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バインド・ゲイム  作者: 霧隠タツヤ
第二記録 スキル指南と暗殺者
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17/24

森での生活 1日目

今回戦闘シーン多めです!

っていうかほぼ戦闘シーンです!

「しっかし、広すぎないか、この森……」

NPC師匠に突き落とされ、迷い込んだ森の中で、俺はしばらく歩き続けて疲れ切った足を引きずりながら、これから3日間過ごすことになる拠点を探していた。昨日小屋を見つけたのにまたすぐ探すことになるとは、全く予想外すぎてそれだけで疲れたような気がする。

げんなりしながら休むことなく足を進める俺の耳に、小さなせせらぎの音が聞こえてきた。もしかしたら近くに川があるのかもしれない。俺は音が聞こえてくる方へ、無理しない程度に走り始めた。


「おお……、良いじゃんここ」

川には澄み切った透明な水が流れ、近くには食べられそうな木の実が沢山実っている木が茂っている。日当たりも良く、地面はしっかり乾いている。数日と言わずずっと生活出来そうな環境が揃っていた。

俺は地面に膝をつき、川の水を手ですくって飲んだ。今までの疲れが和らぐような感覚が体全体を駆け巡った。そこから追加で何杯か飲んだ後、アイテム欄にあるサバイバルキットをオブジェクト化して、その中のテントを張り始める。父さんに連れられてよく山にキャンプに行っていたので、ものの数分で、これから3日間過ごす小さな拠点が完成した。

最低限日が落ちるまでにやっておきたかったことは終わった。溜まっていた疲れが一気に出て、いつの間にか眠ってしまっていたのだろう。気がついたらもう日が暮れかかっていた。


早めの夕食を終えた俺は、このまま寝てしまうのも勿体無いと思い、少しこの辺りの地形を知ろうとテントから出た。昼間の暑さが段々和らぎ、少しひんやりする森を、出てきたモンスターを倒しながら進んでいく。時々木々に隠れて襲ってくるモンスターもいるが、探索スキルを使いながらなら何の問題も無く倒していけた。


「さて、そろそろ帰るか」

集団で出てきたモンスターを、広範囲殲滅スキルを使って倒し、レベルアップのウィンドウを軽く読んで消すと、なんとなく呟いた言葉通り、元来た道を地図にそって戻っていく。新しい道から行った方が探索は進むが、この世界の地図は、自分が行ったことのある場所以外は黒くなっているため、夜に進むには危険だ。つくづくRPGゲームそっくりだと内心で思いながら、マッピングされた道のうちの安全な所を通って拠点へ帰る。だがその途中、思いもよらぬ襲撃者が、俺を待ち構えていた。


「The……Theザ・ Swordsmanソードマン Killerキラー……っ!?」

突如目の前に現れた時空の亀裂。その中から、雄叫びと共に固有名詞持ちモンスター、つまりボス級モンスターが俺の前に出現した。見た目は落武者と龍が合わさったように見える。持っている武器は拳銃。禍々しいオーラが目に見える。通常一本しかないはずのHPゲージが二本存在し、さっきまで戦っていたモンスターよりはるかに大きい体。誰がどう見ても、只者じゃない。

「グォォォォゥッツ!!!!」

雄叫びが森に響き渡る。思わず耳を押さえたくなるほどの大声だ。改めて、探索スキルを使用し相手の強さを探る。


Theザ・ Swordsmanソードマン Killerキラー Lv.25

HP 25000 STR 750 DEF 1500

武器 片手用拳銃

使用技ウェボンスキル ?????? ?????? ?????? ??????


……強い。俺のレベルが22。まだレベル差がないのでマシだが、俺はゲーム知識でレベル上げをしていたからで、本来今の他プレイヤー平均レベルは10ぐらいだろう。こんなのに遭遇して、無事に勝てるとは思えない。剣士ソードマンキラーしという名前から、何かしら剣士が不利になるような技を使ってくるのだろう。そこも注意しなければいけない。ちなみに今の俺のステータスはこんな感じだ。


如月きさらぎ しょう Lv.22

HP 3480 STR 540 DEF320

武器 片手用直剣 『シュナイデンライト』

使用技ウェボンスキル 垂直軽攻撃技『スキート』 広範囲殲滅技『ダブルアート』 個別武器専用技『ライトスラッシャー』


改めてこのボス級モンスターが恐ろしく強いことがわかる。俺は片手剣『シュナイデンライト』を構えながら、相手の攻撃を読みにかかる。この世界の敵モンスターは、攻撃するときに相手の方向と避けるルートを計算してから攻撃するという特徴がある。なので戦闘にそこそこ慣れ、ある程度の反射神経とAGIがあれば大抵の攻撃は避けるか受け止められる。(受け止めても少しダメージを受ける)

シュナイデンライトを構えたまま距離をとる。まだ相手は動きを見せない。緊張が辺りを包み込み、時の流れがゆっくりに感じる。俺はじっと、相手の攻撃を待った。体格差的にこっちは不利。ならば相手の攻撃を受けた瞬間のカウンターが重要になってくるはずだ。相手の銃身にスキル発動の赤い光が宿り、俺のシュナイデンライトにも刃に白い光が宿った。

始まりは一瞬だった。ソードマンキラーの腕が回転し、俺とその周り半径5メートルを狙って一斉に射撃が始まった。当たれば即致命傷の弾丸を、あくまで冷静に回避していく。体数センチの所を通り抜ける弾丸にひやりとしながら、真正面に来た弾丸を『スキート』で切り落としていく。ソードマンキラーの名の通り、剣の届く範囲まで近寄らせず、弾幕で動きが鈍った所を狙い撃つ戦い方のようだ。剣士には厄介な敵だが、俺はその攻撃パターンを先読みしていた。

「行くぞっ!ライトスラッシャーっ!!」

ソードマンキラーの弾幕が途切れる瞬間、光をも貫く閃光の刃が、ソードマンキラーに向けて一筋の光を描く。 一直線に放たれたスキルは弾幕をかいくぐり、残った弾丸を貫きながら、翔をソードマンキラーの足元にまで送り届ける。

「さあ、ここからは俺のターンだ!」

スキルを打ち終え光の消えた剣に、新たな黒い光が宿る。それは今日習得した 、新しいスキルのエフェクト。

「いっけぇぇぇっ!ナイトメア・インパクト!」

光ある所に影は必ず存在する。武器レベルが上がったことによる新しい光の使い方、初期の専用技であるライトスラッシャーと対になる、漆黒の影の一撃。

シュナイデンライト専用、単発重攻撃技『ナイトメア・インパクト』。黒い影を纏った闇の刃が、相手の光を喰らい尽くす勢いで繰り出される。発動速度が遅い代わりに、強いノックバックを追加効果として与えられる。今の俺が使えるスキルの中で最強のスキルだ。

「グォッ!」

HPゲージが3割ほど一気に削れる。一瞬で間合いを詰められ、さらにそこからの重い攻撃により、ソードマンキラーは相当パニックになっているようだ。後ろに仰け反りながら、なかなか体勢を起こせずにいる。今が攻撃のチャンス。

いくらノックバック状態とはいえ、完全にガードされないとは限らない。そしてガードされてダメージを減衰させられれば、体勢を立て直したソードマンキラーに即座にハチの巣にされるだろう。一つのミスが命取り。集中して、俺の全力を叩き込む!

シュナイデンライトを再び赤いエフェクトが覆う。狙うはソードマンキラーの足、ノックバックで浮いた反対側の軸足だ。

「ダブルアートっ!」

赤く輝く剣先が、何往復も繰り返される。広く大きく連続で切り裂いていくダブルアートで、しっかり付いた肉に亀裂を入れる。剣先は神経や腱をえぐり、ソードマンキラーが苦痛に呻く。

足が大きく面積が広いため、広範囲殲滅型のスキルの方が効きやすいと判断したのは正解だった。大きな足全体にヒットした攻撃は、相手の足を刈るにはちょうどいい。軸足を切り刻まれ、バランスを崩したソードマンキラーの巨体が地面に叩きつけられる。準備完了だ。

「行くぞっ、これが今の俺の全力だっ!」

シュナイデンライトが黒い影を纏う。俺は剣先を上に向け、跳躍力のあるままに飛び上がる。影を纏った剣が、獲物目掛けて荒れ狂う。

「ナイトメア・インパクトっ!」

重攻撃技に重力による落下速度を加えた必殺の一撃。響き渡るソードマンキラーの苦痛の叫び。ソードマンキラーのHPゲージが一気に2本目のイエローにまで減少する。あと数撃で仕留められそうだ。ソードマンキラーも自分の危機に気がついたのか、ノックバックから素早く立ち直ると、持っている拳銃を再装填リロードして構えた。だが、俺の方が少しだけ早い。ソードマンキラーが拳銃を構え終わった時には、もう俺は白い光を纏った剣を構えて走り出していた。慌てた様子のソードマンキラーが拳銃を乱射してくる。その全てを回避しながら、俺は最後の閃光の一撃を繰り出した。

Theこれで endおわりだ!」

昔読んだ小説でカッコいいと思った決め台詞。元の世界でやれば中二病だと言われそうだが、実際に戦っているこの世界なら、違和感無いだろう。繰り出された白い閃光が、ソードマンキラーの巨体を一直線に貫く。

白い閃光に包まれたソードマンキラーがあげる断末魔の叫び。次の瞬間、「パリィィン」。ソードマンキラーの巨体が弾け、赤いポリゴンが大量に辺りを埋め尽くす。キラキラ輝く赤いポリゴンは、しばらく空中に漂った後、再び出現した時空の亀裂にゆっくりと吸い込まれていった。

赤いポリゴンが消えた森は、いつの間にかやってきていた闇に包まれ、空には三日月と数々の星が散らばっていた。シュナイデンライトを鞘に収め、背中にかける。激戦を繰り広げた後だというのに、俺の心は穏やかだった。夏の夜風を体全体で受け止めながら、俺は拠点へ戻るため、月明かりの下、夜の森を歩き出した。

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