第二部 第五章 戦後③
【レイル・ヴォルフィード】視点
【リンナ】叔母様とのベネチアン城に向かう道中で、今回の家族と親族の集会は、何時もの親睦の会合では無く、ある特殊な事情での緊急会合である事を教えられたの。
どうにも腑に落ちない話なので、私は運転手に聞こえない形で【リンナ】叔母様と相談すべく、至近距離での念話を手を接触させて行ったわ。
『一体何があったのですか?』
その問いに【リンナ】叔母様は、歯切れの悪い返答を返して来たの。
『それが、私にもハッキリ判らないのよ。
どうも、私の娘の【セラス】が関係しているらしいいんだけど・・・』
『【セラス】が!?』
【リンナ】叔母様の娘にして私にとってかなり年少の従兄弟である【セラス】は、ちょっと特殊な能力を持つ女の子で、齢10歳ながら此の惑星【エリュシオン】に存在する、ありとあらゆる精霊や古代種族との意識共有が出来たり、場合によっては此の星系に存在する宇宙空間等を渡る宇宙精霊とすら対話が可能だ。
そんな特殊な能力を持つ私にとってかなり年少の従兄弟が、今回の家族と親族の集会で何やら発表すると知らされて、どうやら私の想定以上の事態なのだと今回の集会を警戒してしまう・・・。
◇◆◇◇◆◇
ベネチアン城に【リンナ】叔母様と供に到着し、城で働く宮女や事務官から出迎えられて、故郷に帰ってきた事を実感していると、長年に渡って執事を務めているバークス執事長が出てきて、私と【リンナ】叔母様の荷物等を預かり、係の者に客室に届ける様に命じると、自らが先頭に立ち私達を自らが案内し始めたの。
バークス執事長の案内の下でベネチアン城に入城しそのまま廊下を進んでいると、やがて通常の城内に向かう順路では無く地下に向かう方向へ案内されたわ。
私と【リンナ】叔母様は特に質問も発さずに、案内されるがまま昔通い詰めたベネチアン城の地下に向かったの。
私達双子が赤ん坊から幼児に至り、やがて自意識に目覚めてからは、専ら此処に設けられている研究室と訓練場は、私とライルにとって殆どの時間を過ごす遊び場の様なものだったわ。
何と言っても私達双子が未だ覚束無い魔力制御を学ぶには、地上にある私達にとって脆すぎる通常の施設では、とてもでは無いけど耐久性が低すぎたの。
其れは普段使う生活用品にすら云えることだったので、私達双子の使用する食器すら特注品だったわ。
其れ等に比べると、此処の研究室と訓練場に存在するあらゆる機材は、実験用が殆どなので耐久性や頑丈さには折り紙付きであり、何の気兼ねも無く思いっきり魔力と筋力を使用して遊ぶ事が出来て、気分良く遊ぶことが出来た事を良く憶えているわ。
そんな懐かしい思い出を抱きながら、私と【リンナ】叔母様は施設の最深部に有る大き目の会議室に案内されたの。
バークス執事長は案内を終えたので、中に居た【リンネ】叔母様とその子供二人に挨拶してから退出し、未だ到着していない両親を出迎えるべくベネチアン城の玄関に戻って行ったわ。
「久しぶりね【レイル】。 貴方や【ライル】が航宙軍と共に戦った宇宙戦争を、確かにかなりの物質的被害は膨大な規模になったけど、殆ど人的被害もなく勝利してくれたので、星間国家【エリュシオン】の恒星間航行インフラは復旧に向けてかなり迅速に動けているわ!」
流石は星間国家【エリュシオン】政府における交通省の責任者であり、尚書令の立場にある【リンネ】叔母様だわ、自身の分野である恒星間航行インフラが問題無く復旧作業に入れているので、その感謝を伝えてきたの。
「有難う御座います【リンネ】叔母様。
でも私は航宙軍での戦闘の枠内で結果を出せただけで、軍どころか国家の枠を超えて単独で奴等【旧支配者】の邪神共の前線基地と化していた異次元に単独で侵入し、その異次元毎奴等を葬り去った【ライル】の活躍に比べれば、私の活躍など微々たるものでしか有りませんわ」
「そんな事は無いわよ、全ては無事に帰還してこそ武勲と言えるわ!
本当に【ライル】は、私達親族どころか星間国家【エリュシオン】の全国民がやきもきしているんだから、サッサと無事な姿を見せてくれれば良いのにね!」
どうやら敢えて触れづらい【ライル】の事を先に話す事で、私の心情を軽い気持ちに持っていこうとしてくれたらしい【リンネ】叔母様の心遣いに、心の中で感謝を述べていると、従兄弟である【リンネ】叔母様の姉弟が私に挨拶して来たわ。
そうやって雑談を【リンネ】叔母様とその姉弟と交わし、【リンナ】叔母様も交えた旅行計画を練っていたら、室内に存在するパネルから、私の両親がベネチアン城に到着した事がバークス執事長から告げられたの。
暫くして此処地下に設けられた会議室に入室して来た両親と、随伴してきた従姉妹の【セラス】を迎え、いよいよ今回の集会の主題が話し合われる事になったわ。




