第20話:譲れない
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手を包み込む温かい感触がして目を開けると、そこには心配そうに凪を覗き込む越智と浩樹の姿があった。
「凪!!」
「お嬢ちゃん大丈夫かい!?」
意識が覚醒した凪は、ベッドから飛び起きるなり浩樹の腕を掴んだ。
「浩樹先輩!!彼らは!?」
「ああ、俺らと対抗戦をして決着をつけることになった。そんな事より、具合は大丈夫なのか?」
浩樹は心配そうに凪の頬に触れたが、凪は「大丈夫です」と、はっきり答えた。
「で、勝負は誰が何部に挑戦されるんですか?」
さっきまで気を失っていたとは思えない勢いの凪に押されぎみに越智が答えた。
「バスケ部はあたしだ。で、水泳部は帯刀。柔道と野球は浩樹がやる」
「僕は、先のリベンジもありますからね。英研は必ず仕留めます。テニス部も僕がやるつも……」
「あたしにやらせて下さい」
凪は、紫藤が言い終わらないうちに強い口調でそう言った。
それを聞いた浩樹と越智は即反対した。
「相手は男だぞ!?やらせるわけにはいかん!!」
浩樹がそう言えば、
「他の部と違いテニス部の部長はインターハイの実力がある。お嬢ちゃんには荷が重すぎる!」
と、越智も反対する。
「なら、紫藤先輩なら勝てるんですか!?」
今まで声を荒げた事のない凪の剣幕に二人は、たじろぎながらも反対を続けた。
埒があかないと判断した凪は、紫藤に視線を向けた。
「紫藤先輩。勝てる自信がありますか?」
先輩に対してあまりの言いようだが、紫藤はそれに怒り出す事なく正直に答えた。
「無理ですね。他のメンバーよりやれる自信はありますが、その程度のレベルでは勝てるとは思えません」
「なら、あたしにやらせて下さい!少なくても紫藤先輩よりは遥かにやれます!
それに、あたしだってリベンジしたいんです。
負けてもいい。でも、彼からは逃げたくないし、他の人にもやらせたくないんです!!
お願いします。やらせて下さい!!」
紫藤は困ったように凪の瞳から視線を逸らし、彼女の右膝を見ながら聞いた。
「……大丈夫なんですか?」
その質問の意味を理解した凪は、苦笑しながら頷いた。
「『だからこそ』やりたいんです!」
紫藤はどうするべきかと越智を見ると、首を振って反対し浩樹もやめさせるよう訴えてる。
(樹神さんの気持ちもよくわかります。ですが……)
やらせてあげたい気持ちとやらせたくない気持ちとで考えあぐねていると、帯刀が過酷な条件を出してきた。
「一矢でも報いたいなら試合形式で参加しろ。それでもやるか?」
「望むところです」
状況が悪化していると浩樹が帯刀に抗議すると、彼は理解出来ないといったふうに冷たく言い放った。
「樹神は生徒会の客なのか?客なら参加しなくてもいい。
だが、正式なメンバーならやらせるのは当然だろう?」
「だからってフルでやらせる必要はないじゃないか」
男と女では体力の差がある。標準よりやや低めの身長に標準体型の凪ではあまりに過酷すぎる。
「試合形式なら一矢報えるチャンスが出来る。ならばそれをやらせるべきだろう。
樹神、やってみろ」
凪は嬉しそうに頷いたが、浩樹はそれでも凪を説得した。
越智も浩樹の援護をしたが彼女の意思は堅く、渋々ながらも許可するしかなかった。
今日もやっちゃいます。
2話更新。




