リーシャ編20話
リーシャ編20話になります!
本日1回目の投稿です!!
それではどうぞ!!
「...ここからが本番だよマールさん?」
リーシャは燃える炎の中、ひとりニタリと笑みを浮かべてマールを見ている。
「炎...。くっ、気づいたか」
マールは悔しそうにギリっと歯を噛みしめる。
『おおっとどうした勇者マール!勇者リーシャが炎を纏った途端、何やら苦い顔をし始めたぞ!?』
実況者は本当によく見ている。決闘者の細やかな顔まで分析し、的確な情報を客席へ伝えていた。
「まぁ、今さっきまでの魔法がどういう魔法で、どんな物がぶつかって来てたかなんてわかってないですけど、風魔法なんてこんな物ですよね。火の前じゃ、火の燃焼を助ける程度にしか使えないんですから」
リーシャは、燃え盛る炎を愛おしく見つめながら呟く。自分が優勢に軽く傾いた為か、不敵な笑みのドス黒さを増し、こいつ本当に勇者かと思わせるほど、悪役や邪悪な存在に近いオーラを纏っていた。
「だからどうした!それならば近接戦を始めるだけだ!アイスコーティング!」
マールは氷魔法を詠唱し、両手の剣の表面に氷をコーティングして、さらにリーチが長く、鋭利な剣へと変え、リーシャ目掛けて走りこむ。特攻を仕掛けたのだ。
『いったぁぁぁぁ!!!!魔法戦もいいが、これを、これを俺は見たかったんだ!近接戦イヤッホォォォォォ!!』
マールの発言と行動に、興奮したのか、テンションが最高潮へと達した実況者が、マイクを片手に発狂している。だが、それと一緒に客席からの声援も多大な物になっていた。みんな1番見たいのは、剣と剣の真剣な打ち合いなのだろう。
「剣に氷の力を付与したって炎は破れないですよ!ファイアービーム!」
リーシャは、マールの技を見て、そんな剣を強化する手があったかと驚きながら、炎魔法を詠唱し、掌から熱線を放った。
勇者術による炎魔法の恩恵だけでは、火力と温度が足りないと感じたのだろう。それにより、わざわざ詠唱をして炎魔法を2重駆動する事で、身に纏う炎の温度を上げて、同時に火力も上昇させていた。
「効くかこんなしょんべん光線!」
ファイアービーム、又の名をしょんべん光線は、マールの氷付加の剣により、一瞬で消滅した。流石にマールも簡単には勝ちを譲らないらしい。
「えへへ、まだまだまだまだぁ〜!ちょっと素敵な魔法をプレゼント!ファイアー・ミーティア・ストリーム!!」
リーシャは面白くなってきたのか、超笑顔で少し長めな詠唱をする。
「な、なんだこれは!?」
マールはその魔法が発動すると、流石に焦りながらその場から横へ大きく飛び跳ねた。
『わ、わわわわ!?ご、ごほん!な、なんて魔法だぁぁぁぁぁ!!??勇者リーシャ、トンデモない魔法を使用したぞぉぉぉ!?』
実況者も、一瞬だけ素に戻って慌てていた気がするが、すぐに平静を取り繕い、実況を再開した。観客達もリーシャのただの遊び試合に使うには大袈裟すぎる魔法を見て、大興奮だ。
ファイアーミーティアストリーム。流星群の隕石が火球になったバージョンだろう。もはや流星群ではない。不発の花火みたいなものだ。それと、流石に空から降ってくるわけではなく、リーシャの頭上30mあたりからマールの位置というワンポイントを目掛けてダバダバと降り注いだ。
「(ヨシノに、実在する強そうな言葉を沢山聞いといて良かった〜)」
リーシャは周囲がドヤついているのを見て、すごく満足そうな顔をしながら、無駄な知識を大量に教えてくれた現役中2病の家族に心の中で礼を言った。
「ッシ!!」
そんな事を思ってよそ見をしていると、先輩として負けれない意地があるマールが、魔法を見事に掻い潜っていたようで、リーシャに向けて、2本の剣を振り下ろす。
「んにゃっ!?」
ガキィ!
リーシャは間抜けな声を出しながら、なんとかその斬撃を受け止めた。だがしかし、かなり体勢が崩れている。マールの特攻は成功のようだ。彼女はちょっとだけ勝ち誇ったような顔をし、ピリオドを落とす為の一撃を振り下ろす。
「んがっ!!」
リーシャは女の子が出してはいけないような力んだ声を発しながら、太刀を水平にして受け止める。完全に足は崩れ、尻餅をつきながら踏ん張っていた。
「えへへ、やっばいなぁこれ...。流石はマールさん。私の頭の中では、この特攻中に炎に被弾して負けてくれると思ってましたよ?」
リーシャはかなり苦しそうな表情を浮かべながら笑う。
「ふっ、私は君の先輩だからな。絶対に負けれないという思いを持って死に物狂いで避けまくったさ。もうこれ以上やっても不毛な戦いだろう。降参するといい」
「えへへ...、参りました。今回はマールさんに勝ちを譲りますね」
そう言ってリーシャは息を吸い込む。
そして、
「まいった!!」
そう言って地面に倒れこんだ。




