守られるなんて...
5章239話になります!
本日1回目の投稿です!!
それではどうぞ!!
「さてと、ちょっとしたトラブルもあったけど、気にしない方向でいこう!」
『ワフッ!』『ワウゥ!』
『お、おう...』
クジラは、先ほど起きた現象と、失った莫大なお金の事は気にしない事にした。というより、こうでもしなければ心が持たなかったのだろう。
その証拠に、気にしない事にしきれないプラモは、かなり落ちこんだ様子である。
「んじゃ、今度こそ僕は仕事片付けてくるから待っててね?」
クジラはそう伝え、プラモによろしくと一言伝えると、空間の裂け目を作り出して中に入った。
『ワフッ♪』『ワウゥ?』
だが、多少の知能を備えた2匹はプラモと一緒に待つはずがなく、好奇心でクジラの後ろにピッタリとくっ付き、迷宮管理層から出る。
『おぃっ!?...って、行ってしまったか』
本当に一瞬の事だった為に、プラモの声も届かなかった。プラモは、仕方がないので1人で待つかとため息をつく。
その顔は、なんとも寂しそうに見えた。
「2匹とも着いて来ちゃったの!?」
『ワフゥー』『ワウ!』
クジラが自分の後ろを追って来た2匹に気づくと、声をあげて驚く。2匹はまるで散歩気分で気楽である。
「あー...、どうしようか。とりあえず帰すしかないよね?2匹とも、良い子だからプラモと一緒に待っててくれないかな?」
クジラは中腰になって2匹の頭を撫でながら、空間の裂け目を具現化して入るように促した。
その時である。
『ガゥゥウウ!!』
「うわぁっ!?リオ!?」
リオは牙を剥き出して、聞くものをビビらせる咆哮をした後、黒い炎の球を吐く。
ジュッ!
それはクジラの真横を通過し、彼の背後から奇襲を仕掛けようとした二足歩行のトカゲに命中し、一瞬にして燃え失せた。
「た、助けてくれたの...?」
『ワウゥ♪』
クジラの問いに、彼の頬をベロベロと舐めながら意思疎通を図る。恐らく、勿論!とでも答えているのだろう。
「あはは、ありがとうリオ。それにしても、無茶苦茶な威力を持った火球だったなぁ...。下手すりゃ僕より強いんじゃあないだろうか?」
クジラは撫でて褒めながら、リコに飛びつかれて押し倒れた事を思い出し、このもう子犬とはいえない犬達は自分よりも強くなっているのではないかと考えた。のちに発覚する事だが、単純な力ではリコとリオの方がクジラよりも勝っているようである。
『ワフゥーゥゥン!ワウゥ!!』
リオを撫でて、クジラが再び油断しているところにまたしても二足歩行のトカゲが奇襲兵になって忍び寄っていたらしい。リコは透き通るような綺麗な声で遠吠えをあげると、2つの前足の爪で思いっきり引っ掻いた。
その引っ掻きも力がとてつもなかったようで、トカゲの傷は深さ1cm弱にまで至っており、奇声を発しながら床に倒れ伏す。それに対し、リコは最後まで手を緩めず、光り輝くブレスを吐き、トカゲを跡形もなく消し去った。
「おぉう、これは勇者術の光撃って言ったっけ?凄いなぁ...」
リコの強烈さの中に華麗さを感じる一連の攻撃動作を見て、クジラは思わず、見とれながら呟く。
『ワン!』
殲滅が終わると、リコは自信に満ちた様子で彼の前に座り、頭を下げた。リオにしているように、たくさん撫でて貰いたいのだろう。
「うんうん、リコは凄く見栄えの良い動きだったよ。僕のこと守ってくれてありがとね?」
こういう所に、子犬の時と変わらない構って欲しいというやんちゃな一面が現れ、まだまだ子犬なのだなと、クジラは改めて認識させられていた。
『ワフゥー』
リコは撫でられると、お返しとばかりに顔を舐め始める。体が大きくなってから、顔を舐めるという行為が頻繁にしてくるようになったのは、クジラがしゃがんでいる状態ならば、成長した自分の顔の高さと近い位置にあるからだろう。
「あはは、もう顔がべとべとだよ」
クジラはそう言って笑いながら、撫でるのをやめて立ち上がった。2匹も、どこから来るかわからない敵に備えて、クジラを中心にして四方を確認しながら立ち上がる。
それを見たクジラは、まさかペットを守る立場ではなく、守られる立場に変わってしまうなんて考えてすらいなかったと思い、なんとも言えない気持ちになるのだった。




