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敗北した元勇者の放蕩の旅  作者: 頂 有栖
第1章 ヘルヘイム編

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冒険の書 X12

『キョースケごめーん!!勢いつきすぎてキョースケの方に吹っ飛ばしちゃったー!!』


「い……いや……ナイスパンチだったぜ……。」


溝打ちにマリィのケツがクリティカルヒットしたため苦しいしまだ足が笑ってるがなんとか立ち上がる。

マリィもぴくぴくしていたが、なんとか起き上がってきた。


「お主ら……。1対1の勝負ではなかったのかの……。」


『え?そんな事誰も言ってないよー?キョースケが囮になって引き付けて、完全にアイが視界から消えたタイミングで奇襲する作戦だったのー!!』


「は…腹立つのぉ…。あー!!もうやめじゃ!

出来ればお主達には見せたくなかったが、本気の本気で相手してやるのじゃ。」


やっぱあるよな、第二形態。というか本当のドラゴンの姿。

竜のダンジョンのボスにしては人間すぎると思ってた。それに次元の竜姫なんて名乗ってたんだ。

きっと一番得意な魔法は雷じゃない。


「モノ子、バッグを安全そうな所に置いてこっちに来てくれ。多分使いこなせないとか言ってる場合じゃない。」


バッグを入口の柱の裏に置いてこちらにかけてくるモノ子。アイも俺の隣で臨戦態勢だ。


「みるがよい!我が真の姿 エクスティンの主 次元竜姫の姿を!!」


突如周囲に膨大な力が溢れ出す。

マリィが宙に浮くと、一度その姿は突如現れた裂け目の様な物に飲み込まれ、そして異なる姿で再び現れた。

ヒレの付いた長い尾。小さめながらもしっかりとした手足。ふんわりと膨らんだお腹。

そして特徴的なブーメランの様な頭。

四足歩行の竜……というよりはウーパールーパーとかサンショウウオに近いスタイルっ!!


『これこそ我 次元竜姫 アノマリス その真の姿じゃ。見るがいい、おろそしいじゃろう。』



この見た目…まさか…ディ…ディプロ…カウルス…!!!!?


「か……かわ……かわわわわ」


俺は思わず膝をつき、ポロポロと涙を流す。

その生物を、俺は実物で見ることは出来なかった。

分類的には両生類に分類される生物。だが、太古の時代にすでに絶滅してしまっている。

なにを隠そう俺がドラゴンを好きになった要因は図鑑を見てディプロカウルスをすきになって、恐竜とか調べてるうちにゲームに出てくるドラゴンもすきになったからだ。

俺は子供の頃、そのあまりに特徴的な姿に一目惚れしてしまった。すでに絶滅してしまっていると知ったときには本気で泣いてしばらく寝込んだ記憶がある。


そのディプロカウルスが、今目の前に居る。



『…なんじゃ、わしの真の姿のあまりの恐ろしさに涙を流し声も出んとは』


「可愛すぎるっ!!!!!」


《『『は???』』》


ほんとーに可愛すぎる!!どうなってんだこれ!!まさかディプロカウルスに会えるなんて夢にも思わなかった……!!いや、ちょっとは期待したよ?RPGとかのゲームで早々出てくるタイプの子じゃないし、竜のダンジョンってきいても流石にいないでしょ〜。うわー!!恐竜いるじゃんワンチャン……ないよなぁとか内心で思いつつも、水竜の間とかいって水の恐竜といえばスピノザウルスとかモササウルスとか差し置いてきてくれるんじゃとか期待しちゃったり、将来的にはこのダンジョンもボス魔物以外を採用するなら癒し枠てきな感じで真ん中のセーフゾーンでポテポテ歩いてもらったり水辺を用意して泳いでる所を観察させてもらったり出来れば餌やり体験とかさせてもらえるなら毎日通うんだけどなー!!なんて思ってたのにまさかマリィがディプロカウルスだなんてそんなの夢にも思わないじゃんか!!!!!


「……京介、心の声がうるさすぎる。」


剣から人間の姿に戻りジト目でこちらを見てくるモノ子。

アイも、そしてとっても可愛い姿のマリィもジトーっとこちらをみている。


「マリィ……やめてくれ……。そんな可愛い瞳で見つめられたら俺はおかしくなってしまう……。」


『いやどう考えてもおかしいじゃろ……。どう考えてもかっこいいとも可愛いともならんじゃろこの姿。じゃんる的にはどう頑張ってもぎりぎりきもかわいーじゃろ?』


「なにを馬鹿な!?その少しぬるんとした身体、ヒレのついた尾、ブーメランのような頭、可愛いポイントはいくらでもあるじゃないか!!!」


「え……怖。ドラゴンの姿になるのやめとくのじゃ……。」


すっと先程までの人間の姿に戻る。

酷い……。せっかくあんなに可愛かったのに……。

いやまあ人間の姿のマリィも可愛いんだけどさ。


「はぁ……毒気も抜かれたしやめじゃやめじゃ。正直あの姿になっても言うほど戦闘能力は上がらんしの。なんなら陸上なら人間の姿の方が強いくらいじゃ。」


『そうなのー?なんかすっごい強そうな雰囲気だったよー?』


「雰囲気だけじゃ、動きも遅くなるし……水中ならちがうがの。元々は我もこの竜の姿になる予定では無かったっぽいんじゃが、なんの因果か生まれ落ち時にこの姿になっての。正直虚仮威しじゃ。

…はぁ、この勝負 我の負けじゃ。どの道本気じゃないお主と互角な上、アイもおっては押し負けるでの。

本当の我の得意な次元魔法に関してもじゃ、戦闘中に活かせる魔法が今の所不意をつけるくらいしかないのじゃ。」


つまりこれにて竜神殿 エクスティン攻略、らしい。

もっとマリィの本当の姿見せてもらいたかったが、嫌じゃの一点張りだった。悲しいが無理強いは出来ない。


「それで報酬なんじゃが……。知っての通りまだ報酬を作るほどのりそーすが無くての……。

叶えられる範囲で何か希望はあるかの?可能な限り応えるのじゃ。」


「……え?じゃあマリィ。一緒に行こう。」


俺の言葉に呼応してぽわっとマリィの身体が光る。

すっと細い線が伸びて俺の身体に入ると見えなくなった。

なんだ今のと思って目を瞑りそういや最近確認してなかったなとステータスを確認する。


【ステー�ス】

京介 ��の眷属 LvXXX

状態 ��の加護 左�欠損 混沌剣の使い手 次元竜姫の主


なんか知らないのが増えてる。

混沌剣の使い手はモノ子の所有者って事かな?

カオスヘイローの真の力が使えるようになったのも関係あるかもしれない。

そして次元竜姫の主、これは。


「なぁぁぁぁぁあ!?!?我が!?お主の使い魔になっておるぅぅううう!?」


「あ、やっぱりそうなんだ。やったぜ。」


たまに魔物連れてる人いたけど、やっぱり使い魔とかだったんだな。今まで魔物がムクっと起きて着いてくるとかは全然なかったけど、制約の影響か?


「やったぜ。じゃないんじゃ!!お主なにを考えておる!!それに何故我を……。」


「いやだって可愛いって思ったの本心だし。それに一緒に過ごして飯まで食ったのにこのままバイバイは悲しいだろ。」


これも紛れもない本心だ。正直報酬うんぬんなくても勧誘するつもりだったし。


「…………。」


あ、照れてる。なんか使い魔と主だと思ってる事とか本心とかちゃんと伝わるんだ。


「しかし…やはり使い魔になるのはどうかとおもうんじゃが……。我だんじょんぼすじゃし……。」


「……異議あり。この手の契約に関しては一日の長がある。今回の場合京介が望んで、マリィが承認しなきゃ契約は果たされない。

ソースは私。」


みるみる顔が真っ赤になるマリィ。よかった。無理やり使い魔にしちゃったんなら申し訳ないとおもったが、マリィも一緒に来たいと思ってくれていたみたいだ。


「だって……可愛いって言って貰えたからの……。こうして繋がってさらに本気の本気と分からされたし……。気になって仕方ないのじゃ…。

なによりお主達とおるのははちゃめちゃじゃったがとても……楽しかったのじゃ。」


「京介はそういう所ある。その上たらしの癖に1人にしちゃダメな男だから。 あと私もマリィの事嫌いじゃない。京介はあげないけど、相棒は私。」

『キョースケほっとけないよねー!!アイもマリィの事大好きだよー!!一緒にいてくれると嬉しいなー!!』


なんというか……ダメ男って評価はかなりグサッとくる。まあダメダメなのでその通りなんだけどな……。


「お主らも我と似たような感じか……。

はぁ…あいわかった!

これより竜神殿 エクスティンの主の座を次代の者に託す!!

これより我は我が主、京介の使い魔なり!!

これより我の全ては主のために使うのじゃ!!」


「ありがとう、マリィ。これからよろしくな。」

『よろしくー!!』「よろしく。」


こうして俺達はマリィを仲間にして竜神殿を後にする事にした。

バッグに入らない分の素材はどうしようかとおもったが。


「むふふ、早速我の出番じゃな?

刮目せよ!!我が真の魔法 次元魔法をの!!

えーっと……2番次元はまだ何もはいってなかったの。

ほれ、次元を開くからこの中につめるのじゃ。」


突如マリィの隣に裂け目の様な物が出来て、そこに素材を収納し始めた。

え、マジックバックの上位互換じゃん。最強では?

結局大量にあった素材や肉は全てマリィが収納してくれた。

そういえば共食いさせちゃったけど大丈夫か聞いたら「種族が全くちがうのじゃ。それにあやつら一度設置したら死んでも無限に湧いてくるからの。問題ないのじゃ。」らしい。

今度ダンジョンについても色々教えて貰おう。


外に出ると夕方だった。

振り返るとマリィがダンジョンの入口で何かしている。

しばらくすると入口に魔法陣があらわれ、入れなくなったと思ったらダンジョンが消えてしまった。


「我の次代のボスが産まれるまでしばしかかるからの。最後の権限を行使して一時閉鎖と内部の成長の促進をしたのじゃ。

これでいつか我がここに来る頃には立派なダンジョンになっておるじゃろう。」


少し名残惜しそうに見つめたあと、マリィは俺の背中に飛び乗ってきた。


「さあゆくのじゃ主よ!!言っておくが我は元は水生の竜ゆえ歩くのは得意ではないぞ!!

さっさと我をおぶってゆくのじゃー!!」

「おいこら!俺の魔法の岩蹴り壊すくらい強靭な足腰だっただろ!!むしろドラゴンの姿になって乗せろ!!」

『ずるーい!!アイものせてー!!』

「なら私は前にくっつく。」


背中に乗ったマリィ、スライム形態で頭に乗っかるアイ、子供コアラみたいに正面から抱きつくモノ子。


「お前らこの状態で歩ける訳ねーだろ!!!

ガデアに着く前に明日の昼になるわ!!」


俺達は4人、ギャーギャー騒ぎながらガデアへと帰って行った。


─────────────────────


「っというわけで、あのダンジョンはしばらくはなんの問題もないかと思います。」


なんとか日付が変わる前にはガデアに帰る事が出来た。早速今回の事をギルドマスターに報告する。

一応なにがあるか分からないからマリィの事は伏せて、道中で会った凄腕魔法使いということにしておいた。


「キョウスケ殿、皆さん、ありがとうございました。元より魔王の城が近い為何かと警戒するこの街、他の脅威が安全だと分かると皆少しは安心出来るというものです。」


今回の件はその後報酬へとシフトし、200万ギル。それとみんなで話し合って、今は使われていない家を貰えることとなった。

もちろんこの街に定住するつもりじゃない。

が、面白い事を思いついたので試してみる事にしたのだ。成功すれば旅が安全になる。


宿屋に帰るともう深夜なのに女将さんと給仕のお姉さんが出迎えてくれた。

もう1日の宿泊の延期と、変わった肉を手に入れた事を告げて渡すと、「明日の晩御飯をたのしみにするんだねぇ!!」とはりきっていた。

後夕飯の残りで色々作って食べさせてくれた。

マリィは初めて食べる味に大興奮。

モノ子は明日は女将さんと一緒に料理をして色々教えてもらうと言っていた。


部屋にはいり、3人をシャワー室に放り込む。

今回何かと反省点はあったが、無事誰も大した怪我もなく帰ってこれた。剣の修行とか色々しなくちゃな。

ずっと一人ぼっちだったのに、いつの間にか4人でわいわいガヤガヤとした旅になってきた。

でもそれは悪くない。いや、むしろそれが本当に嬉しい。


さて、そろそろ髪の毛びしょびしょの子達がシャワーから上がってくるだろう。

風邪引かないように、ちゃんと拭いてやらないとな。



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