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業の軌跡 〜悪魔は不老不死を渇望する〜 (未完結)  作者: 橘 涼
〜士官学校編〜
33/106

32 *R15

倫理的な観点からR15に指定。

 結局エルフの研究は中途半端に終わり、二度目の長期休暇が来た。


「あれ、ツバキ今年は家に帰らないの?」


「帰らないに決まってるだろ……」


「ツバキは変な事してないし、今のところ家族に手を出す予定は無いよ?」


「それ位は分かってるが、気が向かん」


「ふーん? じゃあ僕たちの村に帰るか」




「母さん、大丈夫?」


 手紙である程度の話は聞いていたが、母さんの体調がここ暫く宜しくないらしい。

 子供の頃から身体が弱いって言われてたもんな。


「えぇ、村の皆も優しくしてくれるし、全然大丈夫よ」


 うーむ、親は大体子供の味方をしてくれるからなるべく死んで欲しく無いんだよな。

 色々原因を調べたいところだが、時間も数日しか無いし、ここには手術器具がない。


 特に怪我をしている訳でもないので、医療魔法で治せないのは厄介だ。


「母さん、学校を卒業したら色々用意して僕が治します。それまで頑張って生きてください」


「ありがとうマークス……」



――――――――――――――――――――



 三年生になった。


 あれからリンと走り込みなどの運動を一度もサボらず毎日繰り返し、二人で手合わせしていたので一年生の頃は差を見せつけられた先生に劣らない程の体力が身についた。


 先生達からも一目置かれ、是非とも運動関係の学部に転部してくれないかと懇願されるほどだった。

 まぁ既に三つの学部に入っているし、当然今更変える気はない。


 変人だが、成績も武力も優秀だと噂が流れていて、勧誘されたり話しかけられたりする事が増えた。

 当然断っているし、返事したりはするものの、距離感が近づかないように気を使っている。

 手駒にしたい程優秀な者も居ないので、リンとツバキ以外はフラットな関係でいい。


 


「さてさて、今年は私が貴方達とやりたいと思っていた、ホムンクルス作成を始めようと思います!」


 今年は、ホムンクルス作成に挑む。

 心臓マッサージの手柄を譲る見返りとして、先生が一人で築き上げてきたホムンクルス作成に関する知識や技術を伝授してもらう事にした。


 作成にも協力するので、行き詰まっていた先生にとっても有難い申し出のはずだ。

 利害が一致した交渉は、懸念事項が無くて良い。

 


 ―――ホムンクルス


 世の中にはゴーレムというものがある。

 岩や土に魔法を掛けて身体を作り、魔法で命令を出す事でその指示通りに動かす事が出来るというものだ。


 魔法にある程度精通して居れば、作るのはそう難しくはない。魔法学部の人が校庭で作っている様子を見たことがある。土が人間のような形で動いていた。


 魔法を常に掛け続ける必要があり大変だが、それに見合った労働力が得られるので城や屋敷を作るのには欠かせない存在だ。

 戦争に兵器として使われたりもするが。



 それに対しホムンクルスは、動かすのに魔法など必要ない。まさに人工的な生命だ。


 ホムンクルスの定義が分かっていなかったのだが、先生曰く「零から生み出した魔法要らずのゴーレム」という事らしい。


 もし仮に、ホムンクルスを作ることが出来るようになれば、手駒を楽に確保できるようになるかもしれない。

 数は力なのだ、現状手駒は二名しかいない。

 是非とも作れるようになりたい所だ。


 それにしても機械のないこの世界でのホムンクルスは、一体どのようなものになるのだろうか?

 想像もつかない。






 やはりレナート先生は天才だ。


 まず作成に協力するにしても、過程や仕組みを僕達も理解しないといけないので、一から説明を受ける事になった。


 そして目の前にはレナート先生が用意した、謎の液体で満たされた大きな筒があり、その中に子供らしきものが眠っている。


「こっそり進めていたんですよ、ここら辺は気味悪がって誰も入ってきませんからね!」


 研究とは言え、校内でこんなことをしてお咎め無しなのか? 先生も上手く動いてるのかな。


「この液体には特別な魔法が掛かっていましてね、成長を促進させる効果があります。妊娠させた女性から受精卵を取り出して、この中に入れると成長してこのようになります」


 受精卵、男女が交配すると出来る子供の元になるもの。

 一応妊娠関係は子孫を残す為には重要なので研究が進んでおり、詳細は解明されているが、取り出せるとは聞いた事がない。

 手術を駆使して一人で頑張ったのだろうな。


 先生曰く、奴隷を使って用意したらしい。


「これは受精卵から育てたってことですか、つまり身体の構造は普通の人間と同じと?」


「その通りです。ただそれだけでは成長が早いだけの生命になります。なので人格を形作る脳を弄って、ゴーレムのように指示に従うだけの存在にします」


 筒の中の子供は一見普通の人間に見える。

 受精卵の状態から一ヶ月でここまで来るらしい。


 受精卵から育てているので零からと言えるのか分からないが、レナート先生がそう言うのならばそうなのだろう。


「脳の弄り方も教えます、危険なので外部に漏らせないように契約してもらいますが」


 レナート先生の中ではこの状態ではまだ人間であるらしい。人格を破壊する事で、生命を持ちつつも命令に従うホムンクルスになれるのだとか。


 疑問に思ったのか、リンが先生に問いかける。


「既にホムンクルスとして完成してるようにも見えるのですが、何が問題なんですか?」


「それがね……目覚めてくれないんだよ……」


 思ったよりも致命的だなぁ。

 筒の中では生きており、成長もしているのだが、取り出す時に心臓が止まってしまうらしい。


 なるほど。

 完成はしていないが、先生が人生を費やしただけあって、相当の出来だ。

 漏らせないように制限は掛けられたが、使えるのならば問題無い。この技術を全て頂くとしよう。

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