表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
業の軌跡 〜悪魔は不老不死を渇望する〜 (未完結)  作者: 橘 涼
〜スミア王国編・前編〜
56/106

55

お待たせしました。


上手くは言えませんが、書き方が何かしら変わっていると思います。


後、基本的に書き方は章で統一します。


読みやすい作品になるよう試行錯誤しているので、暖かい目で見守って頂ければ幸いです。

 あれから父さんが用意した馬車に乗って、スミア王国へと向かっている。

 馬車は上等な物なのか、全然揺れてない。


 ……小さい頃初めて馬車に乗った時は、揺れすぎて吐きそうになってたっけか。


「この馬車は本来貴族が使う物でな、国王が俺達の為に出してくれてんだぞ」


「へぇ、凄いですね」


 その馬車の中で、父さんが自慢げに話している。

 

 国に仕える文官ともなると、それなりの待遇を受けるのだろうか?

 いや、文官とはいえ平民なのに変わりはない。


 国王が騎士である父さんに、息子との快適な時間を与える為に気を遣ったのか? 国王がそこまで親切に……そもそも父さんと国王の関係がよく分からないな。


 国王がここまで豪華な馬車を出した真意は分からないが、少なくとも僕達に好意的なのは確かだろう。

 まるで貴族になった気分だ。


 この馬車には父さんとリンが居るし、襲われても問題無いだろう。有難く寛がせて貰う。

 その間父さんはずっと僕達に質問をしたり、故郷であるスミア王国の事を自慢げに話していた。


「ツバキも付き合ってくれてありがとうな。マークスは昔から賢い子だったが、リン以外に友達が全然居なくってな……。将来が心配だったんだよ」


「いえいえ、これからも宜しくお願いしますね」


 ツバキは父さん相手だと丁寧に話すんだよなぁ。

 元貴族に仕えていたメイドなだけあって、礼儀はしっかりしている。


 ツバキは流石にここまで着いてきて『唯のクラスメイトです』は流石に無理があるので、表向きは僕の彼女という事にして貰った。

 それなら同居するのも自然だし、僕が文官だと知って玉の輿を狙ってくる女が居ないとも限らないので、厄介払いになる。


 まぁ僕への態度は冷淡だが、それが素なので余り気にしてはいない。親しい夫婦だと思って貰えれば万々歳だ。


 父さんは変わり者の息子に、貴族に見初められる経験がある程に容姿の整った彼女が出来て大層喜んでいる。

 同時にリンと付き合わない事にも驚いてもいたが。


 三角関係のように見えなくも無いが、三人とも納得している事を伝えれば素直に受け入れてくれた。



 そんなこんなで父さんとの雑談に耽って居ると、馬車の外が騒がしくなってきた。

 ふと窓から外を見れば、見慣れない都市が広がっている。


 父さん曰く、ここは三つの公爵家の代表の内の一人、バイソン公が管理する都市の一つらしい。


 休憩や宿泊も兼ねて、ここで一晩寝泊まりするそうだ。

 馬車での移動は楽だが、移動は遅いし馬にも休憩が要るので時間が掛かる。


 夜になるまで、三人の自由行動も許可された。



 馬車から降りて都市の様子を見てみれば、商人は活気づき行き交う人々は笑顔で、全体の雰囲気が明るい。

 パーチェ王国よりも雰囲気は良いんじゃないかな?


 店前に並ぶ商品の質はパーチェ王国に比べれば一回り劣ってはいるが、劣悪という程でも無いし、変に価格が高騰していない。

 パーチェ王国と交易をしているし、経済は安定して文明に遅れは無さそうだ。


「本には資源に余裕が無いと書かれていたが、思ったよりも雰囲気は良いな。自分達の生活が守られている、或いは良い方向に進んでいると言う安心感があるのだろう」


 隣に立つツバキが冷静に分析をする。

 成程、明るさの秘訣は安心感か。


 新聞が売られていたので買ってみれば、日常的な出来事から政治の内容までしっかりと書かれている。


 民と統治者の距離が比較的近いのが、安心感をもたらしているのかもしれないな。

 民の一人一人の声をしっかり聞いて、素早く柔軟に動いてくれるのだろう。


 小国の利点が存分に活かされている。



 現地に住む人々の声も聞いてみようか。


 普通に暮らす民よりも、商人の方が政治に興味はあるはず。だが、出稼ぎで外部から来ている商人もいる。

 スミア王国特有の産業、漁業の関係者ならば現地人だろうと判断し、元気に魚を売る若々しい商人に話しかける。


「あのー、すいません」


「どうした兄ちゃん、女を二人も連れて」


「スミア王国に引っ越す予定なんですけど、この国の魅力って何か有りますか?」


 そう聞くと、怪訝そうにしていた商人の顔が笑顔に変わり、得意げに語り出した。


「この国に引っ越すとは兄ちゃん、見る目があるぜ? 困った事がある時、領主に懇請すれば即座に動いてくれるんだ。当然不正や賄賂は絶対許さないぜ? 暮らしてて安心って言うのかな……俺達の事を慮ってくれているのが分かるんだよ。そこが魅力だな!」


 自分の事では無いのに、得意げに胸を張っている。


「へぇ、パーチェ王国とはえらい違いだ」


「あそこはな、貴族が平民を見下し過ぎなんだよ。自分の地位を上げる道具としか思ってねぇ。実は俺ら一家は、パーチェ王国の貴族に足元を見られ……脅されて、逃げるようにこの国に来たのよ。こっちの貴族はマトモで助かるよ」


 急に嫌な事を思い出すかのように顔を顰める。


 本で調べた時にパーチェ王国の上層部が予報以上に腐敗していると分かってはいたが、そんなに酷かったのか。


「実は僕らはパーチェ王国から来たんですよ。その話を聞いてスミア王国に早く引っ越したくなり……」


『おーい! 人が突然泡吹いて倒れたぞ!』


『錯乱してんのか? 誰か一緒に教会に運べー!』


 会話が盛り上がって来た所に、遠くからの物騒な叫び声が割り込まれ、思わず商人と顔を見合わせる。


「ええと、大丈夫ですかね……」


「この国には教会があるし大丈夫だろ……。まぁ兎にも角にも、ここは良い国さ。歓迎するよ」


 教会ね……。図書館で本で存在は知っていたが、パーチェ王国には無かったからあまり詳しく知らないんだよな。

 何処かの機会に調べて、実際に赴いてみるとしよう。


「成程、ありがとうございます。では、その焼き魚を三人分下さい」


「はいよ! 毎度ありぃ!」



 その後も色んな商人に何かを買うついでに話し掛けて見たが、殆どが国に好意的な反応を示していた。


 こちらとしては、上層部がしっかりしていると動きにくそうで困るんだよなぁ。


 まぁパーチェ王国も土台を作ろうとすれば絶対に派閥争いや謀略、権力闘争のような面倒事に巻き込まれるので、どっちもどっちかな。

 デイン帝国は論外だ。話にならない。


 あぁ、そんな事をしていたらいつの間にか日が沈んできた。


「そろそろ戻ろうか。明日は謁見だし、早めに休もう」

読みやすさ重視なので、貴族の名前や階級等は出来る限りシンプルにしています。

国王>公爵家の貴族>その他貴族>平民上がりの官吏

と言うイメージで大丈夫かな、と思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ