第68話 第三の制度
国家審理の議場。
三つの証言が終わり、空気は重く沈んでいた。
断罪の闇。
制度の未熟。
秩序の現実。
どれも否定できない。
沈黙が続く。
やがて王太子が言う。
「制度提案者」
視線が私に集まる。
「最後の意見を述べよ」
議場が静まり返る。
私はゆっくり立ち上がった。
「断罪制度」
沈黙。
「必要です」
ざわめきが広がる。
侯爵が目を細める。
私は続ける。
「マルク騎士団長の言葉は正しい」
視線がマルクに向く。
「暴動は止めなければならない」
「怒りの出口は必要」
沈黙。
「ですが」
私は続ける。
「断罪だけでは足りない」
議場が静まる。
「公開審査だけでも足りない」
少し間を置く。
「だから」
机に一枚の紙を置く。
「第三の制度を提案します」
ざわめき。
侯爵が言う。
「何だ」
私は言う。
「暫定裁定制度」
議場がざわめく。
「断罪の速さ」
「公開審査の記録」
その両方を持つ制度。
私は続ける。
「事件発生時」
「まず暫定裁定を行う」
紙を示す。
「暫定責任者を決定」
「秩序維持のため即時拘束」
侯爵が言う。
「断罪と同じだ」
「違います」
私は答える。
「暫定です」
沈黙。
「その後」
私は続ける。
「公開審査を必ず行う」
議場が静まる。
「証拠を確認」
「責任を再評価」
「冤罪なら解除」
マルクが小さく言う。
「……二段構え」
「はい」
私は答える。
「第一段階」
「秩序維持」
「第二段階」
「正義確認」
沈黙。
侯爵が言う。
「暫定責任者は誰が決める」
私は答える。
「三名評議」
紙を指す。
「騎士団」
「行政官」
「記録官」
三つの視点。
侯爵が黙る。
王太子が言う。
「利点は」
私は答える。
「暴動は止まる」
「誤りは修正できる」
沈黙。
「断罪は終わる制度」
「公開審査は遅い制度」
私は続ける。
「暫定裁定は」
少し間を置く。
「続く制度です」
議場が静まり返る。
エリオナが言う。
「記録は」
私は頷く。
「必ず残る」
彼女は小さく笑う。
「いい制度」
沈黙。
侯爵が言う。
「理想論だ」
私は答える。
「だから」
少し間を置く。
「国家審理で検証してください」
議場が静まり返る。
王太子がゆっくり立つ。
「提案は受理する」
ざわめき。
「国家審理は」
沈黙。
「最終裁定に入る」
議場の空気が張り詰める。
王国の制度が。
今。
決まろうとしていた。
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