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絶対主権  作者: ユウライ
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4/10

4話《最初から使えばよかったじゃん!》

だんだん、小説を書く気が増してきたような・・・

「よし・・・次はイメージだな」



壊れた人形から少し離れ、今度は別の標的の前に立つ。


技名を叫ぶだけでは、ただのパンチになった。


なら次は、頭の中でしっかりと攻撃を思い描いてみる。



「(暴風・・・風を拳に集めて、そのまま撃ち出す感じ・・・か?)」



イメージで考えるなら、こうだ。


けど・・・それだけで本当に発動するのか?



「イメージなら、どうとでもなる・・・体で意識するもんじゃないか?」



俺は自分の拳を見つめる。


頭の中だけで風を思い描くんじゃなくて、もっとこう・・・身体の中にある何かを、拳へ集めるような感覚。



「(魔力・・・なのか?それとも別の力・・・?)」



目を閉じて、呼吸を整える。


意識を身体の内側へ向けてみる。


すると――。



「・・・ん?」



ほんの僅かに。


胸の奥から、何かが流れているような感覚がした。


血液とも違う。


熱とも違う。


けれど確かに、自分の中に“何か”がある。



「(これ・・・か?)」



試しに、その感覚を右腕へ。


さらに拳へ。


ゆっくりと集めるように意識してみる。


すると拳の周囲で――。


ヒュウ・・・。


微かに、空気が揺れた。



「・・・お?」



さっきまでとは、明らかに違う。



「これ・・・もしかして当たりじゃね?」



そう感じた俺は、人形に向かって拳を構える。


このまま本気で放つ。


・・・いや、それはまずい。



「(待て待て・・・これ、本気でやったら訓練室ごと壊れないか?)」



さっきはただ殴っただけで、人形を粉々にした。


今度はそこに、明らかに何かしらの力が乗っている。


さすがに嫌な予感がする。



「(よし・・・加減しよう。かなり加減しよう)」



拳に集めた力を抑えながら、標的へ向ける。


そして――。



「《暴風拳》!!」



ドンッ!!


凄まじい衝撃と共に、人形が一瞬で吹き飛んだ。


そのまま背後の壁へ激突し――。


ガラガラッ・・・。



「・・・」



人形が消し飛んだ先。


壁には、見事な穴が空いていた。



「あっ・・・壁に穴が空いた・・・加減したのに・・・」



思わず固まる。


かなり抑えた。


本当に、抑えたつもりだった。


その時。


『12203点!!』



「・・・ん?」



表示板へ視線を向ける。


【12203】



「おぉ・・・さっきよりかなり上がったな」



さっきが6748点。


今回は12203点。


単純に考えても、ほぼ倍近い。



「(ってことは・・・今のはちゃんと能力として成功したってことか?)」



壁に空いた穴と、自分の拳を交互に見る。



「・・・なるほどねぇ」



どうやら。


俺の予想は、当たっていたらしい。


その瞬間――。



『《武神無双》を使用せずに《暴風拳》を放ちました。《武神無双》を使用しますか?』


「・・・ん?」



突然、目の前に半透明の画面が浮かび上がった。



「なんか出た・・・ステータス?ゲームでよくあるやつ?」



触れてみると、画面は俺の動きに反応して表示を切り替える。


どう見ても、ゲームでよく見るステータス画面だった。



「マジであるんだ、こういうの・・・」



気になって自分の情報を開いてみる。


そして、真っ先に目へ飛び込んできた数字に思わず声が漏れた。



「レベル《9999》・・・やっぱり、設定通りだ・・・」



創作していた頃に自分で決めた数字。


それが今、現実のものとして目の前に表示されている。


さらに下へ視線を移していく。


――ステータス――


STR(筋力):9,200

本気を出す必要がほぼ無い。必要な瞬間だけ“通る力”が出る。


AGI(敏捷):9,300

速さではなく「先にそこにいる」タイプ。


DEX(器用):9,500

武器・機構・環境を問わず最適解を引き当てる。


INT(知力):9,800

戦術・設計・因果理解。考える前に正解を踏む。


PER(感知):9,900

世界の歪み・意図・伏線を察知する。


LUK(運):9,999

運ではなく「結果が都合よく確定する」。



「・・・」



俺は無言で画面を見つめる。



「高いのは分かる・・・分かるんだけど・・・」



比較対象がない。


レベル9999なのだから弱いわけがないのは理解できる。


けれど、この世界でこの数字がどれほど異常なのかまでは分からない。



「(てか・・・さっきの《暴風拳》って《武神無双》無しだったんだよな?)」



ちらりと壁を見る。


そこには、加減して放った一撃によって空いた大穴。


そしてスコアは12203点。



「・・・これ、《武神無双》使ったらどうなんの?」



興味が湧く。


めちゃくちゃ湧く。


しかし同時に、壁の穴が嫌でも視界に入る。



「・・・いや、待て」



俺はもう一度、訓練室を見回した。



「これ以上やったら・・・普通に訓練室なくならない?」



能力の使い方を覚え始めたばかりだというのに。


今度は別の問題が浮上していた。



「えーと・・・確か《武神無双》の能力は・・・」



俺は記憶を辿りながら、ステータス画面に表示された《武神無双》の項目を開く。


そこには、かつて自分で考えた能力の詳細が並んでいた。


――《武神無双ぶしんむそう》。


あらゆる武術・体術・武器術を、極限まで修得した状態で扱う能力。


剣術、槍術、弓術、格闘術、暗器術。


武器の種類を問わず使用でき、たとえ初めて手にした武器であっても、まるで何十年も使い続けてきたかのように扱える。


さらに、一度見た武術は即座に理解・習得。


相手の癖、重心、呼吸、筋肉の動きから次の行動を読み取り、その瞬間に最適な対応を選択する。


戦闘中も技術は継続的に最適化され、戦えば戦うほど動きは洗練されていく。


達人が数十年かけて辿り着く境地へ、一瞬で到達することすら可能。


そして――。


純粋な技量勝負において、自分より格上の相手は存在しない。


ユウライの近接戦闘能力を支える、中核能力の一つ。



「・・・」



読み終えた俺は、しばらく無言になる。



「いや・・・待て待て」



もう一度、最初から読み返す。



「これ使えばいいだけだったじゃん」



さっきまで必死に、


技名を叫ぶのか。


イメージなのか。


身体で感覚を掴むのか。


そんなことを一人で試行錯誤していた。


だが《武神無双》を使えば、少なくとも戦闘技術に関しては――全部解決する。



「俺さっきまで何してたん・・・?」



静かな訓練室に、俺の虚しい声だけが響いた。


そして視界の端には、先ほど《暴風拳》で開けた壁の大穴。



「・・・先にステータス確認すればよかったぁ・・・」



転生して早々。


自分自身の設定に振り回されている気がしてならなかった。

ついにスキル解禁(?)が出来ましたー色んなスキルあるから、早く書きたい!!

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― 新着の感想 ―
素の能力だけでもとんでもないのに、スキルまで乗ったら完全にチートじゃないですか!? でも、先にステータスを確認せずに試行錯誤しちゃうあたり、意外とうっかりさんなのが主人公の方のユウライさんの弱点かも…
 一通り公開分読みました。自分の考えた世界に入り込むのは創作者の夢ですよね……!まだ登場人物は出そろっていないようですが、今後どういった仲間が出るか、そしてどういった一面を見せるのか楽しみにしています…
Xから来ました! 最新話まで読ませてもらいましたが、とても読みやすく、主人公のワクワク感がよく伝わってきました。 自分が思い描いていた世界に入り込めたら、きっと楽しいのでしょうね(^o^) ブックマー…
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