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1週間後、合格発表に見に、再び学校へやって来た。
掲示板には、合格した者の番号と名前が点数順に載っている。子供や親が周りに群がっている。
嬉し泣きする者、落ち込んで落胆するものなど、受験みたいな反応を示している。
僕とリンの番号は簡単に見つかった。それぞれ一位と二位だった。
うーむ、周りのレベルが思ったよりも低い。こうなるならわざと低い点数にすれば良かった、断トツでは無いがトップを独占したのだ。注目はどうしても集まってしまうだろうな……
なるべく一位なのがバレないようにしたいな、いや名前まで載っているのだ、先生に呼ばれて終わりだろうな。
まぁ実技試験含めて一位なので、誰でも僕らがそれなりに強いということは分かるはずだ。忌み子もいるし暴走を恐れて変につるんではこないだろう。
無事合格したのを確認出来たので、親に報告をし、学校へと向かった。
手紙を送るので、そこまで親も寂しくはないだろう。
荷物を置きに寮の部屋の下見をしたが、流石は国内唯一の学校だ。施設がしっかりしている。勉強机や本棚、布団まで揃っており、住んでいた村より高級品だ。
王都なのもあって周りの店もしっかりしている。
武器屋や鍛冶屋、商人の開くお店も沢山あるし、娼館まである。
学校通いの中学部の生徒は娼館の利用を特別に許可されている。学校で過去に性のトラブルでもあったのだろうか。
入学式が始まった。
舞台で学園長が長ーい話をしている。拡声の魔法があるのだろうか、マイクはないのに声が後ろまで響いている。
前面には貴族が座っており、その後ろで僕たち平民が、恐らく成績順に座っている。
一番前の列に忌み子が座っているのだ、それはまぁ目立つこと目立つこと。後ろから凄い視線を感じる。
横に並んでいる先生にも認識されてるんだろうなぁ、ちょっと憂鬱な気分になる。
ただこればっかりはどうしようも無い、諦めよう。
その後教室に集められ、この学校での授業の仕組みを具体的に説明された。
まず全員受講必須の授業がある。一般常識だったり、国語算数理科社会の基礎だったり、体力を作る鍛錬等がそれに含まれる。
ただ入学試験の成績が良いと、勉学の大半は免除される。
僕らは筆記もかなり良かったので、運動系が多めになりそうだ。
そしてもう一つが剣や槍、魔法、薬や研究など幅広く揃えられている学部に別れて、その内容を専攻するものだ。
僕たち新入生は、一ヶ月の選択期間を与えられるので、その間に先輩達の授業の様子を見て回って、どれを選ぶか決めるというわけだ。
最大三つまで一気に取れる。学部によっては、貴族と合同で活動する所もあると言われた。
基本はその学部で三年間活動するのだ、慎重に選ばなければならない。
剣を扱う剣学部が一番多いらしく、三人に一人はそこに所属している。騎士に憧れる者が多いのだろう。
ある程度どこに入るかは決めておいてあるが、一度全部見ておこう。思いの外良いものがあるかもしれない。
なんだか若返った気分だ、実際そうなのだけど。
入学式と学校や施設に関する説明で今日は終わりらしい。解散したので寮に戻るとするか。
「ねぇそこの君、俺のこと覚えてる?」
寮に帰ろうとすると横から声をかけられる。変なガキが絡んできたのかと思ったが、爽やかな大人の男性だった。先生だろうか。
どこかで見覚えがある、どこだったっけ、隣に立つリンに聞こうとしたが思い出した。
「あぁ、試験官の方ですか、覚えていますよ」
この人実技試験で僕の相手をした人だ。
様子見の段階で終わってしまったが、かなり強いのをとヒシヒシと感じていた。
向こうが本気なら負けているだろう。そんな人が何の用だ?
「いやぁちょっと気になることがあってね、その強さ、どこで手に入れたんだい? 君たち二人が一番強かったよ」
「村で狩人に狩りを教わってました、かなり小さい頃からやっていたので、腕には自信がありますよ」
そう返すとほぉ...…と興味津々なのか、全身を興味の目で見られる。
「君は将来騎士になれる素質があるよ! 僕は剣学部担当の先生だ、是非とも来て欲しいな!」
「考えておきます」
頭を下げると満足気に立ち去って行った。
邪険にする訳にはいかないので、ひとまず社交辞令で乗り切った。序盤は疑われているのかと思ったが、終盤で急に勧誘のようになったな。
周りを見てみると他にも声を掛けられている生徒がいる、僕もその後何回か掛けられた。
「マークスさん、これは恐らく……」
「あぁ、どの学部も有能な人材を確保したいんだろうね……」
リンには、流石に学校の人前でご主人様と呼ばせたくは無いので、マークスさんに変更しておいた。元々リンが自主的に呼んでいただけで、僕にそんな趣味はない。
索敵の素質があるし、強いのでボディガードとして常に一緒にいるようにしてある。
結局、一つの学校と言えども、学部によって多少の優劣はあるのだろう。先生側も成績が優秀だった者を引き入れて、少しでも成果を上げたいのだ。生徒数の少ない不人気な学部はなりふり構わず声をかけている。
校内で大きな研究成果が上がったり、騎士にも劣らない強い者が現れれば、学校全体の評価も上がる。それを生み出した学部も一目置かれるようになるのだろう。
なんか中等部なのに雰囲気は前世の中学校とはかけ離れている。まぁ文明のレベルが違うし仕方が無いか。
不老不死の為にも、学校という環境を上手く使おう。




