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「賊軍」  作者: 此花 陽
5. 反逆!!藤原の終焉

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17/19

藤原の怨念と歴史


 景久は不敵に微笑み、

 黄金の鏡の前にゆっくりと歩み寄った。


 彼は自らの掌を鏡にかざすと、

 そこから歴代の「賊軍」たちの断末魔を、

 自慢げに語り始めた。



「五代、お前たちは我々の『筆』が動くたびに、

 人生を、名誉を、命を奪われてきた。


 その滑稽な歴史の裏側を教えてやろう。


 これは我ら藤原が綴った、真実の脚本だ」



 【「菅原道真」という鏡の封印 】


「道真はな、我らがとうに切り捨てた

『民への誠実さ』などという、

 甘っちょろい理想を抱いた。


 奴の存在は、

 我ら藤原の腐敗を突きつける

 不愉快な鏡だった。


 だから『賊』として追い、

 死後は『神』として閉じ込めた。


 二度と現世の政治に口出しできぬよう、

 神社の奥に幽閉したのだよ。


 民は今も、

 自分たちの味方を殺した者たち(我々)の

 用意した社で、熱心に祈っておる。滑稽極まりない」




 【「天正」の五代家への転嫁 】


「信長を殺したのは光秀だが、

 光秀を追い詰めたのは我らだ。


 奴が進めた能力主義は、

 血脈の支配を脅かす毒。


 本能寺で始末し、

 その汚れをすべてお前の先祖

 権兵衛に押し付けた。


 お前の一族を『裏切り者』として

 歴史に刻むことで、

 我らの関与は完全に消え去った。


 一族一人の命で、

 我らの支配は四百年伸びたのだ」




【「幕末」の国家抵当 】


「宗一郎が暴こうとした密約は本物だ。

 

 英国公使パークスと交わした、

 日本を抵当に入れる契約。


 我らは志士たちの熱狂を隠れ蓑に、

 国を切り売りした。


 宗一郎が五稜郭で死んだとき、

 我らは新政府という名の

 新しい『搾取システム』を手に入れたのだ」




 【「大戦」の生贄 】


「隼人を死なせた特攻も、

 私の祖父の演出だ。


 敗戦後に我々が支配権を

 維持するための資産隠蔽……


 その時間稼ぎのために、

 何万人もの若者を『英霊』という

 美談に仕立てて散らせた。


 五代の家系は、

 いつの時代も我々の

『失態』を隠すための、

 最高のゴミ捨て場だったのだよ」




「……すべて、自分たちが

『官』であり続けるための、

 生贄だったのか」



 無一郎の全身を、

 歴代の先祖たちの慟哭が貫く。


 景久の言葉は、1300年に及ぶ支配への誇りと、

 民衆への底知れない蔑視に満ちていた__。


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