あとがき
ここまで『公爵令嬢様、距離感が近すぎます! 〜伯爵子息は今日もツッコミが追いつかない〜』をお読みいただき、本当にありがとうございました。
無事に、第80話をもって完結となります。
最初は、距離感があまりにも近すぎる公爵令嬢リリスと、そんな彼女に毎日のように振り回される伯爵子息アルフレッドの、にぎやかな関係から始まった物語でした。
泣いて、近づいて、抱きつきそうになって。
そのたびにアルがツッコミを入れ。
お父様は暴走し。
お母様は札を出し。
お兄様は妹を見守り。
ライズは記録し。
リーマスは誰よりも早く感動して泣く。
気づけば、二人だけではなく、家族や友人たちまで巻き込んだ、とても騒がしくて、温かな物語になりました。
この作品で描きたかったのは、ただ「距離感が近すぎる令嬢」と「ツッコミ役の少年」のラブコメだけではありません。
近づくこと。
離れること。
触れてよいか聞くこと。
嫌な時は断ること。
自分で選ぶこと。
誰かに頼ること。
大切だからこそ、全部を抱え込まないこと。
人と人との距離は、近ければよいわけでも、離れていれば安全なわけでもありません。
その時々で言葉を交わし、少しずつ決めていくものなのだと思います。
リリスは、近づくことしかできなかった少女から、相手の返事を待てる少女へ。
アルフレッドは、距離を取ることしかできなかった少年から、自分から半歩近づける少年へ。
二人とも、完璧になったわけではありません。
これからもリリスは泣きます。
きっと近づきすぎます。
アルフレッドのツッコミも追いつきません。
ガロウ公爵の札も、おそらく増え続けます。
それでも、そのたびに話し合い、笑いながら、一日ずつ幸せを見つけていくのだと思います。
最後まで、二人とその家族を見守ってくださった皆さまへ、心より感謝申し上げます。
感想、ブックマーク、評価、応援のお言葉の一つひとつが、ここまで物語を書き続ける大きな力になりました。
少しでも、
「この人たちらしい終わり方だった」
「笑って読み終えられた」
「最後まで見届けてよかった」
そう感じていただけたなら、とても嬉しいです。
アルフレッドとリリスの物語は、ここで一度幕を閉じます。
けれど、きっと明日も。
学園の正門で。
「ご機嫌よう、アル」
「ご機嫌よう、リリス」
と挨拶を交わし。
少し近づきすぎたリリスへ、アルフレッドのツッコミが響くのでしょう。
そして、その少し後ろでは。
ガロウ公爵が新しい札を掲げているはずです。
『完結後も娘を見守りすぎない』
「物語の外までついてこないでください!!」
そんな声が、どこかから聞こえてきそうです。
改めまして。
全80話、最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
皆さまの日々にも、笑顔になれる小さな幸せが、たくさん見つかりますように。
また別の物語で、お会いできましたら嬉しいです。




