表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
業の軌跡 〜悪魔は不老不死を渇望する〜 (未完結)  作者: 橘 涼
〜スミア王国編・前編〜
58/106

57

昨日上手く投稿出来てませんでした。

誠に申し訳無い。

「君達がマークスとリンか、父上から話は聞いている」


 バイソン領へと戻り、一際目立つ屋敷へ入れば若々しい男に歓迎された。


「ええと……何方でしょうか?」


「バイソン公だよ。そのままバイソン公と呼んでくれて構わない。それにそこまで言葉遣いに気を配らなくていいぞ。最低限の礼儀があれば十分だ」


「分かりました、バイソン公。これで良いですか?」


「ああ、問題無い」


 うーむ、噂には聞いていたがかなり若いな。

 三十は超えていないだろう。


 というかどうやらこの人の父親が国王らしい。

 親子揃って優秀なのかな? そりゃあ都市で次期国王候補と噂される訳だ。


「それでまず、同行者が居るから家を買うんだったな? 空いてる家を探しておいたから、そこに住んでくれ」


「これは……わざわざ御丁寧にありがとうございます」


 領主自ら仕える官吏の為に家を探してくれるとは、仕事を人に任せるような性格では無いようだ。若いのにしっかりしてるなぁ。


 言動にも自信が感じられる。

 これは変に謙ったり持ち上げたりしても余計な反感を買うだけだな。気に入られたいなら、有能で厚い忠誠心をを演じるしか無さそうだ。



 これはどうやって動くべきだろうか。

 リンは相当強いしナダールや白銀の乙女など戦力は多いが、それでも力押しは厳しい。


 謁見の時に国王の周りに居た三人の騎士、あれは見ただけも圧を感じる程に相当強い事が分かった。

 正面から三人相手にぶつかればリンが居ても負けそうだ、それにそもそも騎士が三人とも限らない。


 バイソン公が国王の息子で次期国王候補ともなると、国王の手の者がバイソン公の官吏に紛れている可能性は高い。

 監視役が居るだろうし、迂闊に手を出せば報告されて国が敵に回ってしまう。

 こちらの手駒は人数が少ないので、仮にこの屋敷を奇襲しても何人か逃がしてしまいそうだ。


 初手から力押しで一気に制圧するのは無しだな……。


 最初は大人しく真面目に働きながら、情報を集めて付け入る隙を探るとしようか。


「荷物の整理も必要だろうし、この都市の雰囲気にも慣れて欲しいから、最初の数日は自由に過ごしていいぞ。三日後にまたここに来てくれ、詳しい職務を説明する」


「それはそれは……非常に助かります」


 部下の扱い方も心得ているようだ。

 仕事場において報連相は重要だ。


 バイソン公はその重要性を理解して、変な敬語を無くしコミュニケーションを取りやすくしている。

 こうして親切にしてくれるのも、階級の差から生まれる心の距離をある程度詰める為なのだろう。

 それでいて変に謙らず、威厳もある。


 本当に優秀だねぇ……。

 余りに優秀過ぎると、困っちゃうのだけど……。




「よし、今後の予定について話していくぞ」


 バイソン公に家を事前に用意されていたので、盗聴器のようなものが仕込まれて無いか調べたが、特に不審な物は無かった。

 流石にそこまで警戒はしていないらしい。


 白銀の乙女とも合流し、ナダールもようやく到着した。

 ナダールは密偵として使う予定なので、存在を知られたくない。基本的に気配は消してもらう。


「まずこの家には俺、リン、ツバキが住む。昼間は僕達は仕事、ツバキは家事や研究。夜には三人で研究だ」


「こんな街中で研究するの? 誰かに見られたら不味いと思うけど」


「あぁ、だからあまり変なことはやらない。「ある物」を開発する研究を進めて行く」


「ふぅん? 分かったわ」


 人体実験をしている所を誰かに見られたら、とんでもない事態になるのは分かりきっている。

 そんな物騒な事を迂闊に街中では出来ないので、人目についても問題無い研究を行う。


 前々から前世の記憶を引っ張り出して作りたい物があるのだ。それを開発していこう。


「そしてエルナ含む白銀の乙女は、バイソン領の何処かを拠点をして冒険者として大密林を中心に活動しろ。間引きでは無く探索だ。何か無いか探ってこい」


「大密林の奥の方まで行って、色々調べるってことですか?」


「そういう事だ。何かあったらまずはこっちに報告しろ」


「分かりました」


 白銀の乙女の代表としてエルナが返事をする。

 他の六人はエルナの後ろで怯えるように縮こまっていて、それをナダールが憐れみの目で見ている。


 大密林の魔物の間引きはCランク以下で十分回っている。わざわざ手助けをする必要はそこまで無いだろう。

 それにスミア王国にはBランクが白銀の乙女を除いて二組しか居ないし、どちらも大密林で活動はしていない。


 未知の領域だから危険が大きく、調査しようとする者が居ないのだろう。

 エルナ達も死ぬ可能性もあるが、まぁその時はその時だ。

 何か見つけて貰って、それを上手く利用していきたい。


「ナダールは……貴族の情報集めて回ろうか、無理の無い程度にね」


「まぁ、そうなるわな」


 ナダールは密偵として手駒にしたんだから、その為に使わなければ意味が無い。移動が大変そうだが、根気強く頑張って貰おう。

 後は休息も兼ねて、白銀の乙女と接する機会を与えて仲良くして貰おうか。


「それと、僕と白銀の乙女の接触はこれ以降無くしたいから、ナダールが代わりに手紙で繋いでくれ」


 うん、とりあえずはこんな所でいいだろう。

 今までは単なる平民の子供だったのでかなり自由に動けたが、今は国の為に働く文官だ。


 あまり変なことをすると貴族に目を付けられる可能性があるから。僕らは真面目に働く事で、信頼関係を築く事に専念しよう。

 状況は周りに動かしてもらえば良い、リンに眷属を生み出させて都市に動乱を起こす事も出来る。


 不老不死の研究のペースは遅れるが、国に仕えるのが学校に行く対価だったので仕方ない。割り切ろう。


「じゃあそんな訳で、各々ちゃんと働くんだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ