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あれから特に大きな問題もなく研究は進んでいる。
時々ジェイが僕たちに何も言わず、こっそり気配を殺して着いてくるが、リンの索敵で見えている。
絶対母さんが何か吹き込んだな。
その時はこっそりリンに合図をしてもらい、その日はカモフラージュの洞穴の拠点で普通の研究をする。
表向きは動物や魔物の解剖をする場所、図書館や商人から買った本を読む場所にしている。ジェイは明らかに怪しんで顰めっ面をしていたが、「どこを攻撃すれば致命傷になるのか等も調べるので、狩りの役に立つかもしれませんよ」「ここら辺の魔物は大きいですからね、ここら辺を拠点にしないと持ち運びが大変です」と伝えたら渋々ではあるが納得はしてくれた。
今の所の懸念事項は二つ
たまたまどこかの冒険者や狩人が隠し拠点を見つけてしまうこと、もう一つは母親の存在だ。
前者はどうしようも無いので諦めて拠点を捨てるしかないだろう、わざわざ田舎の森の奥に行く物好きはいないと願いたい。
後者は厄介だ。母さんは息子だからか色々な行動を許容してくれているが、頭はかなり良い。僕の行動を感付き、本気で対処されたらかなり厳しい。
今の所ジェイの報告で何とかなってるが……何か手を打っとかないとな。
まだまだやることは沢山ある。
また、森の更に奥にもこっそり行ってみたが、逆に浅くなり別の村が見えてしまった。ここら辺が最深部なのだろう。魔物もかなり大きいしな。
さて、この恵まれた環境を利用して、気になったことを片っ端から調べてる訳だが、非常に有益な情報を得られたと思う。細かい部分は後々必要な時に語るが……
総括すると、魔物は「核」が本体なのだ。
あまり傷つけずに核だけを抜いてやると、魔物は抜け殻のように動かなくなった。
また、動物の体内に核を埋め込むと魔物に変貌した。
寄生虫に近いのだろうか? 体が乗っ取られているみたいだ。
ある一つの仮説が浮かんだが、今はまだ検証出来ないので後回しだ。
他にも、核を移すと移した先の魔物が元の魔物の性格に似る。自分から襲ってこない個体の魔物の核を、獰猛な魔物だったモノに移すと、襲ってこなくなる。
正に核が本体になっている。
今は魔物をペットのように出来ないかと手懐けようと試行錯誤している。懐いた魔物の核を、強力なモンスターに埋め込めばどうなるだろうか?
あぁ、楽しみだ。
とはいえ魔物をどこかへ連れて行く訳にはいかないし、移植の手間が掛かるからあまり融通は効かなそうだ。
ただ可能かを知るだけでも価値はある、少しでも手札を増やせるようにしなくては。
そして遂に首輪の魔法が解明できた。どうやら余計な情報を混ぜることで、盗用されないようにしていたらしい。
お陰でかなり苦戦してしまった。
これで更に自分なりにアレンジを加えたいので、まだまだ研究は行うが、一から解明するよりは楽になるはずだ。
魔法具も作れるようにならないとな。
薬も魔物を使って、効果があるのかを確かめている。効果を実感しにくかったり、世の中には便利な魔法があるので、世間的には評価されていない。
だが個人的には価値のあるものだと思っている。
薬にも利点はあるのだ。
一つ例を挙げてみよう。
筋力を増強する魔法がある。これを使えば一時的に筋力が増強し、より強く、より速く動けるようになる。
ただし魔法が切れたらそこでお終い、更に身体が慣れてないから酷使すると筋肉痛にもなる。
それに対し薬はどうだろう。
筋力増幅薬というものがある。名前は非常に胡散臭いが、軽く調べてみると、栄養素が詰まっており害になりそうなものはない。
これを飲んで運動をすれば。効率的に筋肉が身につくようになる。更に身についた筋肉は、運動をやめない限り衰えることはない。
やはり効果が保証出来ないのと副作用があるのが不評の原因だろう。
副作用は、恐らく用法、用量が明確になっていないからだろう。薬と言えども飲みまくれば逆に身体の害になってしまう。馬鹿は飲めば飲む程効果が出ると考えそうだ。
用量を魔物で調べてみてはいるが、それが人間と同じなのかはハッキリしない。
やらないよりはマシだし、魔物の改造も出来るかもしれないのでやってはいるが、どうしても人間が欲しくなる。
リンが私がやります、と懇願してくれたが今は立派な手駒、そんなことで身体を駄目にする訳にはいかない。
様々な分野の研究を同時進行で行い、順調に進んではいるが、どうしても人が欲しい。リンのような協力者も、薬や研究の実験体になる人も。
奴隷を買おうか……いや、まだ母さんに見限られたくは無い。遠くの村から誘拐しようか……バレない保証は無いし確実に捜索される。面倒事を招くだけだ。
うーむ……やはりそう簡単には不老不死に近づかせてはくれないらしい。
考えることが多すぎるなー、大変だが一日たりとも無駄にする訳にはいかない。幸い素質の『超強壮』のおかげで体調を崩すことは無い。
当然こんな実験をメモに残す訳にも行かないので、情報は全部頭に入れてある。そのうちパンクしそうだ。
もどかしさを感じながらも、月日は経過していく。




