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My Best Friend〜この世界の奇跡〜  作者: 心井菜城愛
進級、最終学年
42/43

○後は任せた○

○飛悟side○

テニスコートを競技用物置にする為に用意をしていると白いアホ毛が上下にふよふよしているのが石垣の下から見えた。


「あ!大稀!まだ終わってないぞ」


そう声をかけ返って来た言葉に俺は唖然とするしかなかった。


「後の仕事は任せた」


意味がわからない。いつもの擦り付けかと思いきや、「おーい!実況担当ー!!集合ー!それ以外は帰れー!」と体育科主任の声が聞こえそれでか、とやっと理解する。

言われた場所に戻るなり、愛と妹が待っていた。


「………遅い。何してる」


「兄貴のバーカ。探した時間返せ」


と口々に俺に罵声を浴びせながら。

淡々と体育主任と数学主任が話を進め、放送生徒役員の愛沙が隣で話を聞いてはメモをして、それを終わるまで繰り返していた。それからしばらくしてなんとなく聞いていた話が終わった。

五分後。階段に腰掛けてたら愛が隣でブツブツと実況用の選手紹介を読む練習をしていた。


「桜木そら、坂根ひしゃと………むう」


「ぶっ、なんで噛むんだよ。いっつも呼んでんじ…………」


「だってだって、フルネーム、久しぶりだし……!!」


「……久しぶりって」


「5、6年ぶりくらいかな……」


なんて会話していた。でも何も噛み噛みにならなくても。

ただ、何の瞬間、どのシーンをとったとしてもこんなに馬鹿みたいなこと言い合って笑うなんて一瞬しかないように最近は特に思う。


「にしても、今日は愛の割に喜怒哀楽があるな」


「………母さんがね、帰ってきてるんだよ。今日も、見に来てた」


「そうか。……って、もうこんな時間か」


時計はちょうど六時を指している。つられるように愛は時計の方へ向いた。

そして、愛は「帰ろっか」と言い立ち上がって制服の埃をパンパンと叩いて払った。


「じゃ、おばさんに心配掛けないようにしないとな」


「別にいいよ。心配なんて……しょっちゅうかけてるし」


「そうか?……でもまぁ、大事な一人娘なわけだし?心配掛けちゃだめだ」


それから愛は何も言わなかった。

愛や悠由の家はまぁ言えば親が片方……母親しかいない。だから余計に心配掛けちゃいけない気がしてた。

ま、愛の家は歩いて五分だが。

……あっという間に家に着いて、手を振る彼女を見送っていると、声に気づいたのかおばさんがドアから顔を出していた。


「あらー!飛悟くんじゃないのー!お久しぶり」


「どうも、ご無沙汰してます」


「……母さん……まだ、いたの」


「嫌そうだなぁ!これから内職取りに行くんだよー。」


なんて愛とは正反対のおばさん。でも、彼女(あい)は嫌そうだけど、ちょっぴりうれしそうだった。

明日良い天気になるといいな。

この家の2階の窓から吊るしてある照る照る坊主をみてそう思った。


翌日。幸い、天気は良く暑いくらいの晴天だった。

長ったらしい開会式の後すぐ大縄跳びから競技は始まる。

ズルズルと縄を引きずってスタート位置にもってこられる。

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