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 今日もご主人様の為に冒険者ギルドへと足を運ぶ。


 入って周りを一望すれば、怒りや嫌悪の感情を向ける者がいる。私を敵視している人だろう。


『大体の人は感情が顔や声、仕草に出るからね、学校では色んな人がいるから、読み取れるようになろうか』


 学校に行く際やツバキと話す際に、ご主人様からそう言われた。人と対話する時に、必要な能力になるらしい。


 学校で三年間暮らしながら、ご主人様に色々教えて貰った。

 お陰で大体読み取れるようになり、冒険者になった今でも有効に使っている。


 私にマイナスの感情を向けている者には、注意を払う必要がある。関わらないのが一番だ。

 なるべく避けて掲示板に向かう。


 受付嬢は哀愁の感情を向けてこちらを見ている。

 最初は期待や関心だったのだが、断り続けるうちに哀愁に変わっていった。


 それにしても、誰もが感情を表に出している。


 私はなるべく感情を出さないようにしている、手駒に余計な感情など不要だ。

 無表情で恐れられることもあるが、ご主人様にはそれで良いと言ってもらえた。



 そしてご主人様は……あれは無だ。


 常に微笑んでいて温厚な顔をしているが、全て演技。

 その実、誰にも剥がせない厚い仮面を被っている。


 ご主人様だけは、何も読み取れなかった。

 とある愚かな貴族から暴行を受けていた時も、その仮面にヒビすらも入らなかった。

 逆に私が感情を表に出して叱られる始末だ。


 ご主人様がその仮面を外し感情を表に出したのは、私の知る限りで二回だけだ。


 一回目は、私が過去を打ち明け、捨てないでと懇願した時。

 二回目は、ツバキを問い詰めて壊した時。


 たったの二回だけだ。


 

 そしてそれとは別に、ご主人様は夢に魘されて寝ている間に無意識的に感情を表に出す事がある。

 それは恐怖だ。


『こればっかりはどうしようも無いね』と、ご主人様は諦めていた。きっと死の恐怖に魘されているのだろう。


 どうか……どうか……不老不死を実現して、ご主人様には心の底から笑い、安らかに眠って欲しい。

 きっと実現しない限り、ご主人様も私も幸せにはなれないのだろう。


 ご主人様の為に、私は感情を読み取る能力を身に付けた。


 これからもご主人様の為ならば、リンは何だって致します。



――――――――――――――――――――



「ご主人様、今日も一人回収してきました」


「おっリン、ご苦労さん」


 今日も夜遅くまで洞窟でツバキと研究をしていると、リンが気絶した人間を持ってきた。


 リンには資金調達、依頼の確認、情報収集……色々な仕事を任せているが、その中でも大きな仕事がコレ、人間の回収だ。


 冒険者の中には夜は危険だと言われているのに、少しでも金を稼ごうと粘る者がいる。

 リンにはそんな夜に森で一人で居る者を、闇に紛れて攫って貰っている。


 冒険者はいつ死んでもおかしくない仕事だ。

 冒険者ギルド側は魔物に食われたと勘違いしてくれる。


 そこまで高頻度でもないし、低ランクの有象無象を狙っているので怪しまれることはそうそう無いだろう。

 索敵もあるし、夜に顔を隠して活動しているので、目撃者はほぼ居ないはず。


 人間は奴隷を買って用意するのも良かったが、沢山買っては居なくなっていたら、商人や村の人に怪しまれてしまう。

 周りとはある程度良好な関係を築いているので、変に崩す必要はないだろう。


 冒険者の方がそれなりに鍛えられてるから、衰弱死しにくいというのもある。



 この三年間で、人間を使って調べたい事は主に二つ。


 一つ目は魔物の核について。


 流石のレナート先生も核の出す禍々しいオーラは嫌だったのか、魔物の解剖はしても核には全然触れなかった。

 まぁ核はホムンクルスには関係無いから仕方ない。


 ただそのせいで、核の研究が三年前に人に一個食わせただけの中途半端な状態で終わっているのだ。

 複数個食わせたらどうなる? 核の大きさの影響はあるのか? 色々調べたい事はある。


 二つ目は脳改造について。


 レナート先生が扁桃体を弄って居たように、この世界では魔法を使って、前世では出来なかった脳の研究が出来る。


 感情を完全に排除して言いなりの奴隷を作るのもいいが、自分で考える力も欲しい。

 上手いこと調整出来ないか、色々実験してみたい。


 脳を弄る――脳改造を施すと言おうか。

 脳改造の大きな利点として、指輪の魔法とは違い解除する事が出来ない。一度脳改造を施してしまえば、元の形を知らない限り治療は出来ないだろう。


 未知の領域なのでどこまで出来るかは分からないが、莫大なリターンが得られる可能性があるので挑戦する価値はある。


「じゃあツバキ、明日からはコレを使って研究を進めていこうか。前の奴は用済みだ」


「ああ、分かった」


 ツバキは脳改造が上手く行かずに、廃人になってしまった人間の処分をする。


 処分と言ってもやる事は、殺して遺体を燃やし、骨を土に埋めるという簡単な作業だ。

 魔法のお陰で非力な女でも楽に出来る。


 ツバキはあれから自身を異常者だと受け入れ、僕と同じ道を歩むことを約束してくれた。

 口調は相変わらずだが、逆らうことは無い。

 優秀な協力者が加わって喜ばしい事だ。


 手駒もこれからの三年間で増やしていかないとなぁ。

お詫び。


話のストックが切れてきたのと、出来にも不満がある為、一週間程更新を停止して執筆に専念させて頂きます。

その分より良い作品になるよう心掛けるので、気長に待って頂けると幸いです。

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