと仰ったと」


「はい」


「母から聞きました」


「はい」


「私も」


 令嬢。


 少し。


 目を伏せる。


「自分で選ぶことが」


「はい」


「苦手です」


「はい」


「だから」


「はい」


「妹君のお話を」


「はい」


「いつか」


「はい」


「ご本人からも」


「はい」


「聞いてみたいと思いました」


 レオナルド先輩。


 妹。


 大切。


 相手が。


 興味。


 だが。


 勝手に。


 会わせる?


「リリスが」


「はい」


「望むなら」


「はい」


「機会を」


「ありがとうございます」


 令嬢。


 笑う。


 その笑顔を見て。


 レオナルド先輩も。


 少し。


 笑う。


 それが。


 ガロウ公爵には。


 見えない。


 でも。


 茶会は。


 続いた。


 予定。


 一時間。


 終了。


 母親たち。


 少し。


 席を離し。


 本人同士。


 最後。


「今日は」


 令嬢。


「ありがとうございました」


「こちらこそ」


「楽しかったです」


 レオナルド先輩。


 すぐ。


 答えられた。


「私も」


「はい」


「よろしければ」


 先輩。


 少し。


 止まる。


 緊張。


 でも。


「また」


「はい」


「お茶を」


 令嬢の目。


 少し。


 大きく。


「喜んで」


 それだけ。


 次。


 約束。


 日程。


 今。


 決めない。


 家族と。


 相談。


 本人たち。


 また。


 茶会。


 終了。


 レオナルド先輩。


 別室。


 父。


 ガロウ公爵。


 立っている。


 書類。


 ほぼ。


 進んでいない。


 だが。


 廊下へ。


 迎えに。


 出ない。


 部屋。


 待つ。


 レオナルド先輩が。


 自分から。


 来る。


「父上」


「はい」


「終わった」


「はい」


 公爵。


 聞きたい。


 全部。


 顔。


 出ている。


 だが。


 札。


『息子が幸せそうなら、それでよい』


 見る。


「楽しかったか」


 一度。


 レオナルド先輩。


 少し。


 笑う。


「はい」


 ガロウ公爵の目。


 潤む。


「そうか」


「はい」


「また」


「はい」


「会いたいと」


「はい」


「思った」


 公爵。


 完全に。


 泣く。


 両腕。


 広げかける。


 札。


『息子の話も尋問しない』


 違う。


 抱擁札。


 今日はない。


 手。


 止まる。


「父上」


「はい」


「抱きしめたいのか」


 先輩。


 一度。


 聞く。


 公爵。


 正直。


「はい」


「短く」


「よいのか」


「はい」


 父。


 息子。


 抱擁。


 大きな父。


 成長した息子。


 短く。


 公爵。


 泣く。


「近い」


 レオナルド先輩。


「はい」


「嫌か」


「嫌ではない」


「はい」


「そろそろ」


「はい」


 離れる。


 一回分。


 ガロウ公爵。


 息子の初めての茶会。


 見ていない。


 全部。


 知らない。


 だが。


 息子の、


『楽しかった』


 だけ。


 受け取る。


 そして。


 学園。


 俺たち。


 東庭園。


 夕方。


 茶会。


 終わる。


 正門。


 迎え。


 フルーラ家の馬車。


 レオナルド先輩。


 もう。


 戻っている?


 いや。


 茶会。


 学園より。


 少し後。


 今日は。


 別の馬車。


 リリス。


 帰宅。


 俺。


 見送る。


「アル」


「はい」


「お兄様」


「はい」


「もう終わったでしょうか」


「たぶん」


「はい」


「楽しかったでしょうか」


「本人から」


「はい」


「聞きましょう」


「はい」


「一度だけ」


「はい」


 馬車。


 リリス。


 乗る。


「また明日」


「また明日、リリス」


 帰宅。


 夕食。


 父上。


 母上。


 母上の茶。


 父上と。


 どうだった?


「楽しかったわ」


「はい」


「父上は?」


「ああ」


「何を?」


「お前の誕生日の話」


「まだ?」


「はい」


「母上が」


「はい」


「幼い頃の話を」


「はい」


「かなり」


「聞きたくありません」


「もう話した」


「はい」


 家族。


 笑う。


 そして。


 夜。


 フルーラ家から。


 三通。


 いつもの。


 一通目。


『アルフレッド殿。レオナルドの茶会が終わった。父は別室で待った。廊下へ一度出たが、茶を取りに行こうとしただけだ。窓へも一度近づいたが、別方向だった。耳は当てていない。息子は楽しかったと言った。また会いたいと思ったらしい。父も嬉しい。短く抱きしめた。聞いた。息子も許した。次の茶会があるかもしれない。父は同席しない。たぶん。 ガロウ』


 二通目。


『茶会は楽しかった。会話が止まった時、緊張していると伝えた。相手も同じだと答えた。沈黙は失敗ではなかった。また会いたいと伝えた。相手も了承した。これ以上は私たちの話だ。父上は別室で概ね待てた。廊下へ一度、窓へ一度。合格とは言い難いが、乱入はなかった。 レオナルド』


 三通目。


『アルフレッド様。本日、レオナルドは穏やかな時間を過ごすことができました。お相手の方とも、またお会いしたいと本人の言葉で伝えられたようです。夫は別室で待機し、扉へ耳を当てず、窓から覗かず、茶会へ入らずに終えることができました。途中、廊下へ一度、窓へ一度近づきましたが、自分で戻っております。大きな進歩です。リリスは兄の話を一度だけ聞き、その後は本人の話したい範囲を受け取りました。継続が大切です。 セレスティア』


 俺。


 二通目。


 もう一度。


 読む。


『会話が止まった時、緊張していると伝えた』


 レオナルド先輩。


 言えた。


 沈黙。


 失敗ではない。


 また。


 会いたい。


 自分から。


 伝えた。


 胸。


 温かい。


「若様」


 ライズ。


「何だ」


「本日のハンカチ使用数は」


「聞く」


「アマリリス様十四枚」


「兄の茶会」


「兄上様緊張共有涙」


「はい」


「待つ努力涙」


「はい」


「茶会成功報告涙」


「はい」


「また会いたい確認涙」


「はい」


「レオナルド様は」


「使った?」


「三枚」


「どこで?」


「緊張を伝えられた後」


「はい」


「相手方から再会を了承された際」


「はい」


「父上との抱擁」


「はい」


「公爵は?」


「三十八枚」


「多い」


「別室待機不安涙」


「はい」


「想像上の笑い声感動涙」


「聞こえていません」


「はい」


「息子楽しかった報告涙」


「はい」


「再会希望涙」


「はい」


「父子抱擁涙」


「はい」


「乱入しなかった自己抑制涙」


「また自分で」


「左様でございます」


「札は?」


「七枚すべて使用」


「新規は?」


「作成禁止中」


「あと?」


「四日」


「公爵は?」


「次回茶会用の札を」


「作ろうと?」


「既存札の余白を」


「また追記ですか」


「セレスティア様が筆を回収」


「はい」


 俺。


 机。


 リリスの好きなところ。


 今日。


 六日目。


 何を書く。


 リリス。


 兄。


 気になる。


 全部。


 聞きたい。


 ついて行きたい。


 でも。


 待った。


 本人から。


 話すまで。


 そして。


 兄の楽しいを。


 自分のことのように。


 喜んだ。


 紙。


『大切な人の時間を、自分の不安だけで奪わずに待てるところ』


 書く。


 少し。


 長い。


 でも。


 今日の。


 リリス。


 そのまま。


 窓の外。


 夜。


 フルーラ家。


 レオナルド先輩。


 次。


 ある。


 恋?


 まだ。


 決めない。


 初恋?


 分からない。


 ただ。


 また会いたい。


 それだけ。


 十分。


 そして。


 ガロウ公爵。


 別室。


 待てた。


 完全ではない。


 廊下。


 窓。


 でも。


 入らなかった。


 聞かなかった。


 息子の言葉。


 受け取った。


 皆。


 少しずつ。


 俺は。


 深く息を吸う。


 そして。


 今日も。


 心の底から叫んだ。


 レオナルド先輩!!


 初めての特別なお茶会で、緊張していると正直に伝えられたのは、本当に格好よかったです!!


 会話が止まっても!!


 沈黙になっても!!


 失敗ではありません!!


 また会いたいと思えたなら!!


 その気持ちを一回分ずつ、大切にしてください!!


 リリス!!


 お兄様の恋かもしれない時間を!!


 全部聞かずに!!


 全部決めずに!!


 待てたことは!!


 あなたの大切な一歩です!!


 そして!!


 公爵閣下!!


 茶会へ乱入しなかったことは、本当に大きな進歩です!!


 ですが!!


 別室から廊下へ一度!!


 窓へ一度!!


 動いたことを!!


『概ね待機』


 と表現するのは!!


 少し!!


 甘いです!!


 あと!!


 次回の茶会用札を!!


 新しく作らず!!


 今回の札の余白へ小さく追記すればよい!!


 という考えは!!


 前回!!


 俺の誕生日で!!


 禁止されたばかりです!!


「父上」


「はい」


「筆を」


「書いていない」


「持っています」


「考えていただけだ」


「筆を置いてください」


「はい」


 きっと。


 その夜。


 フルーラ公爵家では。


 レオナルド先輩の。


 小さな。


『また会いたい』


 という未来を囲みながら。


 笑い声と。


 公爵の短い返事が。


 遅くまで。


 穏やかに響いていた。

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