○夏の終わりと文化祭○
○舞夏side○
テニスコートに着くと試合が始まる。
大稀によれば相手は地方でも首位らしい。バドとは違いテニスはシングルは少ないから一回戦が大切な試合らしい。
……………それから40分弱。
3セット中2セットを取られ試合は終わった。
泣きそうな目で必死に笑顔を作る飛悟。負けちまった、といつもの彼なら泣きながらでもそう言ってただろう。でも今は何も言わなかった。
「…………行ってくる」
愛沙は立ちあがり出口へ向かう。見失ったらまた大変だから私があとを追う。
「……お疲れ様」
と、言う愛沙の声が聞こえる。
多分こうなんだろな、アイツが泣かなかった理由は、と納得しメールを送って皆のところから体育館へ戻った。
☆
「皆、ただいま」
割と軽い表情の飛悟といつも通りの愛沙が戻ってきた。
ほら、と綾がコートを指を指す。
「これからは吉昭が活躍する番だ」
…………長い長い試合が終わった。
………結果吉昭はベスト14だった。
応援席の見える角度に走ってくると、ぐっと涙をこらえ、言葉を発す。
「ありがとう…!!応援してくれた皆さんに、戦ってくれた人々に感謝します…!!!」
悔しいんだろうな。誰よりも。
そりゃ、飛悟だって悔しいはずだ。私は?私や綾や唯や亜利は?
悔しいとかあるのかな……。解らないけどコンクールの日は愛沙だって悔しかったんだろうな。
………みんなで揃って家路に向かう。
ここまで沢山の感情があった。
悔しい、悲しい、もっとやっていたかった。
そんな風な感じを引きずる私の背中を愛沙がバンっと叩く。
「ったぁ………なにす………」
「らしくない顔、してんじゃねぇ」
愛沙の台詞にわれに帰った。
そして、「うん」とだけ返事をした。
これからは進路を決める時期。一度は悩む時期。色んなことが不安になってしまう時期。難しい時期。
例えそんな時期でも皆となら、なんとなく乗り越えられる気がした。
本当に信じ合える、仲間達がいるから。
なんとなく、大丈夫って少しだけ思えた。
☆
夏が終わり、秋が来た。
体文祭の文化の日の昼休み。
午後はいわゆる全生徒参加方のゲームをする。
「来たよ。毎年恒例、ジンクス絵合わせゲーム。」
そう綾が言う。
そうだねぇと言いながら愛沙を……………。
いない。
「いないんだけど!?なんで!?」
「教室戻った。夏休み前のみたいなのはごめんよって言って。」
「あの小娘は本当にもぉぉぉ」
手間を掛ける奴だ。
と、教室に戻ろうとすると「僕ら………あ、用事がぁぁぁ」と叫ぶ聞きなれた声。




