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39 *R15

この一週間で納得のいく出来に仕上がったので、投稿を再開します。

 冒険者になって数ヶ月が経った。


 ご主人様に命令された人の回収は問題なく出来ていますが、珍しい魔物の依頼は中々来ません。


 ワイバーンの依頼が来たので受け、ご主人様と一緒に倒しましたが、研究に役立ちそうにはありませんでした。

 他に珍しい魔物だと、ヴァンパイアやアンデッド、サキュバスでしょうか。

 どこかで見つかって欲しいです。



 今日もいつものように冒険者ギルドに入ると、入り口付近に何やら見慣れない三人組が居た。


 装備が整っているので新入りでは無いだろう。

 他の都市から移ってきたのでしょうか。


「俺たちは今日からここを拠点にするCランクの冒険者だ! 今後Bランクに上がるから覚えておけ!」


 皆の視線が三人組に集まる。皆の向ける感情は関心。


 冒険者は強さが正義なので、こうして豪語することで見栄を張ったり面子を保ったりする。


 ただ二つ名が無いからか、衝撃をそこまで感じない。


 Bランクでも無いのに二つ名を名乗ったら、二つ名の意味が無くなってしまうので禁止されている。

 やはりBランクとCランクで、目立ち具合が大きく変わるようだ。


 そんな注目を浴びる三人組の表情を見れば……平静を装っていますが、微かに不安や恐れが表れている。

 自分を強く見せるために、無理に大きな態度を取っているのでしょう。気にする程の強さではありませんね。


 それにしてもCランクがまた増えましたか。

 ライバル視して来るので面倒で、増えて欲しくは無い。

 まぁ何事も関わらないのが一番です、無視して依頼を見に行きましょう。


 おや、この依頼は……。


「おい、そこの女」


 折角ご主人様の望む依頼を見つけたというのに、後ろから何者かに水を差される。

 後ろを振り返ると先程の三人組が居た。


「私に何か……?」


「お前、俺らのこと無視してたよな。舐めてんのか?」


 どうでもいいだけです、と正直に言えば余計に面倒になるのが目に見えている。

 ここは大人しく謝っておきましょう。


「不快に思われたのならば、すいませんでした」


 深々と頭を下げる、これで見逃して貰えないだろうか。


「それはヴァンパイア討伐の依頼か? 忌み子の女一人じゃ荷が重いぜ、俺らが変わってやるよ」


「いえ、どうしても受けたいので……」


 ヴァンパイア討伐の依頼なんて中々現れないだろう。こればっかりは譲れない。

 顔を上げれば、相手の表情が怒りで険しくなっている。


「お前、ランクは?」


「Cランクです」


 返答が気に食わなかったのか、より険しくなる。


 こっそり受付嬢と目を合わせてみるが、逸らされる。

 勝手にやってろという事か。


「変われ」


 これはもう下手に出ても意味が無いですね、余計に高圧的になるだけだ。

 それに様子を見ている周りの人にも舐められてしまう。


「お断りします」


 目を合わせて強く断言する。


 相手は小刻みに震えている。

 全身から怒りより更に上、激怒の感情が読み取れる。


 周りには戦闘の気配を感じて部屋の隅に避難する者も居れば、私の事を嫌っていたのか扇動する者も居る。

 本当に蝿のように煩わしいですね。


 ご主人様はいつだって冷静で物事をよく考えているのに、どうしてこんなにも短気な馬鹿が世の中には多いのでしょうか。


 聡明なご主人様に拾われて良かった。

 またご主人様の笑顔が見たいなぁ。


「何澄ました顔してやがるんだ」


 心の中で相手に失望し、愛する主の事を想いながらも、相手の一挙一動は見逃さない。

 すると正面に居た相手が一人、そう言って剣を抜いてこちらに突きつける。


 感情は、激怒と僅かばかりの不安。

 襲いかかって来る様子も無い、脅しのつもりなのだろう。


 だが客観的に見て、相手が剣を抜いてきたのは事実だ。

 戦闘の意思があると捉えられても仕方ない。

 念の為言質を取る。


「剣を抜いたという事は、戦闘をする意思があるという事でよろしいですか?」


「あ、ああ」


 剣を抜けば私が引くとでも思っていたのだろうか。

 相手の感情は驚き、だがこれで言質は取れた。


「分かりました」


 ご主人様から頂いた剣に魔法を掛けて、美しい直線を描くように横に素早く振るう。

 丁寧に手入れしたお陰で、良い切れ味だ。


「……え?」


 横に居た男から、呆気ない声が出る。

 少しして正面に居た剣を抜いた男の、首から上が瑞々しい音を立てて転がり落ちた。


「さて、貴方達も戦闘の意思がありますか?」


 剣を構えて残りの二人に問いかける。

 感情は放心、それが徐々に畏怖に変わって行く。


「ひ、ひぃ! バケモノ!」


 そう言って残りの二人は、首から血を噴き出す仲間を放って逃げ出してしまった。最初にあった見栄が微塵も感じられない、無様な後ろ姿を曝け出して。



 ご主人様に悪評が立つのは宜しくないが、私に立つ分には構わないのだ。これを機に少々問題児だと思ってもらえれば、纏わり付く蝿も減るだろう。

 平然と人を殺す者には関わりたくないはずだ。


 そもそも冒険者の世界では強さが物を言うのだ、負けて死ぬほうが悪い。

 剣を抜いたのだから、死ぬ覚悟もしていただろう。


 感情的になってご主人様に迷惑をかける訳にはいかない、ちゃんと冷静に判断した上で殺しているのだ。

 後で事情を説明するが、聡明なご主人様ならばきっと理解して下さるだろう。


 あっ、いけません。部屋を汚してしまった。


 魔法で丁寧に血を洗い流し、死体は裏庭に放り投げて燃やしておく。これでいいでしょう。


 やる事を終えて周りの方を見てやれば、呆然としていた各々がハッとして元の作業に戻っていく。

 私も本来の目的を忘れてはいけない、ヴァンパイア討伐の依頼を受けるのだ。


「ではこちらのヴァンパイア討伐の依頼を受けます、宜しくお願いします」


「わ、分かりました……」


 これでご主人様の役に立てる。

 あぁ、なんて素晴らしい事だろうか。

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