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敗北した元勇者の放蕩の旅  作者: 頂 有栖
第1章 ヘルヘイム編

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冒険の書 X10

先程はドン引きされてしまったが、改めて自己紹介する事に。


「俺は京介、案内よろしくマリィさん。」

『アイだよー。マリィさんよろしくー!』


「呼び捨てでよい。様付けでもよいがの。

では早速じゃがなびげぇしょんするとしようかの。見てもらったらわかる通りこの部屋には4つの入口があるのじゃ。

真ん中はまだとおれんがの。」


マリィの言う通り広間のようになっている部屋の周りには4つの入口がある。真ん中は魔法陣のようなもので通れなくなっているのを見ると他の3つを攻略すれば通れるようになるのか。


「一つ聞いておきたい、この中にいる魔物は外に出るか?」


「ん?いや、でんぞ?このダンジョンにおる者は我を除いて皆でかいからの、入口を通れん。まあ我なら出られるが、わざわざ用事もないしの。」


それならひとまずは安心だ。マリィの言うことが本当なら街への被害もでないだろう。


《京介、村に危険は無さそうだから用事は無い。今すぐ帰ろう。》

(絶対やだ。ドラゴンと戦いたい。)

《む、京介わがまま。》


「むふっ、では早速…え〜皆様こちらをご覧下さいじゃ。こちらにありますのは第一の間 地竜の間でございま〜すのじゃ。」


早速1つ目の通路に案内される。地竜!!アースドラゴンとかそういう奴かな!!楽しみだ!!

しかしなんか急にバスガイドっぽくなったな。ダンジョンのナビゲーターってこんな感じなの?


『えー地ってことは土ー?アイ土はあんまりすきじゃないなー。食べ飽きちゃったしきらいなのー。』


「安心しろアイ、地竜っていうのはだいたい土属性のドラゴンだ。きっと美味いぞ!!

…これでモグラの魔物とかミミズの魔物とか出しやがったらこのダンジョンが崩壊するまで暴れてやるがな…。」


『そっかー!!』


土竜でモグラって読んだり地龍っていう漢方があるらしいからな…。そこに絡めてだしてきたら流石にブチ切れてやる。


「お主ら食うことばっかりじゃし物騒じゃの!?

それにまだ出来て数日のにゅーまいほーむじゃ!!壊すでないぞ!」


ダンジョンに新築とかあるんだ。

つまり今まで発見されてなかったのではなく出来たばっかりと。魔王の大陸だから魔力とかは潤沢だろうけど、なにか出来るきっかけでもあったのだろうか。


─────────────────────



「ギァオオオオオオオ!!」


「うっひょー!!恐竜系のドラゴンじゃんか!!小さめの角生えてるしカルノタウルスかな!?

マリィ!解説たのむぜ!!」


「ち…地竜 ブランホーンレクスじゃ…。長い尾と硬い角を活かした戦いをする最初にして最強のぱわーをもつ戦士…なのじゃが…。」


俺はブランホーンレクスの突進を身体と右腕で受け止める。せっかくなのでこちらも勉強したての地の強化魔法【アースパワー】と【アースボディ】を使用してみたが恐竜と押し合いっ子が出来るなんて感動だ!!


「…のうアイよ、あやつ本当に人間かの?」

『んー?どうだろー。アイの眷属だから微妙かもー。』


マジックバッグ持ち係担当のアイが少し退屈そうにしている。次の奴はアイが戦ってもいいから!!というと渋々了承してくれた。出来れば全部相手にしたいが、独りよがりはだめだもんな。

モノ子にお願いしようとも思ったがいざと言う時の奇襲係をするから剣の姿で居るらしい。


《京介、私を抜剣しないの?》

(もうちょっと!もうちょっとだけ!!)


地竜としての意地なのか首を振って掴む俺を振り払う。流石に片手と身体だけだとしっかり掴むのは難しいな。

そのまま体を回転され尾による追撃をしかけてくる。俺は咄嗟にカオスヘイローに手をかけ斬り上た。


「ギャオ!?!?」


スンッという軽い音に遅れ、ドスンッと大きな音が響く。バランスを崩して倒れる地竜。

壁際には先程までブランホーンレクスに付いていた尾が滑るように落ちていった。


…今のが、カオスヘイローの本当の力。今までは強い光の魔力で両断する感じだったが、今のは魔力も何も無いあまりにも軽い一振だった。

なのに地竜の尾は豆腐の様にいとも簡単に切れた。なんつー斬れ味だ…。


《ふ、ふふふっ、これが京介と私の力。今なら何だって断ち切れる…。》


今までは鞘でぶん殴ってる感じだったのかもしれない。こんなに凄い剣だったのに俺のせいで随分無理させたもんだ。

倒れもがくブランホーンレクスの首を落とし、介錯する。もう少しこいつのタックルを味わいたかったが残念だ。モノ子の凄さが分かったから良いが、尻尾の一撃や噛み付き攻撃なんかも食らってみればよかった…。


「な…なんじゃその剣は…。強靭な肉体と鱗を持つ竜の肉体をいとも簡単に断つなど…。」


俺達を指さしてワナワナと震えるマリィ。


「んー…。俺の大事な相棒です。」


という訳で早速 地竜の間、クリアーだ。


─────────────────────


「やっぱり最初はステーキだよな!!」

『ステーキステーキ!!』

「京介、物資の中に塩胡椒とか色々あった。これで美味しく食べれる。」


先程倒したブランホーンレクスの解体をしながらどうやって料理しようか話し合う。

血抜きに関しては昨日読んだ本に面白いやり方があったので応用して試してみた。水魔法の血流操作は自分に使ってたが、それを魔物相手にやってみたのだ。なんとか上手くいったが、加減を間違うと穴という穴から血が吹き出しそうでめちゃくちゃ怖かった。


ちなみにモノ子は少し悩んでいたが、ドラゴン肉の誘惑には勝てず結局人間体になっていた。

食べたいよね、ドラゴン。


「おー、やっぱ鱗かってぇな。流石恐竜。」


ダイモンさんのナイフが相当良い代物なのか刃自体は通るが、解体は少し苦労する。結局近寄ってきてドヤ顔するモノ子の力を借りてカオスヘイローで解体することに。しかしほんとによく斬れる。

斬れすぎて油断すると俺自身も斬れちゃいそうだと思ったが


《安心して、あらゆるモノを斬れるってことは斬らない事も出来る。ある程度は京介の技量も関わってくるけど。》


と言うことらしい。今日から右腕で扱えるようしっかり稽古するか。


「……のう、きいていいかの?お主らほんとになにしとるんじゃ?解体は大体終わったじゃろ…?」


呆れ顔のマリィ、はよ次行けって顔をしているが、こちらとしても譲れないものがある。


「え?飯の支度だけど。せっかくドラゴンの肉あるんだから食べないと勿体ないだろ。味が気になって次の戦いに集中できないし。

残りも真ん中の部屋に置いておいて持って帰れるようにしなくちゃな。」


土魔法で土台をふたつ作り、片方は俺が、もう片方はモノ子が調理を開始する。

モノ子も火の魔法を使っていて驚いたが、所有者である俺との繋がりで俺に適正のある属性なら基礎魔法くらいなら使えるらしい。

俺はフライパンを、モノ子は鍋を使い調理をこなしていく。用意してもらった物資に調味料もあって助かったぜ。

俺達が調理している間にアイが素材を真ん中の部屋に運んでおいてくれた。マジックバッグに入り切らないだろうから本当に助かる。


『えっほえっほ、美味しく食べるために運動しなきゃー!』


巨大化した腕で一気に運んでいる。マリィが え、まともな人間ひとりもおらんやんみたいな顔でこっちを見てくるが知らん。そういう集まりだから諦めてくれ。



「というわけで完成!!地竜のステーキ塩胡椒&ステーキソース!そして」

「ドラゴンテールスープ。」


4人分を皿に盛り、各自の前に並べる。予備でもう1セット買っておいて良かった。


「「『いただきます!』」」

「え〜…、まあ、い、いただきますじゃ。」


まずはスープから一口。飲み込んだ瞬間、体に電撃が走る。

美味い、美味すぎる…。本来テールスープはしっかり下処理した上で臭み消し等をしっかりして作るものだ。しかし今回のドラゴンテールは少し焼きを入れたあとにそのまま塩胡椒で味を整えたシンプルなスープになっている。

にも関わらず、このスープは臭みもなく濃厚な旨味が溢れ出している。

俺はモノ子に目配せし、サムズアップすると嬉しそうに笑っていた。


続いてステーキ。夢にまで見たドラゴン、しかも恐竜系の肉のステーキだ。全身をとてつもなく強靭な筋肉で覆われていると思ったが、驚いたことにその肉は脂身こそ少ないものの、部位に寄ってはあまり筋の無い綺麗な赤身肉だった。

まずは塩胡椒を。…なんだこれ、たしかに少し歯ごたえこそあるもののむしろそれがいい。

牛より馬肉や鯨の方が近いのだろうか…?だが恐るべきはその噛む事に溢れ出す暴力的なまでの旨味。

これは先程のスープでも感じた物だ。竜の肉は旨味が凝縮された爆弾なのだ。

続けて即席のステーキソースをかけたものを。こちらは香味系の野菜や調味料で作ってみたが肉が美味すぎて押し負けている感じがあるな。

やはりシンプルに塩胡椒の方がいいか。持って帰った分を女将さんがどうやって調理してくれるか楽しみでもある。

再びスープにもどり、骨に付いた肉を貪る。

スープに溶けだして尚まだ旨味を残す肉、やはりドラゴンは美味しい食材だった…。

皆で美味い美味いといいながら作った分を全部食べた。マリィはちょっと複雑そうだったけど。


「「『ごちそうさまでしたー!』」」

「ご馳走様じゃ。」


『美味しかったー!モノ子も料理上手だねー!!アイは食べるの専門だけどー、食べるのは任せてねー!!』


「ははっ、なら腕によりをかけてつくんなきゃな。

…モノ子、俺の為に鍋買ってスープ作ってくれたんだよな。ありがとう。凄く美味かった。」


「……。京介、前はいつも1人で寂しそうにご飯食べてた。暖かいもの、なにか作ってあげて、美味しそうに食べてくれたら嬉しいなって…ずっと思ってた。」


以前の旅の頃を思い出してるのか、少し悲しそうな顔をしつつも、笑いかけてくれて、大切そうに鍋を拭いて、バッグへと仕舞う。

照れてるが嬉しいという感情を伝えたいのが伝わってきて、こっちも嬉しくなる。


「これからは私も京介とご飯つくる。美味しいスープ、いっぱいつくってあげる。」


『アイはたべるむぐっ』「これ、ちょっとは空気読むんじゃ。しかしまあダンジョンで呑気に飯炊きとは豪気じゃの。我も流れでご馳走になってしまったが。」


さて、1戦目の後に随分ゆっくりしてしまった。次はアイが戦う番だが、大丈夫だろうか。

まあアイも強いし大丈夫か。なにかあったら割って入ればいい。


1度最初の部屋に戻り、本分を思い出したマリィによるナビゲーションが再開される。


「えー続きましては第二の間 飛竜の間でございますのじゃ。」


飛竜…ワイバーンか!!いや、1戦目の傾向からするに飛竜と言いつつ翼竜系統の可能性は全然あるぞ!

王道にプテラノドンか!?そういやクリオドラコンなんて種も発見されたと聞いたな……。

他にはアーケオプテリクスなんかの可能性も捨てきれん。


「アイ、注意するんだぞ。下手したら相手は群れの可能性もあるし、飛んでたら攻撃を当てるのが難しいかもしれん。」


『おー、ならアイの必殺魔法が役に立つかもー!』


アイの必殺魔法…?アイは光属性の適正があるんだったよな。基本的に光属性は回復系のがメインになるが、アイはいったいどんな必殺魔法を使うのだろうか。楽しみだ。




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