待ち望んだ背中
上手く更新できると……思います?
振り下ろされた刀が見えた瞬間、俺の体は自然と忍を守るように間に入り込んだ。走り込みながら抜き出した剣先が木漏れ日を反射し、打ち合った金属の刃同士が擦れあいながらギシギシと軋む音がすぐ耳元でしていた。背後で覚悟で身を固めていた忍が、驚きに目を見開いているのが雰囲気でわかる。俺は守れた安堵感と目の前の男への警戒心を持って前方を睨む。
目の前の男は俺が来ることを想定していなかったのだろう。目を見開き、驚きを隠す様子もなかった。刀にこもる力も急速に低下し、その隙に俺は力を込めて切り払った。はっとしたように衝撃を受け流し、バックステップで距離をとる男。舌打ちを一つして、しきりに歯軋りする男をなおも警戒して睨みつけながら剣と左のホルスターに収められたデザートイーグルを握る。一触即発の重苦しい緊張した空気が流れ、辺りを重圧で包んだ。
ーーそんな空気を無造作に破ったのは、刀を鞘に戻した男の方だった。
「あー、止めだ止め!ったく」
男は頭をガシガシ掻きむしると、くるりと背を向けて森に向かって歩き始めた。あまりに予想外の行動に、思わずポカンとしてしまう。すると男は立ち止まり、首だけこっちに向けてじっと俺を見てきた。殺意が消えた今、よく見てみると中々に整った顔つきの男だった。薄く茶色がかった髪に切れそうな鋭い目つき。服はだぼっとした部屋着のようなものを着ていた。鞘に収まる刀は魔力を纏うかのように薄く輝いていた。俺の持つシュナイデンライトとは正反対の、闇を纏ったような妖刀だ。
「てめぇ、名前は?」
無造作に投げかけられた問い。男の目には殺意など一切見えない。意図がわからないが、さすがに礼儀として応えるべきだろう。
「俺は如月翔だ」
「……翔か、覚えとく」
男は何かを探るように目をつむった。
「俺は恭介、洛斬恭介だ」
恭介が目を開く。その目は獰猛な獣のようで、思わず俺は一歩後ずさった。口角を釣り上げ、ギラギラした目で翔を見つめる恭介。
「次は、殺してやるぜ翔」
一言言い放つと、恭介はそのまま目の前の森に消えて行った。探索スキルを最大にして発動すると、一定距離までは追跡できたが、そのまま範囲外に消えてしまった。だが彼がまだ俺達を不意打ちで狙ってくるとは、俺には到底思えなかった。探索スキルを最低限に戻す。
背後からドサッという音が聞こえた。振り返ると、忍が膝から地面に倒れ込んだ所だった。前に倒れそうになっている忍を慌てて支え、後ろの崖にもたれかからせる。忍は薄めを開け、そっと溜息をついた。
「終わった、んですよね……。私達、ちゃんと……生きてる……」
「ああ、こうして無事に再開できた。恭介も恐らくしばらくは襲ってこないだろう」
「よかった……ありがとう、ございました、翔、さん……」
そのまま忍は意識を失った。極度の緊張が解け、一気に疲労が襲ってきたのだろう。ゆっくり抱え、歩き出す。俺達が、数日を過ごした、拠点へと。
次回から新たなクエストへ!次回も頑張ります!




