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業の軌跡 〜悪魔は不老不死を渇望する〜 (未完結)  作者: 橘 涼
〜士官学校編〜
34/106

33 *R15

同じく倫理的な観点からR15に指定。

「はい、これが脳です。皆さんはもう見慣れてますよね」


 今は脳について学んでいる。

 奴隷の頭が切り開かれ、脳が顕になっている。

 本来なら死んでもおかしくない状態にも関わらず、魔法で守られて死んではいない。


「脳をこのように弄ると、ここに豆みたいなものがあります。これが感情を司る部分なんですよ!」


 本当に凄い。

 この人は独学で扁桃体を見つけたのか。


「この部分を弄ってやれば、機能しなくなります。するとホムンクルスが変な感情を抱いて指示に逆らう危険性がなくなります! 逆らったら手に負えませんからね」


 脳に魔法を掛けたりピンセットで弄ったりしている。


 なるほど、これをホムンクルスに施せばゴーレムのように人格がないロボットのようになるのか。


「傷を治してやれば、数時間で目が覚めます。ちゃんと出来ているか確認しましょうか」



「右手をあげて」


 奴隷は拘束を外されているにも関わらず、逃げずに言われた通りに右手をあげる。


「紙に何か字を書いて」


 ペンを持って紙に何かを書き始める。素晴らしい、知能はちゃんと残ったままだ。


「じゃあ、そこの短剣を自分の首に刺して」


 奴隷は淡々と短剣を自分の首に向ければ、躊躇なく刺していった。恐怖心も消えているのだろう。


「素晴らしいですね……」


 感動で思わず声が出てしまった。

 先生にも聞こえたのか、満足気に頷いている。


「これをホムンクルスにもやれば、逆らうことはありません。研究の為に奴隷にやるのは良いですが、間違っても普通の人間にやってはいけませんよ」


 これはあまりに魅力的だ。

 先生はホムンクルスを生み出すことが目的だから、脳の改造はあくまでその一環として扱っている。

 だがそれを普通の人間に施せば、簡単に手駒が生み出せるのではないか?


 先生は繰り返し悪用するなと警告してくるが、それに従う義理は無い。

 もっと色々調べる必要はあるが、何かに役立ちそうだ。



――――――――――――――――――――



 時間は掛かったが、先生と同等の技術や知識を手に入れ、子供の肉体の段階まで作る事が出来た。

 ここからは本命の作成を進めるぞ。


「心臓が動かないんですよね?」


「あぁ、容器から出して脳を弄る。そこまではいいんだが、心臓の動かし方が分からない。心臓マッサージもやって見たが駄目だったよ」


「なるほど、心臓を止めないように起こす方法ですか……」


「四人でアイデアを出し合って、試行錯誤して行きましょう」



 あれから色々試しているが、どうしても心臓は止まってしまう。


 零から一にするのが難しい、一から二にするのは簡単なんだが……ん? それをすれば良いのか?

 動かすのが無理なら、動いてるのを入れればいいんじゃないか?


「レナート先生、他人の心臓を移植するのはどうですか」


「なるほど移植ですか……出来ますかね……」


 そもそもこの世界に臓器移植など無い。

 それを心臓でやるのだから、流石の先生も少し躊躇っている。そもそも移す間に心臓が駄目になる。


「なんか……心臓を保護する魔法とか作ります?」


「道程は厳しそうですが……他に良い案も無いですし、やってみますかね……」




 結論から言えば、出来はした。

 すぐにホムンクルスに動いている心臓を移植したが、拒絶反応を起こしたのか、痙攣して直ぐに止まってしまった。


 二人の奴隷とホムンクルスが犠牲になり、今回で三人目だ。


 心臓を入れ替えたが、今回も問題なく動いている。

 更に拒絶反応も見られない。


 だが数十分経ってもピクリとも動かない。

 理論上は問題無い筈なんだが。


「ぅん……」


 ホムンクルスが起きた、モゾモゾと動いている。

 起き上がっては、黙ってこちらを見つめてくる。


 それを迎え入れるのは、過去一テンションの高い先生。


「おはようございます! 体調は大丈夫ですか? 身体は動かせますか?」


「……?」


 だがホムンクルスは無反応だ。レナート先生も接し方に戸惑っている。


「あのー……分かります?」


 先生が朗らかに話しかけるが、反応はない。

 ちゃんと呼吸はしているし、先生の方を見てはいるんだがな。


「先生、この子、何にも知識がないんじゃないですか? 奴隷と違ってずっと筒に居たから言葉も知らない可能性が……」


 それを見かねたツバキが横から鋭い指摘を投げかける。

 確かにそうだ。ずっと筒の中に居たのだから、知識をインプット出来ているわけが無い。


「そうでした! となると……ここに放置するのは色々と不味いですね。一度屋敷に連れて帰ります!」


 バレずに持ち帰る為に箱に詰めていく。

 この世界で唯一のホムンクルスだと言うのに、まさかこんな扱いを受けるとは。


「あのホムンクルス、これからどうするんだ?」


「さぁ……」


 大成功のはずなのに、なんだか締まらないな。

 結局身体は子供でも、中身は赤ん坊と同じだから子育てから始まるのか……

 量産は難しそうだな。



「一旦屋敷のメイドに拾い子として預けて、育てて貰う事にします。僕も毎日見に行って、上手いこと教育します」


「あのホムンクルスは、今後はどうするんです?」


「まだ急に倒れる可能性もあるので暫く様子を見ますが、ある程度知識を教えて、指示に従ってくれるようなら今後の研究の助手として使いますかね」


 先生の言っていた通り、まさに魔法要らずのゴーレムだ。まさか完成するとはなぁ。

 先生が想定以上に研究を進めていたのが大きかった。

 ただ、好奇心も無いので教えるのは難しそうだ。


「マークスさん、リンさん、ツバキさん、本当に御協力ありがとうございました。今後もより便利で完璧なホムンクルスが作れるように、追求して行こうと思います」

語彙力ある人の脳を弄りたいです。

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