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断罪された悪役令嬢ですが、追放先の辺境で静かに有能さがバレていきます ~誰にも褒められない仕事をしていたら、気づけば居場所ができていました~  作者: すずり


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第73話 仕組まれた混乱

 北方領の空は重かった。


 煙はまだ上がっている。


 制度役人が殺された。


 それだけで、この出来事は単なる暴動ではなくなる。


 私は言う。


「現場を確認します」


 マルクが頷く。


「護衛は俺がつく」


 私たちは村の端へ向かった。


 焼けた建物。


 焦げた木材。


 そして。


 倒れている一人の男。


 裁定官。


 まだ若い。


 私はしゃがみ込む。


 目を閉じる。


「……記録します」


 ルーカスがすぐに筆を走らせる。


「死亡時刻、推定一刻前」


「外傷は刃物」


 私は傷を見る。


 一撃。


 迷いがない。


「素人ではありません」


 マルクが低く言う。


「訓練された動きだ」


 私は頷く。


 そして、周囲を見る。


「目撃者は」


 一人の村人が震えながら言う。


「黒い外套だった」


「顔は?」


「……見えない」


 ルーカスが呟く。


「典型的ですね」


 私は立ち上がる。


「誰かが混乱を作っています」


 マルクが言う。


「問題は誰だ」


 沈黙。


 そのとき。


 北方侯グレイウッドが近づいてきた。


「結論は出たか」


 私は言う。


「これは偶発ではありません」


「当然だ」


 彼は即答する。


「地方の怒りはある」


「だがここまで整ってはいない」


 私は彼を見る。


「つまり」


「誰かが火をつけた」


 短い言葉。


 重い事実。


 私は言う。


「王都」


 グレイウッドは頷く。


「お前の敵だ」


 沈黙。


 私は思考を整理する。


 制度が始まった直後。


 地方で反発。


 同時に暴動。


 裁定官殺害。


 ここまで揃うのは。


「意図的です」


 ルーカスが言う。


「しかも」


 紙を見せる。


「各地で同様の報告があります」


 私は目を見開く。


「各地?」


「はい」


 彼は淡々と言う。


「南部、西部でも小規模衝突」


「すべて暫定裁定絡み」


 マルクが低く言う。


「……同時だな」


「ええ」


 私は答える。


 つまり。


 王国全体で。


 制度が揺らされている。


 私は静かに言う。


「狙いは」


 ルーカスが答える。


「制度の失敗を証明すること」


 グレイウッドが笑う。


「そして断罪を復活させる」


 私は言う。


「誰が得をする」


 沈黙。


 そして。


 答えは一つだった。


 マルクが言う。


「中央だ」


 私は頷く。


「制度を潰したい者」


 そして。


 その顔が浮かぶ。


 王城。


 議場。


 あの男。


「宰相……ローデリック」


 空気が変わる。


 グレイウッドが言う。


「ようやく名前が出たか」


「知っていたのですか」


「疑っていただけだ」


 彼は肩をすくめる。


「だが」


 私を見る。


「これで確信に変わっただろう」


 私は頷く。


「はい」


 静かに。


 確実に。


 敵が定まった。


 マルクが言う。


「戻るぞ」


「王都へ」


 私は一瞬だけ村を見る。


 煙。


 怒り。


 混乱。


 制度はまだ弱い。


 だが。


「逃げません」


 私は言う。


「当然だ」


 マルクは短く答える。


 グレイウッドが言う。


「面白い女だ」


 そして背を向ける。


「王都で決着をつけろ」


 私は馬車へ向かう。


 制度は地方で試される。


 だが。


 本当に壊すべきものは。


 最初から決まっていた。


 王都。


 そして。


 権力。


 馬車が動き出す。


 王都へ。


 最終決戦へ。


 物語は。


 終わりに向かって加速する。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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