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お待たせしましたー!


...と、言いたい所だったのですが、残念ながらまだ書き終わってません。


書き方を変えたお陰で想像しやすくなったかなと個人的には手応えを感じているのですが、その書き方に慣れていないのと文字数が増えたのがあって、中々に時間が掛かっています。


具体的に言うと、エルフ編では3000字〜6000字辺りが目安になると思われます。

書き方を変えた影響で自ずと文字数が増えました。


後、読みたい本が多過ぎるんですよ.....。


まぁそういう訳でして、報告の為にも冒頭の一話を載せますが、また暫く更新は止まります。

いつ再開するかは未定ですが、出来ればもう一ヶ月でエルフ編は書き上げられたらなーとは思っています。


何卒宜しくお願いします。

 この大陸には、エルフという人間とは異なる種族が存在する。


 エルフは、長い耳と整った顔付きが特徴的で人間に比べ長寿である。また、自然を愛し重んじる思想を有しており、自然豊かな森やそこに住まう動物には敬意を示している。

 人間からは自然の民、森の民と呼ばれていた過去もあった。


 今や人間がエルフを目にする機会は殆ど無いが、遠い過去には人間とエルフは共生していた歴史があったのだ。


 人間は自然を重んじてはおらず価値観に多少の違いはあったものの、それを些事だと思える程の難敵――魔物が居たのだから。

 人間としてもエルフとしても、森に多く存在する魔蟲、魔獣、果ては知能ある特殊な魔物、それらは生活する上で常に脅威の存在であった。

 共通の敵が居た人間とエルフは手を組む事で対処し、森に蔓延する魔物の討伐を進めていた。



 その共生が終わった原因は、些事と捉えていた価値観の違い――人間の欲深さにあった。


 共生する内に魔物が大きく数を減らした事で余裕が出来た人間の貴族は、エルフの美貌や長寿に目を付け始めたのだ。

 時には巧みな話術で騙し、時には部下に襲わせて強引に、エルフを奴隷として所有したり研究に用いたりする事を目論んだ。


 当然エルフ達はこの動きに気付き、激怒する。

 エルフの中では、抵抗せんと人間に立ち向かい争う者と、関わる事を辞め各地の森の奥深くで密かに住まう者に分かれた。


 一般的に、エルフは弓と魔法の腕に関しては人間よりも秀でていると言われている。

 その為に、一部のエルフは人間に勝てると思って居たのだ。


 だが、エルフは長寿の代償と言うべきか繁殖能力が弱く、人間に比べて数では大きく劣る。

 更には自然を重んじ過ぎる余りに、金属製の武器のような人工物を嫌悪していた。


 金属製の頑強な武器を持った人間に数で押し切られ、前者の人間と争う事を選んだエルフは呆気なく敗れた。


 敗走したエルフは森の奥深くに住まう同族と合流し、人間とは極力関わらないようにする決断を下す。

 そしてエルフ達は弱い立場にある事を自覚し、人間という脅威に対抗する手段を多く企てた。



 やがては当時の事を詳しく知る者も居なくなり、人間を敵対視しながらも関わる事は無い、森の奥で悠々と暮らすエルフの里が各地に出来上がったのだった。


 そんなエルフの里が、大密林の奥深くにもあった。



――――――――――――――――――――



「それじゃあ、今日は狩りに行ってくるよ。ミーナ」


 木造の家の玄関で眩しい朝日を背に、男が朗らかに耳の尖った女に話し掛ける。

 男の耳も長く尖っており、両者がエルフである事が分かる。

 また、男の方は普段から鍛えていると分かるほどに身体が筋骨隆々としており、腰には弓矢や盾が提げられている。


 声を掛けられた女エルフのミーナは、武装をした戦士のようなエルフに手を振って笑顔で応える。


「うん、行ってらっしゃい! アレク」


 アレク、と名前で呼ばれた男は嬉しそうに頬を赤らめて、里の中央の方向へと駆けて行った。


 普段は娘が居るので、ミーナは娘に合わせてアレクの事をお父さんと呼んでいるが、娘が居ない時は話は別だ。

 夫婦というよりも恋人らしく、名前で呼び合う。

 アレクは屈強で脳筋に見える身体に反して、かなり繊細な精神を持っているので、こうして名前を呼ばれるだけでも嬉しそうにするのだ。


 可愛らしい一面を見せる夫を楽しげに見送ったミーナは、そのまま玄関から外の景色を一望する。


 辺りには緑豊かな木々が並んでおり、その所々は紅葉で赤らんでいる。今は秋である事が存分に伝わって来る。

 そして、木々に紛れるように風情ある丸太で出来た木造の家が並んでいる。庭先には農作業に勤しむエルフが居る。耳を澄ませば、子鳥の囀りが聞こえて来る。


 外に広がる何度見ても飽きない美しい自然が、ミーナの心に安らぎを与えてくれる。


(今日も里は平和だなぁ、心が安らぐ……)


 朝特有の気怠さが抜けて行くのが分かる。

 やはり自然は偉大であった。



「お母さん、お父さんはどうしたの……?」


 どれ程時間が経っただろうか。自然を眺めてリフレッシュをして居れば、背後から何処か幼気さを感じさせる甲高い声が聞こえてきた。


 振り返れば、やはりそこには夫であるアレクとの間に出来た子供――アンナが眠たげに目を擦りながら立っていた。


 ミーナは一瞬どう答えるべきか迷うが、誤魔化してもどうせ帰る時にバレるのだから意味は無いと考え、正直に娘の疑問に答える。


「えっと……お父さんが狩りをしに外へ行ったから、その見送りをしていたの」


「えぇ!? 良いなぁ……」


 眠たげにしていた筈のアンナが、狩りと聞いた途端に目を見開き、羨望の眼差しを玄関の外へと向ける。


 ――またこれか。


 そんな娘の様子に、ミーナの内心に呆れというか哀愁というか、複雑な感情が湧き上がってくる。

 一旦狩りに関する話を終わらせようと、複雑な感情を押し留めて笑顔を取り繕う。


「そうよ。お父さんが美味しいお肉を取ってくれるだろうから、裁縫でもして良い子にして待ってましょう?」


 アンナは、母親の言葉の意図や複雑な内心を知ってか知らずか、素直に二つ返事で了承し自室へと戻って行った。


(はぁ……どうして今度は狩りに興味を示しちゃったのかしら……)


 自室に戻った娘を見届けた後に、ミーナは先程までの娘の様子を想起し、重い溜息を吐きながら苦悩する。



 狩り。

 里を囲うようにある周囲の森へ行き、木の実を回収し動物や魔物を討伐する事を指す言葉。食料を確保し魔物を間引く事で、里に安寧をもたらすのだ。

 我々エルフのような、森の奥で自給自足をして暮らす者には欠かせない行為である。


 狩りの重要性は里の誰もが理解しており、アレクのように屈強な者や狩りに秀でた素質を持つ者が、狩人として積極的に狩りに参加してくれている。


 が、里の外に出て魔物と戦うのだ。やはり危険は大きい。

 ここら一帯の魔物は森の奥の方にしては比較的弱いが、それでも偶に強力な魔物は現れるのだ。


 失踪者や犠牲者を出さない為に、狩人になろうとする者には事前に里内で鍛えさせ、動物や魔物に関する事も学ばせている。

 加えて狩りをしに里の外へと向かう際には、最低でも五人が纏まって行動する事を義務付けさせている。

 しかし、そこまでしても年に何人かは出てしまうのだ。



 娘のアンナは、それ程に危険な行為である狩りに、数年前から強い興味を示している。

 素質も不明で非力な女性の子供であるアンナが、だ。


 原因は分かっている、父親であるアレクだ。

 彼は里の為にと言いながらも狩りを楽しんでおり、時々食卓の場で誇らしげに、そして愉しげに狩りの戦果を語るのだ。

 アンナは話を聞く内に、狩りは面白い物だと思ってしまったに違いない。


 それからアンナは狩人になると意気込んで、暇を持て余す古老達から弓や魔法を教わり始めた。

 一応現在では両者共に筋は良いと評されてはいるが、それでも若く、非力な女性である事に変わりは無い。

 素質も分かっていない為に、不安要素は多かった。


 ミーナは、親として娘の興味を否定したくないという思いと、危険なので考えを改めて欲しいという二つの思いに挟まれて、どうすれば良いか分からなくなっている。

 それが先程まで押し留めていた、複雑な内心の正体であった。


 幸いな事に狩人の任命権――要は里の外に出して狩りをさせるかの決定権は、ミーナが持っていた。

 自分が認めて任命しない限りは、アンナは狩人にはなれないのだ。


 若さと強さを理由に任命して来なかったが、近頃は我慢の限界が来つつあるのか、私に対する不満やアレクへの嫉妬が如実に態度に現れ始めている。


 ――その内暴走して、一人で里の外に行きかねない。


 そう思わせる程の危うさが、近頃のアンナには感じられた。

 狩りを好むアレクの血を引いたからだろうか? 出来る事ならこんな形で血縁を感じたくは無かった。

 果たして、どうしたものか。


(アレクには楽しみを奪うようで申し訳無いけど、武勇伝を語るのを辞めさせて危険性を説くようにして貰おうかしら。でも、以前の趣味に戻るのもそれはそれで嫌だし……)


 アンナにどう対処するのが正解なのか、そもそも正解はあるのか、ミーナは頭を悩ませる。

 方法自体は幾らでも出てくるが、アンナの厄介な性格や元々あった奇妙な趣味のせいで、どれも完璧とは言い難い。


「……とりあえず、外に出て族長としての仕事をするか」


 折角美しい自然を眺める事で心を清らかにしたのに、一人家の中で苦慮しては、それが無駄になってしまう。

 そうミーナは考えて、里の長としての役目を果たす為にも、外に出て鬱屈を晴らす事にした。

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