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断罪された悪役令嬢ですが、追放先の辺境で静かに有能さがバレていきます ~誰にも褒められない仕事をしていたら、気づけば居場所ができていました~  作者: すずり


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第60話 暴走

 王都拘束三日目。


 私は小さな執務室にいた。


 牢ではない。


 だが、外出は禁止。


 議会関係者との面会も制限。


 実質的な隔離だった。


 机の上には、これまでの公開審査の記録。


 紙の束。


 制度の骨組み。


 だが。


 外の世界は動いている。


 扉が開く。


 入ってきたのはマルクだった。


「報告だ」


 彼の顔は険しい。


「東区で公開審査が再開された」


 私は顔を上げる。


「誰が」


 沈黙。


「ミレイア」


 胸が重くなる。


 彼女はまだ若い。


 制度は未完成。


「止めなかったんですか」


「止めた」


 マルクは短く言う。


「だが」


「若手貴族が支持した」


 つまり。


 改革側が自分で動いた。


 修道領。


 議場。


 ミレイアが壇上に立っている。


 顔は青い。


 だが声は張っている。


「公開審査を開始します!」


 群衆がざわめく。


 彼女の後ろには若手貴族数名。


 だが。


 セシルもアデルもいない。


 慎重派は止めた。


 それでも彼女は来た。


「断罪制度に戻る必要はありません!」


 言葉は強い。


 だが空気は違う。


 前回の再犯事件。


 被害者の怒り。


 それが残っている。


「今回の案件は——」


 書類をめくる。


「倉庫火災の責任問題」


 ざわめき。


 被害は大きい。


 複数商人の財産が燃えた。


「犯人は」


 群衆が叫ぶ。


「断罪しろ!」


 ミレイアは言う。


「まず記録確認を——」


「またそれか!」


 怒号。


「時間をかけて逃がす気か!」


 石が飛ぶ。


 壇上の机に当たる。


 ミレイアの手が震える。


 それでも言う。


「公開審査は続けます!」


 だが。


 群衆の怒りは強い。


 誰かが叫ぶ。


「証拠はある!」


 紙が投げられる。


 倉庫管理人の名前。


 責任者。


 火災原因。


 だが。


 記録はまだ確認されていない。


 それでも。


「犯人だ!」


 怒号。


 群衆が前へ出る。


 ミレイアは一瞬迷う。


 そして。


「暫定責任者として拘束!」


 その言葉が出る。


 公開審査の手続きではない。


 断罪でもない。


 だが。


 衝動的判断。


 群衆が歓声を上げる。


 「やっと裁いた!」


 その瞬間。


 セシルが議場に駆け込む。


「ミレイア!」


 だが遅い。


 拘束された管理人が叫ぶ。


「違う!」


 だが群衆は聞かない。


 秩序は戻った。


 一瞬だけ。


 その夜。


 王都拘束室。


 私は報告書を読む。


 最後の一行。


『倉庫火災は後に自然発火の可能性が高いと判明』


 沈黙。


 制度は失敗した。


 しかも。


 今度は。


 **改革側が誤った裁きをした。**


 マルクが言う。


「止められなかった」


 私は静かに言う。


「私が止めるべきでした」


 だが。


 私はここにいる。


 制度は、作った人間がいないと揺れる。


 それが証明された。


 窓の外。


 王都の夜は静かだ。


 だが。


 議会ではすでに新しい議題が準備されていた。


『公開審査制度による誤裁定』


 嵐は、さらに大きくなる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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