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おまけ3:作者に物申す‼~紫藤馨の場合~

 


 ある晩の事、紫藤は私の部屋で寛いでました。



「作者さんお帰りなさい」



 私の気配に紫藤は、読んでいた本から私へと視線を移した。



「ただいま。今日は『わだつみの声』じゃないんだね」



『わだつみの声』とは戦没された方々の手紙を集めた本の事だ。

 最近紫藤は、そのシリーズばかり読んでいたが、今回は大分毛色の違うものを手にしている。



「『夢野久作』は素晴らしいと思います」



 紫藤はそう言うと、彼について語り始めた。



「知っていますか?

 夢野久作は両親の離婚により、祖父に育てられ孤独な少年時代を過ごしたそうですよ。

 能楽を学び、出家し、還俗後このような現代に当て嵌めても違和感のない小説を執筆し、父親の借金の負債を背負い、最後は脳溢血で他界という実に大変な人生を歩まれたそうです。

 ああ、そうそう。彼の長男は実に偉大な方で、戦後土地を売ったお金でインドに渡り、砂漠化や土砂災害の地の緑化に貢献し、インドでは緑化の父と大変慕われた方なんですよ。

 ですが、日本政府や企業は……」

「ス、ストーップ!!」



 話が長くなりそうなので、途中で強制終了させた。

 紫藤君は残念そうに笑いながらも、私が止めに入るのを予想していたような表情をしていた。

 私は実は紫藤の「私は何でも知ってます」的な、この表情が苦手である。

 だから、私は彼から目を反らしながら口を開いた。



「で?今日はどうしたの?

 別に『夢野久作』について語り合おうと思って来たワケじゃないでしょ?」



 紫藤は「勿論」と頷き、プラチナブロンドの髪をかき揚げながら私を見詰めた。



「作者さん。

 本編での僕の扱いはあまりにも酷いと思うのですが?」



 言ってくると思った。

 初稿での紫藤の設定は、凪に近しい人物として登場していたのだ。

 そして、早い時期から「凪さん」と、呼んでいた。

 だが、ここでは終盤で漸く名前を呼ぶようになった。

 しかも、浩樹並みに出番を削っている。



「う~ん。実は越智の人気が予想以上だったから、紫藤君がやっていた役目を彼女にあげちゃったからだったりする」


「だとしても、僕の出るシーンは好感度が低いと感じます。

 まるで、僕がヒールみたいじゃないですか」



 確かに帯刀に喧嘩ばかり売り付けてる印象しかない。

 でも、それだけじゃない。

 後半の紫藤はかなり美味しい役のはずだ!



「そうですね。確かにネガティブパワー炸裂中の凪を相手にして『安心する』のは僕だけでしょう」



 妙に誇らしげに胸を張る紫藤に、私は思わず笑った。



「何がオカシイのですか?

 あの男は恋心とまともに話せる相手の存在に浮かれているだけですが、僕の場合は、入学当初から凪さんを一人の人間として見守り、彼女の全てを冷静に見た上で、敬意を表して『凪さん』と呼ぶようになったわけです。

 それだというのにこれらの描写がない。

 これをきちんと書きさえすれば、凪さんの葛藤をちゃんと描けたハズですよ。

 そんな貴重な存在であるはずの僕だというのに……

 僕は貴方が手を抜いているとしか思えません」



 うぐっ((+_+))

 やっぱり紫藤は苦手だ。

 痛い所をザクザクと斬りまくるんだ。

 返す言葉もありません。


 私が小さくなっているのを良いことに紫藤は畳み掛ける。



「そもそも伏線だってベタベタと貼りすぎなんですよ。

 blooming foolのクセしてに背伸びし過ぎなんです。もう少し身の程をわきまえるべきですよ」



 うっ……酷い、酷すぎる。

 かつてここまで親をコケにするキャラがいただろうか(T_T)

 いや、いない!

 とはいえ、反抗すれば彼は万の言葉で返すに違いない。

 私は泣く泣くその後も続く紫藤のダメ出しに黙って耳を傾けるのであった。




これで完結になります。

最後までお付きあい本当にありがとうございました!

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