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君の歌声と。  作者: 結季奏
19/20

……君と

「マミと別れるんだ」


「え……?なんで」


「別れようって決めたんだ」


「それで、相談って何か聞きたいことがあるの?」


「ああ。お願いがあるんだよ」


「うん…」


「マミは……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ねえ。マミ。ちゃんと決断した」


「そう。わかった」


「俺は、マミと復縁できない」


「んー。そっか」


「ごめん」


「んー。でも、そんな簡単に諦められないなあ」


「でも、もう俺、新しい恋をしたいんだ」


「ごめんね。でもやっぱ私、こうたのこと1番好きなんだ。次は絶対に浮気なんてしないから。だから……」


「ごめん」


その時だった。


「じゃあさ、新しい恋をして彼女ができたなら我慢するよ。諦める」


「彼女が出来たら、諦める……?」


「うん。このまんまじゃ諦めつかないもん」


「ちょっと、待ってくれよ。そんな……」


そんな、自分勝手なこと。

 でも、少しだけ思ったんだ。

ーーユキコにお願いすれば………


「わかったよ。マミ。新しい彼女連れてきたらいいんだろ?」


「うん。でも連れてこられないんなら付き合って。お願い。好きじゃなくってもいいから」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ってことなんだ」


こうたの目は真剣だった。

つまり、わかった。


私が恋人のふりをすればいいんだということ。

だけど。


「マミちゃんと、私、そんなことしたら友達じゃなくなるかな。」


「そんなことは、ない。大丈夫。マミはそんなやつじゃないから」


「ほかの子じゃだめなの?」


「ごめん。ユキコにしか頼めない……」


しぶしぶ私は、頷いた。


2日後。

恋人のふりをしてマミちゃんに会うことにした。


「……おはよう。こうた」


「おはよ、ユキコ。今日は、ほんとごめんね」


「いいや、大丈夫」


「ありがと。今日は、いろいろ奢らしてもらうから」


「やった!」


なんとなくご機嫌になり、私とこうたはマミちゃんと約束している場所へ向かった。


「あー!ユキコちゃん!……こうた?」


「おはよう。マミちゃん。」


「おはよう。マミ。」


マミちゃんはなんだか意味ありげに微笑んだ。

「新しい恋?」


「ああ、そうだ。」


「まさかユキコちゃんだとは思わなかったなぁ」


「……うん」


「んー。でもちゃんと言うこと聞いてくれたんだね。諦めるよ!

ユキコちゃんに協力もらうなんて、ユキコちゃん優しいんだね。てか嘘ついてまで別れたいって気づいたからもう大丈夫。だから、さよなら。こうた」


「…え。嘘って……」


「そんなのすぐに分かるよーだ」


マミちゃんは笑顔で走り去っていった。

うん。これで良かったんだよね。


自分に言い聞かせて、それからこうたを見た。

「ありがと。ユキコ」


「なにか奢れよー」


「ああ」


そう言ったコウタの声はどこか淋しげだった。

「なあ、ユキコ…」


「……ん?」


「俺さ……」


「なに?」



「ユキコと付き合いたい」


「……?」



がたん。なにか崩れるような音がした。

「え?」


コウタは表情を失っていた。

私を見ているのではない。

私の後ろの物音がしたほうを見ながら。


「嘘だろ……まさか。まさか!」


見たことのないコウタの顔。


私の、後ろなにか。


振り返った。

物音のしたほうを。


私は、言葉を失った。





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