31
デイン帝国からエルフの遺体が数体届いた、これからも順次届けていくらしい。
どこから用意したのだろうか、恐らく国の性質的にエルフの里を見つけて侵略したんだろうな……
エルフの特徴としては、かなり美形で耳が尖っている所だろうか。
それ以外には大きな違いは見つからない。
レナート先生もエルフを見るのは初めてなのか、楽しそうにしている。
「さて、まずはエルフと人間との違いから探していきましょう!」
早速解剖のお時間です。
ツバキが慣れた手つきでエルフの身体を切り開いていく。手先が器用で、始めて一年で手術は誰よりも上手くなってしまった。
そういう素質の可能性もあるな。
長寿のエルフの体内はどうなっているのだろうか。出来ることなら我々にも取り入れたい。
……あれ? 臓器の見た目が人間とほぼ変わんないぞ?
もしかして違いって細胞とかそれくらいのレベル?
かなり苦戦する予感がするぞ。
数ヶ月が経過した。
デイン帝国からエルフが定期的に届くとはいえ、向こうにある数も限られている。
一体一体を慎重に扱わないといけないし、未知の生命体というのもあって中々順調には進まない。
前世の知識が何一つ活きないのが辛い。
一先ず人間との違いは血液にある事が分かった。
血液に含まれている魔力が桁違いなのだ。心臓の脈動も人間より遅く、エルフの血液は人間の血液より優れているのでは、という仮説が立っている。
だが単純にエルフの血液を人間の血液に混ぜても、固まって血栓になってしまう。
血液を入れ替えるだけで長寿になるのかも分からない。
「デイン帝国からのお達しだ。何とか血液を入れ替えれないか調べてくれ、だそうだ」
エルフの血液を調べ、人間に適合させる研究が始まった。
エルフの血液に色々な魔法を掛けたり、薬を混ぜたり、人間の血液に魔力を込めてみたりと様々なアプローチをしているが、結果はよろしくない。
人間と別の種族なのでアプローチが正しいのかも分からない。 そもそもこれは生物学者がやることなのだろうか。
そもそもエルフに手を出せる程の余裕のある、優秀な学者が居ないのかな?
にしても別の種族か……未だに研究は成果は出せていないものの、種族についてよく考えさせられた。
この世界には様々な種族がいるし、種族によって利点が存在する。エルフならば長寿のような。
その利点をあらゆる種族から取り入れれば、不老不死に近いものが出来上がるのではなかろうか。
どんな形であれ不老不死のためには身体を改造する必要があるだろう、そこで鍵になってくるのが「適合」だ。
エルフの血も人間に適合出来るようになれば、上手く機能するはずだ。
もう少し適合についてしっかり考えるべきなのかもしれない、手駒の二人にもそう伝えておこう。
更に半年が過ぎた。
魔法や薬を調合して血液は徐々に混ざるようになり、ようやく人間とエルフの血液が混ぜれるようになった。
この魔法や薬のレシピを発見したのは今後に役立つかもしれない。
この情報を帝国に渡し、後は人に混ぜてどのような反応が起きるかだ。
「デイン帝国からもお褒めの言葉が届いたぞ、このまま奴隷を使って血を入れ替えて反応を見てくれ、だそうだ」
ようやく生物学らしくなってきた、早速奴隷に混ぜて反応を見よう。
身体に負担が掛からないように少しずつ入れ替えて行く。
半分ほど入れ替えた頃だろうか、心臓の脈動が遅くなり衰弱死してしまった。
「……」
何とも言えない微妙な空気が漂う……
「何がダメだったのか調べますか……」
先生も脱力している。
結局研究とはトライアンドエラーなのだ、何割までなら大丈夫なのか、なぜ衰弱したのか、色々調べていこう。
理由は簡単だった。
エルフの血液が人間の血液と適合した所で、人間の心臓がエルフの血液と適合しなければ機能してくれない。
いくら何でも今の技術力では心臓の改造は出来ない。
僕ら人間がそういうものに適合出来るようになればいいんだけどなぁ……そろそろ一年も終わってしまうし、ここらで頭打ちかもしれない。
デイン帝国からは報酬として学校にお金が渡され、僕らにも僅かだが取り分を分けて貰えた。
結局心臓を何とかすることは出来ず、エルフの血を体内に入れて長寿! なんてことは出来なかった。
まぁそれでも良い経験にはなったし、エルフの血液を混ぜれるようになるレシピも手に入れれたので、悪くは無いだろう。今後は独自に続けたい所だ。
あれから適合について考えていたが、一つ心当たりが浮かんだ。
何処かで研究の機会が来る事を祈ろう。
研究パート、あまり書きすぎると話が進まないし、ある程度書かないと何をやっているんだ、ってなるので加減が難しい。




