第二部 第五章 最終話
【ヴァン・ヴォルフィード】視点
ベネチアン王家であるヴォルフィード家に連なる親族を見渡し、俺は言葉を掛ける。
「久しぶりに一同集まってくれて感謝する!
個別には業務関係などで日頃会っていたが、一同に会するのは数年ぶりだ。
それ程に今回は特別な事情があるので、是非此処に居る【セラス】からの報告を聞いてくれ」
そう言って、些か身内同士の会合なのに堅苦しい言い回しだと思いながら、義妹の娘である【セラス】に席を譲り報告をする様に促した。
【セラス】は齢10歳と云う年齢にも関わらず、其処らの大人よりも大人びた雰囲気を醸し出しつつ、落ち着いた様子で俺に向き直ると、ある依頼を願い出てきて、その内容に納得した俺は許可を出した。
その依頼内容とは、【ソロモン】を呼び出す事と彼の配下である【ソロモン72柱】による、魔力支援を受けたいと云うものだった。
最もだと理解した俺は、直ぐ直上の研究室に居る彼等に依頼内容をパネル越しに依頼し、【ソロモン】だけ此方の会議室に来て貰い、【ソロモン72柱】にはその場で魔力支援を【ソロモン】を通して受ける形にした。
それから5分もせずに会議室に来た【ソロモン】は、大体の概略を俺から受けていたので、特に説明を求めずに【セラス】の魔力補佐をし始める。
会議室内はどうやらかなりとんでもない事が此れから行われる様だと理解したらしく、緊張感が漂い始めて、咳き一つ起こらなくなった。
そんな緊張感が漂う中、魔力を充填できた【セラス】が徐ろに会議室の中空に魔力で作り上げた立体プロジェクターらしき物体を構築してみせた。
暫くの間、その立体プロジェクターらしき物体は何も映し出さなかったのだが、やがて何か光りの様な物を映し出し始める。
次の瞬間、突如我々の居る会議室に、何者かの存在力が満ち始めた!
其れに対して、【ソロモン】と【ソロモン72柱】は出現し始めた何者かの存在力を弱めるべく、何十もの魔力フィルターを形成して、我々がその何者かを認識出来る程度に減衰させ、【セラス】への補佐をしつつ何者かを魔力で作り上げた立体プロジェクターらしき物体に出現せしめた!
最初は光りしか我々は認識し得なかったが、やがてその何者かは、光体を基礎とした何やら人間に近い形態をした生命体である事が判別出来始める。
そしてその光りに我々が慣れ始めたと判断したらしい何者かは、ゆっくりと我々に語りかけ始める。
『3.5次元の皆様、初めまして。
私は貴方方が表現するところの、【調整者】グループの一体である【コドモス】と名乗る一個体です。
現在我々は、貴方方が表現する次元単位で、7次元と云う高位次元から語りかけております。
本来此の次元から下位次元に存在する貴方方に干渉するには、諸々の問題が生じるのですが、今回は特記事項に抵触すると判断された【調整者】グループのトップが、10次元世界を外側より観測する原初の存在たる【アザトース】が取り持つ事で、貴方方が表現するところの【旧支配者】の邪神の長である【クトゥルフ】よりも上の存在である【ヨグ=ソトース】と【ナイアルラトホテップ】と会談し、ある協定が結ばれました』
そこまで話し、一旦話しを中断した後、重々しくその協定内容を話し始めた。
その内容は、
『貴方方が【旧支配者】の邪神に挑んだ今回の戦争の結果により、貴方方が住む3.5次元は今後56億年に渡って彼等【旧支配者】の邪神は手出ししないと云う協定が結ばれました。
そしてそれに付随して、貴方方【人類同胞】が此の3.5次元の統括者として選ばれた事を通達致します』
いきなりその様な事を、我々が神と崇めるところの高位次元生命体に突然教えられ、俺を始めとした会議室の面々が面食らっていると、そのまま【コドモス】と名乗る【調整者】グループの一体が我々に続けて語り掛ける。
『但し、其れにはある事項が必須内容となります。
その必須内容とは、貴方方の家族であり、今回の戦争での功労者である一個体【ライル・ヴォルフィード】を、将来我々【調整者】グループの仲間に迎える事前準備として、使徒である【超越者】の一人となってもらいます』
語りかけられた内容を咀嚼するのに、我々は暫く時間を要したが、内容を理解した我々は幾つもの質問を、【コドモス】と名乗る【調整者】グループの一体に投げかけると、【コドモス】はそれぞれの質問に対して懇切丁寧に答えてくれて、我々がある程度まで納得するまで説明してくれた。
そして全員の質問が途絶えたと判断した【コドモス】は、最後に我々の要望に応えるべく、あるサービスをしてくれる事を約束してくれた。
『それでは、貴方方が要望したサービスを私【コドモス】の権限で執り行います。
【超越者】の一人となった【ライル・ヴォルフィード】の行動を、ダイジェストとなりますがご家族である貴方方に見れる様にし、貴方方は手出しは出来ませんが、私【コドモス】が彼を管理監督は致して、彼自身が望む通りに行動させて上げると約束します。
彼が此の試練を乗り越えて、何時かは【調整者】として昇華される事を私【コドモス】も願い奉ります』
そして【コドモス】は、【セラス】が魔力で構築した立体プロジェクターらしき物体から去り、会議室には何とも言えない雰囲気が立ち込めていたが、俺は咳をコホンとついてから、一旦全員に解散を告げた。
自分としても色々と整理がついていない事もあり、かなり時間を掛けて内容を推敲してみたいと思い、妻であるアンジーに目配せし、【コドモス】がサービスとして提供してくれた息子の現在が見れる特別なチャンネルに意識を合わせて見るのだった・・・。
此れにて【英雄機士王は燦然と輝く】は最終話となりますが、文章を読んでいただければ、今回の話では少しも物語が終わっていない事がお判りでしょう。
実は【英雄機士王は燦然と輝く】は、私の作品に置ける第一期であり、今後描かれることになる第二期の物語の前章であります。
そして今後描かれることになる第二期は、半ば【英雄機士王は燦然と輝く】と云う物語で、終盤は事実上の主人公格であった【ライル・ヴォルフィード】が、名実ともに主人公となり彼が辿ることになる人生が物語の主軸となります。
一応、8月1日から投稿する予定で、既に10話程書いているのですが、一旦全て書き直したり、設定を完全に焼き直したりしていて、正直な処、煮詰め終わっていない状況です(汗)。
ですが、それなりに全体像は出来ているので、それなりのペースで投稿出来ると思われます。
是非とも、今後も私めの作品を続けて読まれる事を切に願い致します。




