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ホラーはやめてぇ!

―調査15 ホラーはやめてぇ!―


「調査に行くぞ。」


進は、教室に入ってきて開口一番にそう言った。昨日とは違い、その目はまっすぐに俺を見ている。


「本当に行くのか? 」


俺は咄嗟に目をそらして、窓の外を見下ろした。昨日の血だまりは、俺が登校してくる頃にはもう無かった。教師が片付けたのか、それとも自然に消えてしまったのか。

進は昨日の騒ぎを知っているのだろうか。

そんな思考をぐるぐる廻らせる。

だが、落ち着かない俺とは違って、当の進はいつもの調子で告げた。


「今日は『この校舎』の屋上だ。」



そして放課後になった。


校門には俺、進、煉ちゃん、蛍子が輪になるように並ぶ。俺は皆を見渡した。

蛍子は青ざめながらも、両の拳を強く握って校舎を見上げている。

煉ちゃんは落ち着かない様子で何かに警戒するように目を動かしている。

進はいつもと変わらない。

俺は大きく息を吸って、ゆっくりと吐き出した。


進が号令をかける。


「絶対見つけるぞ。」


俺たちは、誰も頷かなかった。

しかし、進が目をつぶってからさっさと校舎に向かって歩き出すと、毎度のように全員が後を追った。


上靴を履いたとき、俺は寒気がした。外履きを脱いで、音を立てるすのこに立ち、下駄箱に上履きと交換に脱いだ靴を放り込む。これはここが廃校舎では無いこと、自分達の、今通っている学校なんだということを確かに実感させる。


いきたくない。


それでも、進の足は止まらない。


靴底のゴムと、廊下の擦り合う音、下ろした足が階段を叩く音、それらが淡々と四人分響く。


いや、なんで誰も喋らねーんだよ! こえーよ! なんか言えよ、もしくは立ち止まって! 皆が一旦立ち止まってくれたら俺がとっておきの一発芸やるから! キノコを取ったけど、直ぐに雑魚にやられたときの配管工の物真似やるから!

頼むよー、ホラーにしないでくれよ!


俺は孤独感のあまり、なんか思考が暴走していた、こんな持ち芸実際ないが。


そして、なんやかんやで屋上の扉の前まで来る。俺は願った、鍵が閉まっていて欲しい、と。


しかし、期待は扉から開く錆びた音で簡単に崩れ去る。


扉は簡単に開いた。

そして、その先には………。


「やっと見つけられたな。」


屋上の縁に立って、こちらを見ている黒い影がいた。いくら暗いからと言っても、この距離で姿がこんなにぼやけているなんておかし過ぎる。


本物だ………。間違いない。


俺は衝撃で立ち尽くした。


そんな俺たちに、影が淡く光る目を向ける。

そして、こちらを見留めると、ふっと笑って背から夜闇の中に倒れこんだ。


「なっ!? 」


俺が止めようと走ったときには遅かった。


その身体は下へ、下へと落ちていく。


しかし、それが下につくことは無かった。

昨日とは違い、なぜか途中で溶けてるように消えたのだ。


「なん、だったんだ? 」


俺は目をしばたかせた。

後ろを振り向くと、進が満足げに笑っている。ずっと探していた怪異に出合えてご満悦なのかもしれない。


「さぁ、降りようか。」


固まる二人と、険しい顔をする一人は歩き出した笑顔の男に気づいて後を追った。


2階まで降りると、そこで、ある教室に入る。そこは、


「あれ、ここって俺の教室じゃん。」


そう、俺のクラスである。

進はスタスタと教室内に入って、窓の方に歩いていく。そして、窓からベリッと何かを剥がし、その剥がしたものを俺たちの方に見せた。


「なんだそれ、手紙? 」


それは手紙のようだった。

俺は目を細めてよく見てみたが、やっぱりなんの変鉄もない。

首をかしげる俺に向けて、進は言った。


「これが七つ目だ。」


「え? 」


続く。

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