表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/151

第71話:何故かを考える

 


 早苗はその後経過がよく、凪と面会した時も笑顔で手を振ってくれた。

 出血も完全に止まり、熱も出ていないという事で一安心だという事だった。

 凪は膝の検査を受けながら、帯刀の課題に取り組むべく伊藤と教頭等の話を振り返っていた。



(あたしはテニスを取ったら何もない凡人)



 確かにその通りだった。

 学力は高い方だが、それは必死に努力したからだ。

 だが、その凡人に固執する意味が理解できない。

 教頭は大きな顔をしてと凪の事を言っていた。

 大きな顔とは生徒会に所属しているという事で、実力のない者が生徒会にいるのは間違っていると言っているのだ。



(あたしが生徒会に入る事を承認したのは理事長さんなのに、それを間違いと言うのはオカシイ)



 しかも全ての行事を生徒会に一任するようになったのも理事長なのに、生徒の自主性を重んじるというのも間違いだと言っていた。

 しかも、理事長を『若造』呼ばわりさえしていた。



(理事長さんと教頭先生は敵対しているって事か……)



 そう考えれば納得がいく。



(確か教頭先生は春宮一族の婿養子だったはず。と、いうことは総統の座を狙っている?)



 以前浩樹が、「理事長になるって事は春宮グループの総統になる事」と言っていた。

 恐らく理事長の座は、総統になる為の通過点なのだろう。



(じゃあ、あたしは理事長の味方と見なし、邪魔だったって事?)



 いや、いくらなんでも一高校生である凪が大仕事をするわけがないのだから無視出来る範囲内の筈だ。

 凪は頭を振ってもう一度考え直した。

 邪魔と言うならば寧ろ理事長の従弟である浩樹、若しくは油断ならない帯刀や紫藤に焦点を絞るはずだ。

 何故、下っぱの自分なのだろうか?

 越智の家にお世話になった時、帯刀に言われた事を振り返った。

 帯刀は、凪にはバラバラの個体を一つに集める力があると言っていた。

 少なくても教頭から見ればそう見えると。

 よって排除しようとするか、味方に引き込もうとして来るはずだから注意するように言われた。

 凪にはその自覚はないが、もしそれが本当ならば味方に引き入れた方が有利に動く筈である。



(じゃあ、何故教頭先生はあたしを敵視し始めたの?)



 必死に考えるが理解出来ない。



「ちょっと気分転換でもしようかな」



 病室に籠っているより、散歩をしている間に思い付くかもしれない。

 そう思い、凪はベッドから抜け出た。

 昼間の病院は外来患者もいるせいか、ザワザワと賑わっている。

 凪は会計口に到着すると、キョロキョロと周囲を見回した。

 松葉杖をついてる人、眼帯をつけている人、臨月間近な妊婦、マスクをつけている人、一見どこが悪いのか判らない人など、様々な患者が待っている。

 病院というと喋らないイメージがあるが、色々な所から声が聞こえてきて大変賑やかである。

 凪は椅子に腰掛け、そんな人々をぼんやり観察していた。

 隣に座っている女の子は自分と同じ年ぐらいだろうか?

 マスクの下に見える頬が赤く染まっており、熱があって学校を休んだのだろうかとぼんやり考える。

 会計を待ちながら暇潰しに読んでいる彼女の雑誌に目を写すと、先日自分が載った雑誌だった為、クスリと笑みを溢した。



(あの時は大変だったなぁ。越智先輩や紫藤先輩にからかわれて……)



 浩樹があの場にいたら間違いなく遊ばれていたろうと凪は一人笑ったが、帯刀の表情を思い出て凪は動きが止まった。

 あの中で帯刀だけは機嫌が悪かった。

 機嫌が悪いというよりは、凪と浩樹が写っている部分を険しい表情で見ながら考えていたように見えた。

 何に対してなのか凪は暫く考え、思わず叫んだ。



「兄妹だ!!」



 隣の女子高生は驚いて雑誌を落とし、周囲も「何事だ!?」とばかりに凪を見た。

 沢山の視線を浴びて恥ずかしくなった凪は、逃げるように病室へ戻っていった。

 そして戻るなり、凪は考えを纏めてそれをメールにして帯刀に送信した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ