おまけ小話【メリアとおじさまの3分クッキング】
(あまり深く考えずノリと勢いでお付き合いください)
「メリアとおじさまの、3分クッキングー!」
『おー!』
メリアとルルは厨房のド真ん中で、高々と拳を天に突き上げた。
(うーん、料理ってそんなに雄々しいものだったっけなぁ)
実は現世の「3分クッキング」という単語をうっかり漏らしたのは宗一郎である。
『3分クッキングで紹介されるような簡単な料理でさえできない』という文脈だったのだが、メリアはすっかりやる気満々だ。
きらきらした目で「やろう、おじちゃん」と言われれば宗一郎は彼女に逆らえない。
メリアはさっそく宗一郎の背を押して料理台へと連れて行った。
「さあ、はじめるのよ」
「ごめんねメリア、私は料理が得意ではなくて」
「知ってるわ」
即答されて目を瞬かせた宗一郎に、メリアは腕組みをしながら頷いた。
「ばくだんおにぎりはおいしかったけど」
『うんうん』
横でルルも同じような格好をしている。
「お米を用意したのはぎるばーとだし」
『そうそう、だけどすいはんき?がないとたけないなって』
「だから、ごはんをたくのも、ぐを用意するのもライラがやってたもの」
『でもうまかったけどな! ばくだんおにぎり!』
ルルが微妙に合いの手を入れている。
腕組みをしたメリアは頷きながら得意げだ。
「そう。わたしたちは、おじちゃんが作ってくれたお弁当がたべたいの。どこからどこまで作ったかは、じゅうようじゃないのよ」
(え、それは、いいんだろうか……)
さあさあ、と促された料理台にはカットされたパンに、野菜やハム、チーズなどの具材が綺麗に並べられていた。
「はさんで、紙に包んで、バスケットにいれて」
「それだけでいいのかい?」
「そう。おじちゃんはそうするだけ」
ふむ、と思案してから頷いた宗一郎は、まず丁寧に手を洗ってから作業にとりかかる。清潔な手でパンを手に取った。
メリアは横で濃い目のミルクティーを作って水筒に用意している。
「しかし随分たくさん用意があるね。バスケットから溢れそうだよ」
「大丈夫」
『あふれる分はオレ達が食うから』
「えっ」
メリアとルルが料理台の横に立ち、宗一郎がバスケットに入れようとしていたサンドイッチを横からかっ攫った。
メリアは口を頬袋のように膨らませ、もっもっもっ、とパンを食べている。
ルルも同じように、スマートな白猫の面影はまったくない。
「おいしーい! おじちゃん、おかわり」
「はい、はい。好きな具はあるかな?」
「チーズ~」
『美味ぇー! オレは次、肉多めー!!』
「うん、少し待っていてね」
――その日、大量のサンドイッチが入ったバスケットは作った本人により騎士団の訓練場に運ばれた。
「えっ、コレ兄上の手作りなんですか!? えっ!? ――ちょ、待ってみんな、取り過ぎ取り過ぎ!! わあああぁ残しておいてえぇぇ兄上のサンドイッチーーー!!」
メリアが「おなかいっぱーい」と勝ち誇る中、訓練場にはラフィセルの悲痛な叫び声が響いたという。
小話や番外編のカクヨムからの転載はここでおしまいです。
今後増える場合はなろうとアルファポリスだけです。(裏話の最速はカクヨムの近況ノートです)
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