15 *R15
第一優先は自分の生存率を上げること、不老不死の研究をする前に死んでしまっては元も子もない。
素質のお陰で病に侵されることは無いし、自然治癒も早い。しかし重症を負うとどうしようも無い。
まずは医療魔法の練度を高めるべきだろう。
ということで実験台は二人居る、一人は医療魔法の練習に使わせてもらおう。
リンが人を傷つけられるかのテストも兼ねる。
懇願するような目を向けられているにも関わらず、リンは容赦なく切り傷、刺し傷、裂挫創と指示された種類の傷を付けていく。
躊躇も無いし腕が良い、拷問に向いてそうだ。
そして僕がそれを医療魔法で治してやる。
何回か繰り返したが、特に失敗もなく治せた。
ただ段々治る速度が遅くなっていた、抵抗も弱くなっており、かなり体力を使うのかもしれない。
これくらいの傷なら問題は無さそうだ。もっと酷い傷を治したいが、一日で全部やると衰弱死してしまいそうだ。
続きは明日やろう。
「今日は指を数本切り落とそうと思います、すぐに治すので頑張って我慢してくださいね」
「んー! んー!」
何かを必死で訴えてくるが知ったこっちゃ無い。
事前に教えてくれるだけ有難いと思え。
リンは淡々と指を切り落としていく。
おお、本当に指が生えてきた。
図書館の論文には、医療魔法は人体への知識と魔力があれば使えると書かれていた。
沢山本を読んできた甲斐あって、僕の人体への理解は深いのだろう。リンにもやらせたが治すことが出来た。
ただ、この世界はあまり臓器などの役割や構成は知られていない。少なくとも治せるのは外傷だけだろう。
それでも十分な収穫だ。
暫く傷つけて治してを繰り返し、手を切る程度なら何度でも治せることが分かった。
ただし肩まで切ると治しきれず、手が無くなってしまった。今の僕の魔力の限界なのだろう。
当人も衰弱しており、多少の抵抗するものの叫ばなくなった。これはもうほっといても衰弱死しそうだな。
さて、もう一人は猿轡を外したいので、変に喚かれないように敢えて実験の様子を見せていた。
今では顔が真っ青で、実験台が死んだら次は自分がこうなるとでも思ってそうだ。いい感じに絶望してくれている。
「さて、君は今から猿轡を外すけど、余計なことを喋ったらさっきの人のようになるからね」
コクコクと大きく頷いてくれる。
人を大人しくさせるには、やはり恐怖が一番手っ取り早 い。
「君にはこれを食べてもらおう」
禍々しいオーラを出す魔物の核を見せてやる。
相当嫌だったのだろうか、目を瞑って首を振って全力で嫌という意思表示をしてくる。
そんな事したら指が切られるって分かっているのに、ここまで抵抗するのは本能的な問題なのかもしれない。
オーラがキツイ人には相当キツいんだろうな。
面倒臭いし無理やり食わせちゃおう。
鼻を摘んで、酸素を取り込もうと空いた口に核を無理やり押し込んでやる。
「ゔぇぇ……」
うわ汚っ、ちょっと吐いたぞこいつ。
まぁ吐いたのはごく僅かなので食べれてはいるだろう、ダメだったら手を切ってもう一回食わせるだけだ。
暫く様子を見ていると、突然苦しみ出した。
どんな感じか聞きたいが、それ所では無さそうだ。
結局そのまま気絶してしまった……心臓は動いているし息はしているので生きてはいるはず。
うーん、今日の実験はこれで終わりかな。
以前、動物に魔物の核を埋め込むと、魔物になったと言った。これは食べさせても同じだった。
では人間は? 僕の予想では、リンのような赤目になるのではなかろうか。
魔物にならない理由は分からないが、単純に免疫のようなものがあるのかもしれない。
そうなればリンの過去に説明が付く。
生まれつき赤目なのは分からないが、どっかの遺伝子に混ざってたんだろう。
翌日、やはり予想が正しいことが証明された。
本人は特に違和感は無いらしいが、ちゃんとリンのような赤目になっている。
となるとやはりリンはヴァンパイアの核を食べたのか? 聞いてみたが、覚えていませんと帰ってきた。
申し訳無さそうにしているが、幼少期の話だ。それ位は仕方ないだろう。
まぁ試したいことも試せたので、後は死ぬまで色んな薬を飲ませて、効果を確かめるのに協力して貰うか。
リンも自主的に動けていい感じだ。




