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第72話:凪からのメール

 


 ☆


「よっ。ひ~ろき♪おっじゃま~ぁ」



 窓から浩樹の部屋への侵入は久し振りだ。

 内心、今度はどんな感じでリアクションしてくれるのかワクワクしながらの侵入だったが、そこに紫藤がいたものだから寧ろ越智の方が驚いて窓から落ちそうになり、必死に窓枠にしがみついた。



「か、か、か馨!?何故馨がここに……!?」


「静香、窓からなんて危ないですよ。

 それにこの部屋に来るのもお勧め出来ません。ここには有害指定図書が大量にあるのですから目に毒です」



 そう言いながら紫藤は、ベッド下に視線を走らせた。

 その視線に気付いた浩樹は慌てて紫藤の前に出てベッドへの視線を遮ると、わざとらしく咳払いをした。



「で、今日はどうしたんだ?」



 越智は定位置に腰掛けてから口を開いた。



「最近、凪と帯刀が妙な動きをしてるなぁと思ったらいきなり検査入院だろ?

 こりゃなんかあるなと思ってさ。

 浩樹なら知ってるんじゃないかと思って来たワケだ」



 浩樹が「お前もか」と呟いたので、眉をピクリと動かして紫藤を見ると、彼はその視線を受けてゆっくりと頷いた。



「やはり馨も気付いたか」


「ええ。大分前から気になって自分なりに調べた結果を踏まえ、大海原さんに聞こうかと思いまして。

 ですが、帯刀さん本人にも伺いたいとこですね」


「そろそろ話そうと思っていた所だ」



 突然帯刀の声がして、驚いた浩樹と越智は声のする方を見た。

 そこには前からいたかのように、帯刀がドアに寄りかかっていた。



「え!?恭介!?いつからそこにいた!?」


「越智と同じタイミングだ」



 浩樹は、もう少し気配を敏感に察知出来るようになろうと心に決めながら本題に入る事にした。



「で、まずは恭介。経緯を説明しろ」



 帯刀はそれを受けて、凪から送られてきたメールを見せた。

 帯刀からの課題から凪が考えたその内容を見せた方が手っ取り早いし、紫藤の持つ情報も帯刀からではなく凪からとした方が得やすいと判断した為だ。



『私なりに考えた結果です。間違いでしたら指摘お願いします。


 まず、あたしはかなり目立ち過ぎた。ということです。

 体育祭、対抗戦、学園祭であたしと生徒会のみんなと仲良くしている所を見られている。

 生徒会が一つになった功績があたしだと教頭先生が判断したのだとしたら帯刀先輩の言われる通り、あたしを懐柔させるか排除するかのどちらかになるでしょう。

 ただ、解らなかったのは何故教頭先生はあたしを懐柔ではなく、排除しようとしているのか?と、いう点です。

 もしかして、あたしを浩樹先輩の異母兄妹だと思っているのでしょうか?

 浩樹先輩と理事長さんは従弟同士で仲もいい。

 あたしも浩樹先輩と仲がいい。

 それが血族ならこの学園だけでなく、近い将来一族の中に帯刀先輩や越智先輩、紫藤先輩を率いる事であたしの発言力が強まり、教頭先生が一族のトップに立つ事が出来なくなるから今のうちに潰そうとしていると考えたのですが、間違いないでしょうか?


 もしそうならあたしは教頭先生を許せません。

 あたしを排除する為に、伊藤先輩の将来を弄ぶ人間を許すわけにはいきません。

 あたしが邪魔だと言うのなら徹底的に邪魔してやります。

 その為にはまず、あたしを簡単に排除出来ないようにする必要があります。

 ですから早急に生徒の皆さんにあたしが生徒会、いえ、生徒の代表として相応しいと認識させる必要があります。

 認識されるようになったら、更に教頭先生に狙われるようになる可能性がありますが、少なくても彼が学園内の味方を増やして攻撃する事はしばらく困難になると思います。

 ですから、どうかあたしが皆に認められるような大々的なイベント企画を考えてもらえないでしょうか?



 P.S.明智先生の周辺を探ってください。あたしには先生が何か理由があって教頭先生に従ってるように見えます。そこを崩せば、教頭先生も崩れるかと思われます。』




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