リーシャ編18話
リーシャ編18話になります!
本日1回目です!
それではどうぞ!!
「あの〜...、お2人とも、準備はよろしいですか?」
リーシャとマールが目線でバチバチと戦っていると、若干困った様子で女性スタッフは2人に声をかけた。
「あっ、すまない...。私は構わんぞ」
「2人だけの世界入ってたみたいで申し訳ないです...。私もですよ!」
マール、リーシャはそれぞれ女性スタッフに気を遣わせていた事に詫び、準備は万全だと伝える。試合前に、目線だけで戦いを始めるほどに準備は万全で、早く戦いたいみたいだ。2人は、表情からそのような言葉を滲み出し、女性スタッフの顔を見ていた。
「うふふっ、おふたりの様子をみていると、試合を観戦するのがとても楽しみです。それでは、入場の呼び掛けをしますので、1分ほどお待ちください」
女性スタッフはそう言うと、入場口脇に備え付けられた機械を操作し始める。
「あー...、コホン。ただいまより、勇者様による前座試合を始めます。まず第1試合目は、若手女勇者のマールさん、リーシャさんの模擬戦闘になります」
機械の操作を終えると、そのようにアナウンスを始めた。
「へぇ〜、ここからアナウンスするんですね」
「うむ、普通の会場では実況席辺りから、客に見られながら大型の拡声器を使ってやるのが普通かもしれないが、ここは武闘場だから、当たり前のように最新の機器を導入している。これのおかげで、表に出ず、堂々とカンニングペーパーを読み上げる事が出来るから、こういう仕事の人には便利なのかもしれないな」
入場口脇でアナウンスを流し始めるスタッフに驚くリーシャ。マールはそれを見て、軽く笑みを浮かべながら簡単に話をする。2人からは緊張は感じられず、むしろワクワクしているようであった。
「それでは、お客様の皆様、適度なマナーを守り、お楽しみください」
プツンッ、
糸が切れるような音と共に、アナウンスが終了する。
「マールさん、リーシャさん。ご一緒に入場ください。とりあえずステージに立って、向かい合ってください。そうしたら実況席の方が試合開始の指示を飛ばしますので」
ご健闘をお祈りします。
女性スタッフは、そう言って深々とお辞儀をする。
「さて、心の準備は大丈夫か?」
「はいっ!全然大丈夫です!」
「それじゃあいくか!」
「負けませんよっ!」
2人は最終確認を終えると、凛とした表情で試合をするステージへと歩き出した。
『『『ワアアァァァァァァ!!!』』』
客に彼女達の姿が映ると、まるで何処かのアイドル達によるライブの始まりみたいな熱狂した叫び声が、観客席から湧いた。
「す、凄い声援...」
リーシャはそれを聞くと、口元をヒクつかせていた。
「どうした?怖気付いたか?」
マールはそれに気づき、平然とした様子でリーシャへ問いかける。
「ぜんっぜん!逆に面白くなってきたなっていう笑いが止まりませんよ!」
問いかけた次の瞬間には、リーシャの顔は、そんな問いかけはいらないと言わんばかりのニヤケ顔へと変わっていた。そんな顔で言葉を返されたマールは、安心したように「そうか」と呟き、ふっとクールに笑う。
『おぉっとぉ!勇者マールと勇者リーシャ!とても仲良さげに入場だぁぁ!それに2人とも超が付くほど美女!会場の男共ォ!拍手で歓迎してやれえぇぇぇ〜〜!!』
パチパチパチパチパチ!!!!!
2人がそんなやり取りをしていると、とてもテンションがハイな実況と共に、盛大な拍手が送られてきた。
「わわわっ、マトモな実況もついてる!?」
「まぁ、私達は勇者だからな。毎回恒例で勇者が行っている模擬試合を1番楽しみにしている客もいるレベルの人気度だから、実況も初めから全力なのさ。適当に手を振りながらステージに立とうか」
マールはそう言うと、ニコッと営業スマイルを浮かべ、両手で手をブンブンと振り回す。...2本の剣を両手で持ったまま。
「あっぶな!?マールさん剣持ってる事を考えて!?」
「はっはっは!これくらい避けれなければ私の相手は務まらん!ほら、手を振って客の歓声に応えろ」
「むぅ...」
リーシャは若干ふくれっ面になりかけたが、客に見られているという事を思い出し、ぎこちない笑みを浮かべて手を振る。
『客席の野郎どもぉ!これは美女観覧会ではないぞぉ!?さっそく試合に行ってみようかぁ!勇者マール、勇者リーシャ、真ん中で向かい合ってくれ!』
「ほら、もう始まるから話すのはやめて実況の言う通りにしようじゃないか」
「そうですね、マールさん!よろしくお願いします!」
リーシャは、マールに実況の言う事を聞くように促されると、言われた通りに真ん中でマールに向かい合い、深くお辞儀をした。
「うむ、良い試合が出来るといいな」
マールは試合前最後にフッと笑みを浮かべてそう告げた後、剣士の真剣そのものな顔へと変貌し、隙のない構えを取る。どうやら意地でも手は抜かず、本気で挑むようだ。
「えへっ、えへへへへへへへへ.....」
リーシャも戦闘狂としてのスイッチが入ったのか、不敵な笑みを浮かべ始めていた。




