リーシャ編17話
リーシャ編17話になります!
明日から2話投稿に戻ります!
それではどうぞ!!
ガチャ
「失礼します。えー...っと、マールさんに、リーシャさん。準備はよろしいでしょうか?」
リーシャとマールがそれぞれ会話を止めて、適当な緊張感を持ちながら準備運動をしていると、アゼルトリア語で『スタッフ』という文字の入った腕章を付けた女性が控え室に入室し、手に持った紙を確認しながら準備はいいかと口にした。紙には1試合目に出場する事になった2人の名前が書かれているのだろう。そう考えれば、名前を呼ぶ前に紙を見て、少しの沈黙を作った事に納得がいく。
「私は大丈夫ですっ!マールさんは?」
リーシャは元気よく返事をすると、未だ黙々とストレッチをするマールの反応を伺う。
「むっ?あぁ!すまない!もうスタッフの人がやってきたのだな!つい準備運動に集中して聞いてなかった!...ごほん、私も大丈夫だ」
マールはリーシャの呼びかけでようやく反応を見せ、準備運動に集中し過ぎていたと慌てた様子で答えた後、取り繕った様子でスタッフに答えた。
「あははは...、それではまず、使用される武器について尋ねたいのですが、ご持参ですか?それとも貸し出しの物を使われますか?」
女性スタッフは、マールの言動に苦笑いしながら2人へ武器について尋ねる。
「あ、私は持参です!」
リーシャは、肌身外さず腰に付けている太刀の刃を、ほんの少しだけ晒け出しながら答えた。
「ふむ、私は魔物討伐の時以外、得物を持たない主義だからな。貸し出しの物を借りよう」
リーシャの太刀を横目に、マールは空いた両手をブラブラとしながらそう言う。
「はい、わかりました。ステージの入場口前に剣や槍、鎚などがございますので、そこでお選びください。それでは行きましょうか!」
女性スタッフは、ハキハキとした口調と言葉で2人へ言いたい事を告げ終えると、黙って私について来いと言わんばかりの勢いで振り返り、部屋の外へと出た。
「よしっ!行きましょマールさん」
「うむ、そうだな。ちょうど体も温まってきたところだ。緊張してないか?大丈夫か?」
「えぇ!緊張なんて無いですやる気満々ですっ!」
2人は、お互いに活を入れあい、女性スタッフの後ろを付いて歩いた。
成人男性2人が広がって歩くのが限界ほどの、関係者以外立ち入り禁止の通路を50mほど歩くと、広間へ辿り着く。その広間の壁には多種多様の高品質な武器が飾られていた。
「ここが入場口前になります。ご覧になられる通り、左手の方に見えるステージが武闘大会の武闘場です」
女性スタッフはそう言って、左手をスッと伸ばす。
「ほぇぇ、武器がいっぱい...。整備も行き届いてる...」
リーシャは普段見る事の無いような異様な光景に、目を丸くしながらキョロキョロとしていた。
「えっと、この中から選んで構わないんだよな?」
「あ、確かマールさんは、過去にも前座の試合に出場されてましたね。その通りです。こちらに飾られた武器の中からお好きな物をお使いください」
「今回は趣向を変えて、2本にしようか...。別に構わないだろう?」
「ええ、持てるのならば何本でもどうぞ」
「うむ、そう言われると欲張って10本ほど持って戦いたくなるな」
マールはキリッとした表情でアホみたいな言葉を口にする。
「「えっ」」
リーシャと女性スタッフは、見事にハモりながら驚いた。
「ははっ、冗談に決まっているだろう!」
マールは大笑いしながら、剣を一本一本眺めていく。
「(マ、マールさんならやりかねないと思った私がいる...)」
基本的に言動が残念な為、冗談が冗談として通用しないようだ。リーシャは胸を撫で下ろしながら冗談であった事にホッとしている。
「うむ、これと、...これだな」
マールは2、3分で大まかに確認し終えると、シンプルで癖のない形の銀色にギラッと輝く剣を2本手に持った。
「マールさんって2刀流なんて出来たんですね!」
リーシャはサマになっているマールの立ち方を見て、感嘆の声を上げる。
「ふふん、私は剣に関しては天才だからな。どんな流儀でも大体コピー出来るぞ」
軽く2本の剣を振るって馴染ませた後、マールはドヤ顔で豪語した。
「ほぇぇ...。マールさんって剣だけは凄いんですね!剣だけは!」
リーシャは笑顔でマールにそう告げる。完全にバカにしていた。
「はっはっは!私は昔から長所である剣の技術を鍛錬して伸ばし続けたからな!いくら私が剣の天才だからと言って、萎縮して本気を出せないようにはなるなよ?」
マールはバカにされている事に気付かず、ドヤ顔のままそのように言って軽い挑発を返す。
「むむむ...、絶対に勝ってやります!」
リーシャは太刀を抜刀し、刃先をマールに向けながら闘志の炎をメラメラと燃やし始めていた。




