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バインド・ゲイム  作者: 霧隠タツヤ
第一記録 リーフベイ 翔編
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11/24

次なるクエストへ

「これがクエストの報酬です」

少年のベッドの端で泣いた後、泣き止んだ俺に、少年の母親が、小さな袋とA4サイズの紙を渡してきた。袋の中身はゴールドだとして、あの紙は何だろう。そう思っていた時、あの時優真に見せてもらったクエストシートの内容を思い出した。


『クエストNo3 少年が求めし鈴』


分類  スキル情報獲得クエスト

難易度 ★★★☆☆☆

詳細  リーフベイの近くに住む病気の少年が、聞くと心を安らげられるという鈴の音を聞きたがっている。

    森の奥にある鈴を、少年の家へ届けよ!

報酬  新スキル取得場所メモ 1500G


そこにはGの他に、新スキル取得場所メモとあった。今の今まで忘れていた。まあ優真が持ってきたクエストだし…と思うと、また思い出してしまって、胸が傷んだ。でも、乗り越えないと前には進めない。俺は一旦思考を振り払い、メモとGを受けとる。

「本当に、ありがとうございました」「ばいばい、お兄ちゃん」

親子の見送りに手を振りながら、俺は雨上がりの道を、一人でリーフベイへ帰った。まずは宿に戻ってメモの事を調べなければならない。そうして動いていれば、優真が消滅した事実も、少しだけ、忘れられる気がした。でも、やっぱり一人は静かで、俺はまた、誰にも見られないように少しだけ泣いた。

少し泣いてすっとした俺は、さっきのメモを見てみる事にした。そこには、こう書いてあった。


『新スキル取得場所メモ』

スキル名 ソードブレット

使用武器 片手剣&片手銃

取得場所 リーフケイブ

詳細   リーフケイブの民家にいる師匠から説明を受     けられる。


俺はスキル名、使用武器を見て驚いた。どう見ても、剣と銃の二刀流としか思えなかったからだ。そして、机の上に置いてある優真の遺品が、一際光を放ったように見えた。これは優真の意思なのか……新スキル取得場所メモは、その時によってランダムに中身が変化する。なのでこれは優真からのエールだとしか思えなかった。ならば……手に入れる、例え何に狙われ嫌われようとも、必ずこのスキルを獲得してみせる!



宿で休んで回復した俺は、すぐさまクエストの準備を始めた。回復薬、煙幕、解毒剤……、必要なものを確認し、なければ買いに行って、俺はその日の内に、全ての準備を終わらせた。今日はゆっくり休んで、明日はスキルを手に入れる。そう意気込んで、俺は明かりを消し、眠りについた。

その宿の近くの木に、何かの影がいたことを、俺はその時気がつかなかった。影は一度邪悪な笑みを浮かべたあと、闇夜に消えて行った……



翌日、朝早くに目を覚ました俺は、クエスト管理NPCの元へ走った。優真とやった、始めのクエストの報告をしていないことを思い出したのだ。報告に期限はないが、何となく待たせるのも悪いと思い、出発前に行こうとした、というわけだ。

幸い朝早くに着いたので、まだ誰も並んでいない。寄ってもそこまで時間は取られないだろう。

「クエストのクリア報告をしてもいいか?」

「もちろんいいですよ、ちょっと待ってくださいね」

話しかけると、クエスト管理NPCは、慣れた手つきでクエスト管理ウィンドウを開けた。

「クリアされたのは、『クエストNo12 森の侵略者を駆逐せよ』ですね。こちらに手をかざしてください」「わかった」

言われた通りに、ウィンドウにある手形のようなものに手をかざす。どういう原理かわからないが、何やら手から、プレイヤー情報を確認することが出来るらしく、専用の機械(各街にいるクエスト管理NPCなどが持っている)を使うと、情報が読み取れるらしい。

数秒そのままにしておくと、『ぱしゅっ』という音と共に受けていたクエストの報告書が出てきた。(ちなみに、物を持ってくるなどのクエストは、その依頼主に物を渡した時にクエストクリアとなるので、ここに来る必要はない)NPCはその報告書を手に取ると、中身を確認し、本物だと確認する。

「クエストクリアおめでとうございます。こちらがクエスト報酬となっております。お受け取りください」

そう言ってNPCが取り出してきたのは、俺が持っている『ビギンソード』より一回り大きめで、薄く青みがかった美しい剣だった。ゲーム序盤にしてはレア武器だろう。これがシートに書いてあった『上位武器』だろうか。NPCが剣の説明をしてくれる。

「こちら、片手剣使用者上位武器の『シュナイデンライト』です」

『シュナイデンライト』……、確か俺がやっていた『バインドゲイム』では中盤辺りに出現するレア武器だったはずだ。クエスト報酬の武器はランダム出現と聞いていたが、まさか初めてのクエストでこんなレア武器が出るとは思わなかった。思わぬ幸運で、俺は気付かない内にガッツポーズをしていた。

「またよろしくお願いします」

そうクエスト管理NPCに見送られながら、俺は『シュナイデンライト』を装備し、街の入口の方へ歩く。朝の日差しに目を細めながら、俺は新しいスキルを手に入れるために進み出すのであった。

……その後ろから、昨日の『影』が『追跡トレーススキル』を使って、俺の後を追って来ているのを、俺はその時はまだ知らなかった。

優真を失い、そこから新しい目的に向かって歩きだした翔。翔は新しいスキルを手に入れられるのか……

これからもバインド・ゲイムをよろしくお願いします!読んでくださってありがとうございました!

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