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命の恩人

なかなか難しい・・・



 私の名前はリアリー。


 夢は冒険者になる事だった。冒険者は十五歳から登録できる。しかし、両親からは危ないからといって反対されていた。でも私は押し通し、冒険者になった。



 順調だった。

 

 なぜ過去形なのか? それは目の前のオーガだ。私はスライム討伐のために来ていたが、調子に乗ってどんどん奥に行ってしまったのだ。


 ああ…私ここで死ぬのかな。


 既に諦めていた、こんな相手勝てるわけない。そしてオーガが、その巨大な腕を振りかざそうとしていた時にその人は現れた。


 とても美しい少女だった。


 黒いドレスに銀色の髪。そして透き通るような白い肌。女の私でも見とれてしまうような。そして、彼女が乗っている狼は神々しかった。



 気がつくとオーガの首がなくなっていた。


 恐らく彼女が助けてくれたのだろう、私は安心したら腰が抜けてしまった。



どうやら彼女は安心して、腰が抜けてしまっていた。


「大丈夫…?」

「はい…大丈夫です…」

「大きな怪我はないみたいだね、良かった」

「一応、回復魔法使うね。 傷を癒したまえ…ヒーリング」

「回復魔法?!」

「立てそう?」


 手を差し伸べる。


「あ、ありがとうございます…」

「えーっと、君は…」


 鑑定で名前は分かっているが、聞いておいた方がいいだろう。


 怪しまれるかもしれないからね。


「リアリーと申します!」

「リアリーはこれからどうするの? 僕はこれから、イルオーネに向かうつもりなんだけど」


 目的地が一緒だったら連れて行ってあげよう。


「あんなことがあったので、イルオーネに帰ろうと思ってます…」

「じゃあ目的地は同じだね。良かったら一緒に行かない?」

「え、いいのですか?!」

「うん、いいよ」

「何から何まで、本当にありがとうございます…」

「それじゃあ移動しようか、ずっとここにいるわけにも行かないし」

「はい」


 リルを呼び、乗る。


「リアリーも乗って」

「は、はい」


 リアリーが、後ろの空いている場所に乗った。


「凄いですねこの子…モフモフしてて気持ちいです」

「でしょう(ドヤ顔)」


 このもふもふを知ってしまったら、もういつもの生活に戻れないだろう。


「この子はなんていう種族なんですか?」

「フェンリルだね」

「フェ!? フェンリル!!?」


 突然驚くリアリー。


「どうかしたの?」

「フェンリルは、遥か昔に絶滅したと言われて居ましたが…」

「凄いの?」

「伝説によると天災級の強さを持っているそうです…」

「リ、リルハスゴイナー」


 天災級…。


 フェンリル達が生きていた時代はどんな風になっていたんだろう…。でもいっぱい居たってことは、もふもふが…!


「ワフッ」


 凄いでしょと言わんばかりにこちらを見ている。


「よしよーし」

「それじゃあ出発しよう! リアリー、一応僕に掴まってね」

「……」

「ん? どうしたのリアリー」

「あ、いえ、なんでもないです!」


 顔を赤くするリアリー。


「掴まってないと、落とされるかもしれないからね」

「はい…」


 恐る恐る捕まるリアリー。


「よし、出発」


 リルが走り出す。


「わあ! 速いですね」

「リルのお陰で移動が楽だよ」

「速いのに風がそんなに来ないですね、凄いです…」



 移動の間、リアリーと会話しながらイルオーネに向かう。


 流石に一日で着くような距離じゃないので、暗くなる前に休めそうな場所を確保する。


「今日はここで休憩しようか」

「分かりました」


 リアリーは顔にあまり出さないが、かなり疲れているだろう。僕は作り出した体なので疲れが無い。


「見張りは、僕とリルでするから安心していいよ」

「ありがとうございます」

「食べ物を確保しておけばよかったね…」


 僕は必要ないが、彼女とリルは必要だろう。


「食料なら問題ないです! あんな事がありましたが…冒険者なので保存食を持ち歩いてます!」


 良かった。


 彼女の知識を借りても、すでに加工されたものばかりだったので、どれを食べて安全なのかが分からなかった。そのせいで食料が確保できていなかった。


「ごめんね…」

「謝らないでください! グラキエスさんは私の命の恩人ですから、私は感謝の気持ちでいっぱいです!」

「ありがとう…リアリーは優しいね」


 リアリーの顔が赤くなる。


 この子はよく顔が赤くなるな…不思議な子だ。


「食事は私が作りますね!! 頑張って作ります!!」


 僕に食事は必要ないのだがリアリーが張り切っていたので断れなかった。でもよく考えれば、この世界での食事は初めてなのでは…。そう考えると何だかワクワクしてきた。


 リアリーが調理の準備をしている。すると、何処からか鍋を取り出す。


「今どうやって鍋を…?」

「えっとこれはですね、冒険者に登録するとブレスレットみたいのが貰えるのですが、それに収納する機能が備わってるんですよ」


 なるほど、それはかなり便利だ。


「どれくらい入るの?」

「容量はランクによって変わりますね、因みに私はEランクなので30個くらい入りますね」


 ランクが上がると容量も増えていくようになっているのか。


「便利だねー」

「はい、この機能のために冒険者に登録する人もいるくらいですから」


 確かに、こんなに便利なら自分だって登録する。


「他に収納する方法はないの?」


 一応聞いておこう。


「他にですか、そうですね…あとは空間魔法くらいですかね」


 ん…?空間魔法?持ってるじゃないか…。


「でも使える人なんて滅多にいませんが」


 そういうことか…。イルオーネに着いたら、自分の能力をちゃんと調べないとな…。


「ごめんね邪魔しちゃって」

「いえいえ大丈夫ですよ」


 リアリーが調理を再開する。


 鍋が置けるように石で囲いを作り、木を置く。そこへ魔法で火を着ける。


「火よ…ファイア」


 次は、鍋に向かって手をかざす。


「水よ…ウォーター」


 鍋に水が溜まっていく。今更ながら異世界を実感する。魔法って便利だ。調理の準備は完了したらしいので次は食材の準備だ。


 因みに僕は料理をしたことがない、自由な時間なんて無かったからね…。


 何かの干し肉と、乾燥した野菜を取り出していた。そして、何かが入っている瓶を取り出した。


「この瓶の中には、一族に伝わる秘伝のだしがはいってるんですよ! 凄く美味しいですから楽しみにしててくださいね!」


 秘伝のだし…どんどん楽しみになってきた。前の世界では宇宙食の様なものしか食べなかったから…。


 沸騰し始めたので干し肉と乾燥した野菜を入れる。そして何分かして、乾燥した二つの食材が柔らかくなった頃…。


 例の秘伝のだしの出番だ…。


 リアリーが鍋にだしを入れる。すると、とても美味しそうな匂いが漂ってきた。僕の体は作り出した体だったが、気づけばよだれが出ていた…。


 なにこれおいしそう。


「よしっ! 完成です!」


 僕はよだれ、リルは尻尾をぶんぶん振っていた。


 器を取り出しスープを注いでいく。


「では、食べましょうか!」

「うん!」

「「いただきます!」」


 一口飲んでみる。


「おいしい…」

「頑張って作った甲斐が…。え…グラキエスさんどうしました!?」

「え…?」


 気が付いたら涙が出ていた。


「わ、私何かまずいことでも…」

「違うよ、こんな暖かい食事は初めてだったから…」


 気持ちを込めて作られた暖かい食事。


「それに、他の人と食事をするのは初めてだったからね…。こんなにいいものだとは思わなかったよ」

「そうでしたか…」

「ごめんね、こんな空気にしちゃって…。さあ食べよう、折角のスープが冷めちゃう」

「そうですね」

「まだ余ってるので、どんどんお代わりしてくださいね!」

「ふふっ、ありがとう」


 スープは、二人と一匹が美味しくいただいた。


もふもふしたい

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