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どうして前話と前前話に、腹を貫かれていたのにR15を付け忘れていたんでしょうか。
修正しました。
「「おおおーーー」」
「意識すれば牙も生やせますね、どうですか?」
リンが口を大きく開けると、歯の一部が尖っているのが見える。
「身体に違和感はないの?」
「はい、特に問題はありません。少し体力を消耗する程度ですね」
あれから家に帰ってツバキと、リンの様子を調べてみれば本当にヴァンパイアみたいになっている。
ナダールはベッドで休養中だ。
爪を固くし伸ばしたり、牙を生やしたり出来る。
血も吸えるようになった。
リン曰く、「血は美味しいですが必須では無いです。普通にご飯も食べれます」だそうだ。
それなのに日光は平気だと言う。
ここまで都合良く身体を改変出来る核の謎が深まるばかりだ。不老不死への大きな手掛かりになりそうだがなぁ。
まぁ今はリンの変化を調べるのが先決だ。
眷属は、リンが牙から自身の血液を相手に直接流し込むことで生み出せた。
知能はほぼ無いが、何となくリンの言うことに従っているようには見える。
一応上位者という認識があるのだろう。
これからはヴァンパイアを量産出来るわけか。
あまり表に出し過ぎると調べられそうだから乱用は出来ないが、それでも十分に有用性はある。
それにリンが強くなってくれるのは有難い。
血は美味しいらしいし、これからは僕の血をご褒美にしてみようかな。
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今日は研究拠点の洞窟にナダールも来た。
最近は治ってきて身体を普通に動かせるようになり、毎日何処かへ行っている僕達が気になって来たらしい。
洞窟に入れば、研究の為に商人から買い入れた物や自作した研究器具が並んでいる。
その奥には拘束された一人の男が眠っている。
当然ナダールにはこれが何なのか理解出来ない。
「なぁ、ご主人様? 不老不死を目指していると聞いたが、これは何なんだ?」
「リンが勝手にご主人様って呼んでるだけだから、ナダールは普通に名前で呼んでいいよ。君みたいな歳上のむさ苦しい男に、ご主人様なんて呼ばれても怖いだけだ」
「はぁ?! いや、それもそうか……。それじゃ改めてマークス、これは何なんだ?」
「ここで不老不死の研究をしているんだよ。本気で目指しているからね」
「研究ねぇ……俺は馬鹿だから何も分かんねぇぞ。ならあそこで寝ている人間は誰だ? 拘束されているようだが」
「低ランクの冒険者だね。人体実験に使うから攫ってきた」
「なっ!?」
驚くナダールを尻目に、僕は淡々と話を続ける。
「僕は不老不死の実現の為なら何だってするつもりだ。僕の言う事は何でも聞くと約束してくれたし、ナダールも当然協力してくれるよね?」
ナダールは僕に恩義を感じているから、最初はそのまま恩を返して貰う形で、僕に協力して貰う事も考えて居た。
わざわざ非人道的な研究をする様子を見せて、変に不信感や敵愾心を抱かせる必要は無いだろうと。
だが、ナダールは密偵だけで無く、誘拐や暗殺のような物騒な事もやらせることになる可能性があった。
単独行動も多いため、後から伝えて変に反逆心を抱かれるのは怖い。
死の恐怖や救った恩を忘れないうちに、ナダールに決断を迫る事にした。
「不老不死の為になる為ならば、非人道的な事だってやる。もしもナダールはそれが嫌だと言うのならば契約は無しだ、今ここで死んでもらおう」
そう言うと隣に立つリンが剣を抜いて、忠犬のように僕を守りながらナダールに殺意を飛ばす。
下手に動いた瞬間に首を刎ねる、そう感じさせる程の圧がリンからは湧き出ている。
リンは本気だ。
ナダールはそんな殺意に当てられ、声も出せず微動だに出来ない。
死の恐怖を思い出したのか、冷や汗をかいている。
「……あんたも死にかけた事があるのか?」
ナダールが自身の口以外を動かさないように、慎重に問いかけてくる。
「そうだよ、それも君より酷い形でね」
「そういう事か……。大人しく従うとするよ、一度救われたというのにまた死ぬのは御免だ」
「それが良い、一度死にかけた君なら分かってくれると思っていたよ。これから宜しくね」
(俺は悪魔と契約を結んだのかもな……)
ナダールはそう思いながらも、マークスに従う事を決めた。
ナダールの中では、マークスに従う事への忌避感よりも死への恐怖が勝ったのだ。
『まぁまぁ、生きていたらきっといい事があるさ』
マークスの言う通り、生きていればいつかは幸せになれるだろう、そう己に言い聞かせて。
「ご主人様、ナダールが任務中に事故によって偶然指輪が外れる可能性がありますが、何か対処はされているのですか?」
「勿論、リンとツバキのには無いけど、白銀の乙女以降の人達の指輪には新しく効果を加えているよ。ツバキと一緒に作って居たのさ」
「なるほど……。ですが念の為、そこにもう一手加えてみてはどうでしょうか? 例えば……」




