表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された悪役令嬢ですが、追放先の辺境で静かに有能さがバレていきます ~誰にも褒められない仕事をしていたら、気づけば居場所ができていました~  作者: すずり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/79

第50話 公開審査

 三日後。


 王都中央議場は、再び満席だった。


 今回は断罪ではない。


 「暫定公開審査」


 被審査者は、南区市場の暴動扇動容疑者三名。


 名は伏せられず、罪状も明示される。


 私は中央に立つ。


「本審査は三段階で行います」


 ざわめき。


「第一段階:事実確認」

「第二段階:責任分散評価」

「第三段階:最終処分」


 侯爵は腕を組んでいる。


「時間がかかる」


「はい」


 私は認める。


「ですが、即断罪よりも記録が残ります」


 第一被審査者が前に出る。


「私は煽られただけだ!」


 群衆がざわめく。


「誰に」


 私は問う。


 男は一瞬ためらう。


「……貼り紙だ」


 記録係が書き留める。


 貼り紙の文言が読み上げられる。


 同じ語尾。


 同じ言い回し。


 セシルが小さく言う。


「筆跡一致」


 場が揺れる。


 責任は一人ではない。


 拡散経路が記録される。


 第二段階。


「扇動源の特定」


 資料が提示される。


 資金の流れ。


 印刷所の契約。


 裏に、ある商会の名が浮かぶ。


 侯爵の側近がわずかに顔を動かす。


 私は気づく。


 だが、今は触れない。


 第三段階。


「処分」


 沈黙。


「拘束ではなく、公開奉仕」

「再発防止講習への参加義務」


 どよめき。


「軽すぎる!」


 叫び声。


「断罪しろ!」


 私は正面を見る。


「断罪はしません」


 ざわめきが広がる。


「責任は分散し、記録されます」


 審査終了。


 群衆は完全には納得していない。


 だが。


 暴動は起きていない。


 それが事実。


 議場の外。


 マルクが低く言う。


「持ったな」


「ぎりぎりです」


 私は答える。


 だが。


 その夜。


 セシルが急ぎ足で戻る。


「問題が発生しました」


「何が」


「印刷所の商会が、レヴァン侯爵と繋がっています」


 空気が止まる。


「証拠は」


「間接的だが、十分怪しい」


 アデルが震える。


「暴動は意図的に?」


「可能性は高い」


 つまり。


 侯爵は、断罪の必要性を“実演”した。


 私は目を閉じる。


 もしこれを公表すれば、王国は割れる。


 隠せば、断罪論が強まる。


 マルクが言う。


「どうする」


 重い問い。


 秩序を守るか。


 真実を出すか。


 私は、ゆっくりと目を開ける。


「証拠を固めます」


「公表は?」


「まだしません」


 セシルが息を呑む。


「なぜ」


「今出せば、王家が巻き込まれる」


 侯爵は保守派の象徴。


 ここで暴けば、内乱に近づく。


 沈黙。


 マルクが静かに言う。


「汚い世界だな」


「ええ」


 私は小さく笑う。


「でも、断罪よりはましです」


 悪役令嬢は、生贄ではない。


 今度は、記録する側。


 だが。


 秩序を守る者と、変える者。


 その境界は、薄い。


 王国は静かに揺れている。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ