表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役イケメン王子に転生しちゃったおじさん  作者: 天城


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/22

第20話 一件落着にはほど遠い?①


最終話まで、あと2話です。

夜に続けて更新します。




「こ、ここで服を脱げと!?」

「そんな辱めを! 私は邪教徒などではありません!」

「せめて別室で!」


 確認が始まった途端、謁見の間は阿鼻叫喚だった。

 さすがに服を脱いで見せろというのは抵抗があるのだろうか。

 そこに全裸脱毛男が伸びているのに。

 宗一郎は内心でため息をついた。

 

「ええい護衛騎士ごときが触るでない!」


 平民出身の騎士などはあからさまに邪険にされている。


(とはいえじゃあ私が全部確認するよというわけにもいかないし……)

 

「……」


 チラッと視線を向けると、王は宗一郎の視線に深く頷いてみせた。


(両親ともに協力関係を結んでいて正解だったな)


「――私は長く毒で苦しんでいた。それを救ってくれたのは女神教の聖女だ」


 王が話し始めると、騒いでいた貴族たちは口を閉じた。

 そして次の瞬間、王に視線を向けたままあんぐりと口を開けていく。


「私は女神を信じる。……これが信仰の証明だ。私は邪教徒ではない!」


 突然ガバッと上着を脱ぎ、王は左肩を露出させた。

 貴族たちはその場で固まっている。


 ――王族が肌を晒すなど、本来ならあり得ないことだ。


(わたくし)も陛下のお心と同じですわ」


 そう言うと、エリーザベトは煌びやかなストールを降ろし

 輝くほどの白磁の左肩を露出させた。

 

「――ッ!!」


 男たちの視線がエリーザベトに集中する。

 しかしその肩には、すぐに騎士服の上着がかけられた。

 にこ、と王妃に微笑みかけたのはセフィラ・モーガンだ。


「近衛騎士たちよ! 私に続け!」

「おおっ!」


 側室となった後もいまだに近衛騎士団への所属を絶っていないセフィラは、高らかにそう叫んだ。

 さらしを巻いただけの裸体が見えているが、女性的な色気というよりは男気しか感じられないのがセフィラらしさだろうか。

 マッチョな近衛騎士たちも次々に肩を露出しているが、もちろん邪教の印はない。


「ラフィセル!」

「はい! 母上!」


 男前に脱いだラフィセルもすっかり少年の身体から青年に変わりつつあった。

 

「さて。最後は私だ」


 宗一郎は黒衣の首元を緩め、上着を脱いだ。

 こちらに注目している皆を見回して左肩を見せた宗一郎は、にっこりと皆を魅了する微笑みを浮かべた。


「さあ、この場で最も身分の高い王族が脱いだのだ。わかっているね?」


 若干興奮状態にあった貴族たちが、一斉にサアッと青ざめる。

 続いて、剣を掲げたセフィラがよく通る声で威圧した。


 「そうだ! まさか断るものはおるまい! 王族より自身が尊いというのならば申してみよ!」

 

 ジリジリと身を寄せ合う貴族たちに向けて、スッと切っ先が向けられる。


「近衛たちよ! 一斉に、かかれぇっ!!」

「はっ!!」


(おお……まさに地獄絵図)


 宗一郎は次々に脱がされて肩を確認される貴族の様子を眺め、ホッと息をついた。


 原典での新興宗教は、メリアやラフィセルたちが王都へ帰還したときに断罪される。

 しかしその時点ではもう市民にまで蔓延し、紋章が家々の玄関に飾れるほどだったのだ。

 

(邪教、と一言で表すのは簡単だけど……違うんだ)


 女神教はどちらかといえば自然信仰に近く、聖獣たちと人間は平和に仲良く暮らしましょうというものだ。

 一方、新興宗教のほうは人の世の利を求める。

 そして国を豊かにし、戦争で信者の領域を広げていくのを推奨していた。宗教の違う他国の人々を人とは思わず、騙すのも搾取するのも罪悪感を抱かないようにされていくのだ。

 

(先代のフォルヴァイン公爵から染まっていたのかもしれないな。でも一体誰がそんな宗教を持ち込んだ……?)


 そんなことを考えていた宗一郎に、ラフィセルが飛びついてきた。

 ふわっと上着が肩にかけられる。


「兄上!! ダメです、早く上着きてくださぁぁい!!」


(そんな真っ赤になって怒らなくても……いや泣いてる? 泣いてるね)


 宗一郎は慌ててハンカチを取り出し、ラフィセルの目元にそっと当てた。


「ごめん、ラフィ。泣かないで」

「うわあぁん! 兄上なんで謝ってるかわかってなぁい!! 絶対わかってないです!! もおおぉぉ!! 自分大事にしてください!」


 わんわん泣き続けるラフィセルに、メリアがジト目で嫌そうな顔をしていた。


「めんどくさ」

『そう言うなよメリア~』


 ふんと鼻で笑ったメリアは、聖獣を伴ってトコトコと全身脱毛全裸男に近寄っていく。そしてポンッと聖水の瓶を開けた。


「ルル」

『おう!』


 ルルが一声吠えると、失神したままのリヒャルトの身体からズズズッと黒い(もや)が浮かび上がってきた。


(あれは、さっきも見たね?)


 ラフィセルを抱き締めたまま、宗一郎は首を傾げた。

 メリアは黒いソレを瓶の中に集めてしまうと、キュッと蓋をしめる。


「かんりょーう」

「メリア? それはなんだい?」


 声をかけた宗一郎に、メリアはにんまりと笑みを浮かべて振り返った。

 ゆさゆさと揺らされる瓶の中で『ヒィィィ……ミ゛ィィィィ……』と、か細く哀れな悲鳴が上がっている。

 

「ふ、ふ、ふ、女神様のところへもっていったら、ごほうびくれるよ」


 



いつも読んでいただきありがとうございます。


7/19   19時

・ 第21話 【閑話④】ゼファル

・第22話 一件落着にはほど遠い?②【完】


2話続けて投稿します。連休の最後にどうぞ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ