決意を胸に
この世界は、『現実』なんだ…
その事に広場の全員が気づかされた、あのアナウンスの後、広場はまたパニックに陥っていた。初の死者も出た。死んでいない可能性もあるが、その可能性は相当低いだろう。あのアナウンスが本物か偽物かどうかぐらい、誰でも察しがつく。
どうすれば…どうすれば、この地獄から抜け出せるの…?一体…どうすれば……
そうだ、そういえば優真が言っていた。『ゲームみたいな世界だ』と。さっきのアナウンスでも私達の事を『プレイヤー』と呼んでいた。やっぱりゲームなんだ、この世界は。そうだ、アナウンスでも言っていたじゃないか。
この地獄から抜け出せる唯一の方法、それは、この『ゲーム』を『完全攻略』すること。期限の一年が過ぎるまでに。
でも、私はオンラインゲームをやったことがない。この後どうすれば良いのかわからない。優真ならわかるかも知れないが、さっきの林にはもうすでに誰もいなかった。なら誰に聞くべきか…その答えはすぐに出た。聞く人ならいっぱいいるじゃないか。そう、この広場に!
そう考えついた私は、広場の真ん中、一番目立つ場所に立つ。そして叫ぶ。
「皆さん!聞いてください!」
いくら混乱に包まれていようとも、さすがに大声には全員反応してくれたようだ。それは好都合と私は続きを叫ぶ。
「私は、この世界から脱出したい!でも私はゲームをやったことがないからどうしたらいいのかわからない!そこで、同じように脱出したいと考えている人で、一緒に戦ってくれる人を募集します!お願いします、私に力を貸してください!」
広場に静けさが訪れる。いきなりのお願いに動揺しているようだった。お願い、誰か……!
「私やります!」「俺もやるぜ!」「早く脱出したいしね!」
次々と声があがる。どうやら、危険を侵してでもこのゲームを攻略したいという人は、私だけではなかったようだ。
「ありがとう!それじゃあ今言ってくれた人達は集まってください!」
私が言うと、何人かの人がこちらに集まってくれた。男子12人女子8人の合計20人だった。
「まず初めに、集まってくれてありがとう。正直ここまで集まってくれるとは思わなかったわ。それで、この中でこういうオンラインゲームをやったことある人はいるかしら?」
私が尋ねると、三人の男女が前に進み出てきた。
「私達は三人でオンラインゲームをやっていたことがあります。なので多少はわかるはずです」
思っていたより簡単に集まってくれた。経験者なら尚更嬉しい。これでこのゲームの攻略確率が少し上がったはずだ。
「早速だけど、これからまず何をすればいいの?」
「まずこの20人で『ギルド』を組みましょう。経験値が共有できたり、攻撃力が上がったりと少しは攻略の助けになるはずです。ギルドマスターには、あなたがなるのが良いでしょう。ええっと……」
「杏奈で良いわよ。それで、どうして何も知らない私がマスターなの?大丈夫?」
心配になったので聞いてみた。こんな何もわからない人間がマスターなんかになってしまったらギルドが崩壊してしまうのでは……?
「いえ、私達は杏奈さんの言葉に惹かれて集まったんです。なので杏奈さんがマスターになるのが相応しいと思います」
そういうものなのだろうか…、まあそれならいいのだけれど…
私は、彼女に言われるがままにギルド編成を行った。集まった三人の経験者の名前は『水無月 優美』『羽川 真希』『凱旋 龍也』だった。それぞれ『剣士』『槍士』『狙撃士』のジョブを持っているようだ。
「ギルドの名前を決めてください」
優美に言われて考える。名前か…
「……よし!それじゃあ、このギルドの名前は、『我流攻略隊』に決定よ!」
自分でも変な名前だと思ったが、何となく響きが好きだったのでこの名前で行こう。何とかなる!多分!
「初めはこの道を真っすぐ進んで、武器や回復薬を揃えましょう」
「そうね、行きましょう!」
優美の先導で進み出す。このゲーム初のギルド、私達『我流攻略隊』は、こうしてゲーム攻略に向けて歩き出した。絶対に攻略してみせる、この地獄のような世界で、生き抜いてみせる!
紅く輝く夕日が、私達を照らす。私達の戦いは、こうして幕を開けたのだった。
どうも!やっとこ六話目更新できました!
間が空いてしまい、申し訳ありません…
それではまた七話でお会いしましょう!




