22 *R15
変な研究をしているとR15の基準が分からなくなる。
あくまで自分基準なのでご了承ください。
今回は保険で付けておきます。
あれから全然あの貴族が大人しくならない。
あれから目をつけられたのか、理由も無しに暴行を奮ってくるようになった。あの先生め、とんだ置き土産だ。
そこまで苦しくもないし、リンが飛ばす殺意が徐々に減っているのが分かるので、悪くは無い。
が、研究の時間が減るのは面倒だ。
出来ることならどこかで"処理"したい。
そして学部は、リンとの話し合いや実際の様子を見て、追加で薬学部と医療学部に入ることにした。
でも生物学部が要なのには変わりない。
選択期間が終わり、正式に専攻学部が始まる今日、レナート先生の研究室へ顔を出したのだが……
「まさか今年は"三人"も同志が来てくれるだなんて、大変喜ばしいですね」
なんか居る。
僕とリン以外にもう一人。謎の女の子がいる。
何でいるんだよと言いたげな変な顔をしている。
「まぁ、とりあえず挨拶をしましょうか。僕はレナート、レナート先生やレナート教授、自由に呼んでくれたまえ」
「今年から生物学部に所属するマークスです、よろしくお願いします」
「リンです、よろしくお願いします」
謎の女の子が僕らを睨みながら答える。
「……ツバキだ、よろしく」
ツバキと言うのか、というかまだ何もしていないのに睨まれている。この人も僕のように、レナート先生と二人きりで研究をしたかったのだろうか。
「ありがとうございます、僕たちは同志なのですから、仲良くしましょうね!」
先生はそんな僕たちを見て満面の笑みを浮かべている。この人もこの人だからなぁ……
その後、初日なのにも関わらずいきなり人間の遺体を持ってきた。
「早速これを使って色々弄っていきましょう!」
ツバキなんて明らかに引いている、先生は言い方が悪すぎる。
ただ、授業になると先生は真面目な表情に切り替えて、先生らしく人間の解剖の仕方、する時に気をつけることなんかを丁寧に教えてくれる。
僕がジェイさんにやった時は、返り血が付いたり臓器が爛れ落ちたりしまった。満足に研究出来なかった。
腐敗したのか臭いも酷く、川や魔法で頑張って洗い流したりなんかもしていた。
先生が実際にメスを入れて執刀を始めた。
体内が顕になるが、やはりジェイで確認した通り体内の臓器などは前世と同じような感じだ。
あれ、魔力はどこで生み出しているんだ?
先生が各臓器の役割の説明を始める。
ただどうやら臓器の大体の役割は分かっているものの、細かい部分は未解明なものがあるらしい。
まぁこのレベルの文明ならば仕方ない。
この学部では、死因の分からない遺体が送られ身体を解剖して調べることによって、死因を突き止めるという事も研究兼仕事になっている。
たまに犯罪を犯した犯罪奴隷が送られてきて、生きた人間も実験に使えるらしい。手術の練習に使うのだとか。
なるほどなぁ、切り傷や火傷など様々な表面の傷を治そうとする医療学部とは違い、こちらは手術などを用いて、体内の臓器から治していくわけか。
やっていること自体は似ているが、調べる際に亡骸を弄るのだ。世間的には蔑視されるのだろうな。
前世の医学でも、数多くの犠牲があったからこそ成り立っていたというのに。
ツバキを横目で見れば少し青ざめている。
こいつは一旦様子見だな。
そういえば魔力のことを聞いていなかった。
「レナート先生、魔力はどの臓器で生成しているのです?」
「生成の仕方は分かっていないが、血液の中に含まれているぞ」
血……
血だったか……見落としていた。
やはり前世が高校生止まりだったのもあって、分からない事が沢山出てくる。
この学部に入って本当に良かった。
「じゃあ今日はこの位にしておきましょう、私は基本的にはここに居るので、質問とかあればいつでも聞きに来ていいですよ」
おお、それは助かるな。少人数ならではの利点、一人一人に時間を掛けれる点が光っている。
そう言って先生は遺体の処理をしにどこかへ行ってしまった。今部屋には三人だけだ。
ツバキが気まずい空気を何とかしようとしたのか、リンに話しかける。
「あなたはなんでこんな所に入ったのよ」
「マークスさんが人体に興味がありますので、従者である私も着いていくのは当然の事です」
「あなた従者なの? マークス……女性の従者って本気?」
ツバキが訝しげにこちらを見てくる。
彼女の懸念事項は僕でも理解出来る。
貴族社会において、跡継ぎ問題は非常にデリケートな存在だ。貴族同士の間に出来た子供で無ければ、正式な跡継ぎになることは出来ない。
子宝に恵まれなかった者は、国に申告することで例外的に平民とも子を育めるようになっているが、極力平民の血は混ざらないようにされている。
娼館は避妊が徹底されているので、年頃の元気な貴族たちはそこで性欲を発散する訳だ。
そして貴族は従者を連れているが、平民の場合が多く、従者は常に傍にいる存在だ。
仮に従者が異性の場合、長く一緒にいる影響で恋愛関係に繋がり、過ちを犯してしまう可能性がある。
過去に前例があったのだろう。異性の従者は、その従者も貴族でない限り徹底的にタブー視されている。
リンは忌み子の為、貴族であるはずが無い。
従者を連れる平民も中々居ないので、恐らくツバキには僕がタブーを犯している愚かな貴族に見えているのだろう。
「あぁ、従者はいるけど僕は平民なんだ。リンは元奴隷さ」
「何だと? リンは今は奴隷ではないのに、お前に従っているのか?」
「まぁ、そういう事だね」
「……そうか、女遊びは他所でやってくれよ」
ツバキは少し残念そうに言い残してどこかへ行ってしまった。この学部で唯一の同性の人が、男に付きっきりでショックだったのだろうか。
というか僕はリンを抱いていないし、今後も抱くつもりはない。避妊が確実とも限らないのに、抱いて妊娠したらとんでもなく面倒だ。
医療がしっかりして居ないこの世界じゃ万が一が有り得る。リンも何かを待つようにこっちを見るな。
まぁでもリンに話しかけたってことは、やはり同性の方が話しやすいのだろう。
リンにはコミュニケーションが出来るようになって欲しいし、なるべく仲良くさせるように指示しておくか。




