表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バインド・ゲイム  作者: 霧隠タツヤ
第二記録 スキル指南と暗殺者
PR
13/24

麻痺の恐怖、死の恐怖

「『忍者』が一体何のようだ?」

俺は目線の先にいる少女に向かって問い掛ける。今まさに俺を殺そうと構えたクナイを一旦引き、少女はこちらを死んだ目で見つめてきた。何も答えてはくれないか。そう思った時、少女が不意に口を開いた。

「あなたに教える必要はありません」

返答が返ってきたことに多少驚きながら、俺はある一つの方法を実行することにした。それは、『麻痺』の効果が切れるまで、何か話をひたすら繋げるというものだ。

普通に考えたら全く馬鹿みたいな作戦だが、忍者はスピード重視の職業の為、アイテムや装備を持てる量が他の職業より少ない。今持っている(身につけている)装備だけで全てだろう。それに左上に表示された麻痺状態の残り時間から考えて、少女はそこまでレベルが高くないと予想できる。確か麻痺の効果時間はレベルと比例しており、ベースの1分からレベル10ごとに1分ずつ時間が伸びていくというものだったはずだ。

左上を確認したところ、1分20秒となっていた。今の会話だけで1分も経っていないはずなので、少女のレベルは10台だろう。俺のレベルが15なので、まあ何とか戦えるレベルだ。

あと1分、それだけ耐えられれば麻痺は回復し、こちらも反撃ができる。それまで、何とか話を繋がないと。

希望はある。さっきの質問、あれに答えず無言のままだったら、コミュニケーションの取り用がない。だが少女は問い掛けに答えた。つまり、少しなら時間を稼ぐことができるだろう。俺を殺す依頼をした奴の正体も、できるだけ掴んでおきたい。

「今俺はそこまでレアな装備もアイテムも持っていない。このシュナイデンライトもレア武器だけど、これは今日の朝早くに貰いたての剣。ここまで来るのにプレイヤーには会っていないし、持ち物確認用道具アイテムスキャナーもくっついていない。なら何故俺が狙われるんだ?」

少女はしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。

「私もそんなことは知りません。一昨日の夜、裏クエストを受けに行ったとき、たまたまあなたを殺す依頼がきていた。ただそれだけです」

あと40秒、少女の言葉に、一つ気になる言葉があった。気になった俺は、時間稼ぎのついでに聞いてみることにした。

「さっき言った、裏クエストって何だ?」

すると少女の顔に、少しだけ驚きと後悔の表情が表れる。少し人間味が出てきたな、そう思っていると、少女が本格的にクナイを構えた。

「どうやら、余計なことを話しすぎたようです。麻痺もそろそろ切れる頃だろうし、そろそろ終わりにしましょうか」

あと20秒、くそっ、さすがにもう引き延ばすのは無理か。一撃では死なないだろうが、20秒もあればとどめを刺すことぐらい簡単なことだ。

「それでは、今度こそ命を頂戴します」

少女の構えたクナイが、スキル発動の光を纏う。短剣用重攻撃スキル『アーマーブレイク』。その名の通り防具ごと相手を攻撃することのできるスキルだ。俺は防具なんかつけていないから、このスキルを食らえば一気に体力が減るだろう。俺が目をつぶったその時、頬に微かな、温かい水滴が落ちてきた。驚いて目を開けると、目の前に迫った少女の目には、小さな涙が浮かんでいた。さっきまであんなに淡々としていた冷血少女が、目の前で涙を浮かべている。このことで、俺の中に一つの仮説が思い浮かんだ。

「本当はお前、PKプレイヤーキルするの、怖いんじゃないか?」

途端、少女の顔に、明らかな恐怖の顔が表れた。それだけではなく、少女の手にあり、今まさに俺を貫こうとしていたクナイが、少女の手を離れ、スキルが発動することなく俺の上に落ちた。よろよろと後ろに下がっていく少女を、ちょうど麻痺が解け、手にした剣でスキルを発動させた俺が追う。

「……ひっ!」

少女は恐怖の顔のまま、腕で顔を庇って倒れ込む。俺は冷静に、手にした剣で少女を狙う。次の瞬間、光を纏った剣が倒れた少女を貫いた。

久々の更新だったのに、読んでくださった皆さん、ありがとうございます!

これからもバインド・ゲイムをよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ