第5話 家族会議
この騒ぎを聞きつけ、両親がやってきた。
母上はトゥーンの部屋に入り、相手をしている。
そして俺はというと――
「ついにやりやがったか、いつかしでかすとは思ったがここまでとはな愚息が」
「……すみません。でも悪いのは夜這いかけてきたこのロリ先生です」
「へいちょっと待った。スキルで私をあひんあひんさせたのはこっちのエロガキで」
「お前も黙ってろクソ魔族」
「……へい」
ロリ先生と並んで、父上の前で正座させられていた。
「……お前も貴族のガキだ。レイプのひとつやふたつやるなとは言わんが」
「言えよ父親でしょうが」
先生が言う。いや、父上は別にそういうことを言いたいわけじゃないんだろうが。これも父上のバッドワードスキルだろう。
「まさか生徒に手を出すとは思わなかったぞ、クソ魔族」
「うわぁ、矛先がこっちに来たぁ。言い訳させてよ親友」
「その『親友』のガキに手を出すクソババアの言葉を聞けと? 死刑」
「ちょっと待ってちょっと待ってその死刑はスキルのせいで出た言葉ってだけで本心じゃないよね? だよね? 今までさんざん口だけで死ねとか殺すとか言ってたけど口だけだったへたれなお前を信じてるぜ!」
「……」
「黙らないで!? 私が悪いんじゃない、全部このエロガキのスキルが異常なスキルだったから悪い!
聞いてよ、こいつって習ったばかりの魔法をすぐに撃てて、しかもその効果がありえない方向に変わってるんだよ、おかしいよ!
そして一番おかしいのは、こいつと【おねショタ】したら私とこいつの魔力が上昇してるんだよ!」
先生はべらべらと喋り倒す。この人に守秘義務という言葉は無いらしい。必死だ。まあ父上の怖い顔と怖い言葉の前だとな。
「――む?」
先生の言葉に、父上の眉が動く。
「魔力が上昇? ヤっただけでか?」
「うん。あんたの息子、やり様によってはとんでもないことになるよ、間違いないね。簡単に魔力をアップ出来るなんて、前代未聞、聞いた事無いよ。バッドワルド、あんたは聞いた事ある?」
「……無いな」
「でしょ。これは研究すべきことだよ、うん。だけど……ここにいる人間だけの秘密にするべきでもあるね」
「そうだな。ヤるだけで能力が強化されると知られれば、魔術師どもや他の貴族どもがどう動くかわからん。あいつらはクズだからな。そして魔族も……」
「わ、私は絶対にあいつらに言わないよ! 仲間意識とかないし! 私をみそっかすだからと追放した奴らに義理はないもん!」
……先生は追放されていたのか。
「そういう意味でも貴様の口を封じねばならんか」
「だから殺意込めるのやめてー!
でもマジな話、前代未聞だからね。そして研究はするべきだと思うし……」
「ふむ。ところでエドワルドのスキルだが、誰でも効果が出るのか、それともお前だけに効果があるのか?」
「うーん……」
そう、そこはまだ不明だ。
たとえば推測として、「初めて性交した相手とだけパスが通じ契約状態となり、その相手と性交した場合のみ魔力が上がる」というパターン。
あるいは、魔族相手のみ効果があるというパターン。
これはけっこうヤバイ。それが知られたら魔族に捕まって搾り取られる魔力増強マシーンとしての一生を送るとか……うん、破滅ルートだなこれも。
そして、ヤった相手は問答無用で魔力強化……こちらもやばい。俺を捕えて魔力増強の道具とする連中が変わるだけだ。
「そ、そういう意味でもいろいろと調べないといけないね。対策を立てるには、調査と検証が大事だから……」
先生の言う事は正論だ。
だけどその調査というのは、つまり……。
「女をあてがえとよりによって父親に言うわけか。本当に言うじゃねぇかクソ色ボケ魔族が、焼けた鉄流し込むぞ」
「ひい! どこに!?」
先生が股間を抑える。想像したら俺も縮みあがるな。怖い。
でもまあそういうことだ。
流石にこんな家族会議の場面で言う事ではない。
「……じゃあ、トゥーンの出番ということなのかしら」
その時、母上がトゥーンの部屋から降りて来た。
……今何て?
「おいスーナ、今なんと言った?」
父上がぎろりと母上を睨む。
「だって、前々から話していたじゃないですか、あなた。
エドはこのスキルのせいで、将来が大変だろうって。
辺境伯という家柄を使って婚約者を決める事が出来ても、どうせすぐ駄目になっちゃうでしょうって」
「……まあな。お飾りの姫の婚約者としてあてがうことは成功したが、あの姫の婚約者は七人いて最終的に一人になるように競い合うデスゲームだ、この愚息が残れるとは思えん」
「なので、トゥーンとの結婚も視野にいれておく、でしたよね」
「……ああ」
それは初耳だ。
この両親、なんてことを考えるのか。
「妹と近親相姦レッツ背徳ですか」
俺の言葉に母上が言う。
「ええ、でもこの国では結構普通なのよ?
貴族や多族は血の濃さを維持するために、兄弟や従兄弟で結婚することもあるの。それがずっと続くようじゃ血が濃すぎるようになるから駄目だけどね。
だから、トゥーンとエドでの結婚も考えていたのよ。
幸いにも、トゥーンはお兄ちゃん大好きだから」
口ではめっちゃ嫌われているけどね。でもまあ、ああいうツンデレは前世の創作でよく見ていたから、そういうものだと思えばトゥーンの暴言もかわいいものだと思える。
しかし……。
「だけどトゥーンの僕に対する好きが、性的なものかどうか」
「ふふふ、トゥーンはお兄ちゃんを異性として好きなんだとママは思うけどね」
「……母親から聞く猥談としてはたまんないですね」
一番まともだと思っていた母上からズレた言葉を聞かされるのは、まあ新鮮ではあるが。
「つまり、そいつの実験に妹の身体を使えと? てめぇそれでも母親かよクソ女」
「言い方は悪いかもだけど、まあそうなるのかしら。もちろん、トゥーンの意志しだいね」
父上の殺気だった視線を平然と柔和な笑顔で受け止める母上。強い。
先生は余波でちびりそうなぐらいに震えているのに。
さすがに俺にスカトロ趣味は無いからちびらないでくださいよ先生。
「……え、えっと……。本人たちの問題ですしそこはゆっくりと解決していくしかないのでは~……と。ついさっき妹ちゃんともめたばかりですし」
先生かおずおずと口を出す。
「あ、あと提案だけど……いいかな。
い、妹ちゃんと以外なら……奥さんとかと近親ハイ駄目ですね忘れてください」
父上の殺意のこもった目で先生は即時撤回した。
「ど、奴隷を買う……ってのは、どうでしょ」
「奴隷?」
「ま、魔術の実験とかで奴隷を実験体に使うのは……基本だからね。性奴隷とかも定番だし……」
「奴隷だあ?」
「ひっ!」
父上がまた睨む。
「……それもありか。薄汚いメス奴隷とクソ愚息、お似合いだな」
それもありらしい。合理的に考えた答えなのだろうが、父上の言い方よ。まあ慣れているけど。
とりあえずまあ、そういうことになった。
こってりとしぼられると思ったが、先生の言葉でうやむやになった感じではある。
このスキルの事は家族と先生との間のみの秘密となった。
そして、秘密裏にスキルの解明を進める。
そのためにも奴隷を買わねばならない。流石にこの世界では合法とはいえ、年端もいかない妹とレッツ背徳するわけにもいかない。というか年齢的にはこの世界でもアウトだと思う。
何はともあれ、トゥーンとは仲直りしなければいけない。
ゆっくりと時間をかけて話し合う事にしよう。




