表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/106

49

 核に関しては、ヴァンパイアの目撃情報が無ければ進めることが出来ない。それも出来れば上位の。


 あれから暫くは目撃情報が無く、時間を戦闘訓練に浪費してしまったが、漸く進展があった。


 どうやらBランクのチームを壊滅させる程のヴァンパイアが出現したらしい。間違いなく上位だ。


 チームで唯一生き残った者が旨を報告しに来て、今や冒険者ギルドは大慌てだ。王都からAランクの冒険者を呼び出すべきか話し合っている。


 そんなヴァンパイアの討伐に、リンに名乗りを上げてもらった。ギルドもリンの扱いに困っていて死んでも良かったのか、快諾してくれた。


 今は白銀の乙女は遠征中だ。

 僕とリンの二人で討伐するしかないだろう。

 白銀の乙女が戻って来るのを待っていたら、誰かに取られてしまうかもしれない。



 何故ヴァンパイアの核が欲しいのか。


 ツバキと、人間と核について研究していた所、人間は核に対する耐性が高いことがわかった。


 動物は一つ食べると魔物化、二つ食べると身体が小さく爆発した。

 しかし人間は数が違う、幾つか食べることで、段階的に知能が落ち獰猛になり、魔物に近づいていった。

 爆発は規模が分からず怖いのでさせていないが、十数個は必要になるだろう。


 そこでリンの再現をしようとヴァンパイアの核を食わせていたのだが、ヴァンパイアの核を二つ食べただけで、自意識を保ったままヴァンパイアの能力に目覚めていた。


 要は半分人間、半分ヴァンパイアだ。


 研究中に襲われそうになった事もあった。

 ちゃんと自身も鍛えておいて良かったと、あれ程思った日は無い。


 より調べてみると、ヴァンパイアの特性も持ちつつ日光に浴びても平気と、それぞれの良いとこ取りをしていた。


 都合の良さに違和感を覚えたが、ツバキ曰く『生物の進化みたいに環境に適応し生存する為に、弱点を無くそうとしているのでは』と言われた。


 なるほど、元より核とは不思議な存在だったし、種の存続に近しいものと思えば納得は出来る。



 そして上位ヴァンパイアには眷属を生み出せる能力がある、僕らはそこに目を付けた訳だ。


 上位ヴァンパイアの核をリンに食わせれば、リンにも眷属を生み出せるのでは無いかと。

 半分賭けに近いが、核を二個食べて死ぬ例は無かったので、デメリットが無い。十分にやる価値はある。


 Bランクが一人逃げれたのだから、生存意識を持って戦えば逃げれるはず。

 駄目だったら諦めるだけだ、無理に討伐に拘らなくても良いだろう。


「ご主人様、止まってください」


 かなり分の良い賭けだ。

 期待しながらヴァンパイアが現れたという洋館に向かっていた所、リンに静止された。


「なんだ、こんな所で。誰かに尾行されてるのか?」


「はい、その通りです」


 即座に思考を現状の分析に切り替える。

 ここは森の中、少なくとも民間人では無いな。

 白銀の乙女の関係者か? エルナからの報告は無い。


「リン、どうするべきだと思う?」


「いえ、下がってください。近づいてきます」


 僕らが通ってきた方向から足音が聞こえてくる。

 尾行するのは辞めたようだ、剣を持って待ち構える。


「すいません! 俺も連れて行って下さい!」


「へ?」


 現れたのは、見知らぬ男性だった。

 腰には何本かの短剣を携えている、冒険者だろう。


 冒険者なのは予想出来ていたのだが、初対面のはずなのにいきなり土下座されている。

 僕らは警戒心を解かないが、向こうは隙だらけだ。

 いつでも殺せる。


「ご主人様、この人はヴァンパイアの目撃情報を持ってきたBランクの方ですね……」


 リンが呆れたような声を出した。


「あぁ……」




「で、仇を討ちたいと」


 男が重々しげに頷く。

 どうやら例の崩壊したBランクのチーム、「緋色の剣」の唯一の生き残りで、名前はナダールと言うらしい。


 知る限りのヴァンパイアの情報も話してくれた。


 高度な知能を持っていて、同じ言語で話していた。

 内容は魔物らしい物騒なものだが。


 戦い方は近接戦が苦手な弓使いを真っ先に狙ったり、眷属を使って足止めや肉壁にしたりと、賢く立ち回ってきて、中々隙を見せてくれなかったそうだ。


 だが伊達にナダール達もBランクではない。

 隙を突いて何回か攻撃は出来た。

 しかしながら致命傷にはならず、すぐにヴァンパイアお得意の自然治癒で回復してしまったそうだ。


 まぁ眷属でゴタゴタしている中、心臓をピンポイントで攻撃するのは難しいのだろう。



 うーん、面倒臭そうだ。

 そこまで賢い魔物との戦闘経験はないぞ。


 この男もどうしようなぁ。

 素質はあのジェイと同じ『気配遮断』で、味方が引き付けている間に機動力を活かして、背後から仕留める戦い方をしていたらしい。


 ただ素早さ重視のため軽装備で威力は低く、ヴァンパイアには致命傷を与えられないし、音で気付かれたのか素質も通じなかったらしい。


 その素早さのお陰で逃げれたものの、はっきり言ってヴァンパイアを討伐する際に役に立ちそうにない。


 唯一評価出来る点は心構えだろうか。

 ヴァンパイアを殺せればそれで良いと、素質や武器まで打ち明けてくれた。

 死ぬ事も覚悟しているような、立派な顔付きだ。


 ……死ぬのが怖くないのかねぇ。


「ちょっと二人で相談するね」


 ナダールには聞かれないように一旦リンと、ナダールの扱いやヴァンパイアとの戦い方を話し合おう。




「ナダール、君には囮になって貰う」


「ああ、分かった」


 即答か、良い覚悟だ。


 初めは何とか手駒に出来ないか考えていたのだが、ヴァンパイア討伐は交渉材料としては弱そうだし、死ぬ覚悟をしている人に拷問した所で効果は薄いだろう。


 なので僕らの生存率を上げるためにも、ナダールには囮になって貰う事にした。

 それが一番役に立つ。


「よし、作戦とか細かい所を詰めていくぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ