リーシャ編8話
リーシャ編8話になります!
本日1回目の投稿です!!
それではどうぞ!
「お姉ちゃん、なにやってるの!?仕事は絶対にサボっちゃダメって、いつも言ってるでしょ!?」
「ぐっ...、すまないアネ。ついテンションがダダ下がりになってしまったせいでヤケ食いをしていた...」
『私が付いていたのに申し訳ない...』
アネとリーシャ、リオが食堂へ戻ると、話していた通りにマールはテーブルに肉を大量に置き、ヤケ食いをしていた。
かなりの量の脂が付いて汚れた皿が積んであるのに、上に肉が乗っていない。よって、アネ達が食堂を離れていた5分程に、かなりのハイペースで胃袋に肉を流し込んだ事が考えられた。
そんなマールの暴食を止める事が出来なかったプラモは、詫びとともに頭を下げる。
「プラモさん、お姉ちゃんは言って聞くような人じゃないから仕方ないよ...」
アネはプラモに、この人ほど1度食べ始めたら歯止めが効かないような人間はいないから...。と、若干諦めている様子で呟いた。
「何を言うか、私だって言われればやめるさ。おばちゃーん、肉追加〜!」
すると、マールが適当な言い訳をして、飄々とヤケ食い用の肉を追加する。
「なんでお姉ちゃんはそんなに残念なのさぁ!?おばちゃん注文取りけしーっ!」
バシィッ!
止めろと言ってるのに頼もうとするマールに対して、アネは後頭部を結構な力で叩きながら叫んだ。
「いっ!?何をするんだアネ!」
「何するんだじゃないからね!?その食事だって、普通の場所と比べたら安いけど、決して無料じゃないんだよ!?そんな事ばっかりしてるから旅行費の溜まりが悪いんだよっ!」
叩かれた事に驚くマールに対し、怒りを露わにするアネは叫ぶ。
「(あ、アネが割と本気で怒ってる...)」
それを見たリーシャは、親友と呼べるほどに仲の良い同僚が、本気で怒るのを初めて見て、止めるのを忘れて呆然としていた。
『ワフッ!?』
そんな時に、何も無い空間から黒い闇が現れる。リオはそれにいち早く気づき、声をあげていた。
「なんで...?」
リーシャは若干不満混じりな声で闇に目を凝らしている。
「わっははははは!食堂に来てみたら突然姉妹喧嘩しているなんてびっくりだぜ!とりあえず食堂のおばさん、美味いおすすめの酒をくれ!」
その闇の中からは、ヴァーチュが出てきて、第一声から酒を要求し始めた。何故こんなに上機嫌なのかというと、神殿探索で見つけた財宝の数々を売り払い、巨額の富を得たからだろう。
「ふぉっふぉっ、ヴァーチュ。ちょうど酒の仕入れが悪くての。全酒共通で値段は3倍じゃがいいかね?」
そうそう、高えよな(ニヤニヤ
そのせいで最近は禁酒だよ(ニヤニヤ
溢れるほど金のあるヴァーチュさんなら普通にこれでも酒を頼むんだろうな(ニヤニヤ
ふひひ、さすがヴァーチュさん(ニヤニヤ
ヴァーチュの後ろから、迷宮へと向かっていた会長と、男勇者4人組が出てきた。食堂へ来た瞬間に、会長は後ろからヴァーチュを指差した後、食堂のおばちゃんに親指を立てた。
多少ボッタくってもオーケーのサインだろう。まぁ、3倍額を払わせようとしてる時点で多少では済まない気がするが...。
「げっ、マジかよ?まぁ仕方ねえな。おばさん酒だ酒!なんでもいいからもってこい!」
「はーい、ドン○リ入りまーす!」
どこのホストクラブだと言いたくなるような声で食堂のおばちゃんが声を上げると、見るからに高そうなボトルに入ったお酒が、グラスと共にヴァーチュの前に置かれた。
「(ね、ねぇ、お姉ちゃん。あれ、絶対に1番高いお酒だよね...?)」
「(そうみたいだな。3倍額で買い取ったみたいだし、3桁超えるか...?)」
ヴァーチュのおかげか、いつの間にか怒りも鎮まっていたアネとマールは、ヴァーチュの前に置かれたボトルを見て、コソコソと話を始めていた。すっかりいつもの仲のいい姉妹である。
考え過ぎかもしれないが、もしかしたら、ヴァーチュはこのような事を全てを見越した上で、こんなバカみたいな金の使い方と行動をしたのかもしれない。
「コップはいらねぇ!一気に行くぜぇ!!」
ヴァーチュはボトルを握りしめると逆さまにし、浴びるように飲み始める。
うぉぉぉ!!ヴァーチュさんやべぇ!!
いったぁぁぁぁ!!!!
やべぇ、100万近いボトルを一気飲みしてやがる!!
流石ヴァーチュやでぇ...
ヴァーチュの奇行により、会長の後ろに控えていた男勇者4人組は大興奮である。ヴァーチュは魔王の中では腫れ物扱いされているが、勇者の人間とは、中々いい関係が築けているらしい。
「バカみたいだねぇ...、あれ1本で30日は旅行できるのに...」
「だが、体を張って笑いを取るとは流石だ。どれ、私も今度やってみようか...?」
マールはそう言って笑いながら食堂のメニューを眺める。
「ダメだよお姉ちゃんのバカッ!とりあえずさっき暴食した分は来月のお姉ちゃんのお小遣いから差っ引いとくからね?」
アネはバッとメニューを奪い、再び軽く怒る。
「ぐぬぬぬ...、まぁいいだろう。それで許してくれるか?」
しかし、姉であるマールが折れ、うなずく。いくら人として残念であっても、妹を思う気持ちを見る限り、姉としては立派だ。
「まったく...、いいよ。それじゃあ仲直りしよう?」
アネは軽く勝ち誇りながら、手を差し出した。
「ふっ、今日の昼は久々に2人で食うか?」
「そうねっ!私もお姉ちゃんと2人で食べたい気分かな?」
「よし、決まりだ」
姉妹はそう言って仲良く笑う。
「...クジラは?」
1人空間に溶け込めず、リーシャは頭に?マークを浮かべながら立ち尽くしていた。




