○面倒な事件でもいつもの話○
○綾華side○
あの二人はあんな感じでいい。関係の形は変わっても全然大丈夫。そう確信を持てた。
次の日、面倒な事が早速私らの元にやってきたのだ。
それは放課後。3時間授業で部活は13:05から、という、変わったスケジュールの日。
今の時間は11:50。あと1時間くらい、時間を潰さなければならはい。
「やほ、来たぜ」
飛悟と后也と亜利がやってきた。
こっちこっちと私ら以外いない教室に招き入れる。
わーい、と飛び跳ねる亜利。その後ろから后也が着いてくる。
そして、何か言おうとした愛沙がふっと視線を逸らす。
私は何も言わず教室をぐるっと見渡す。すると入り口付近で女生徒と飛悟が喋っている。不安げにチラチラとコチラを見る。
えぇっとえぇっとと断ろうとしているが断れない。
「あ………う、え?ちょ…待ってよ…………ぅえ?」
「いいですからいいですから♪」
─────ガタン
愛沙が立ち上がる。それからあ…と考えそっと座り直した。
「愛沙?どうし────……」
「──う…っ、うぅ……う…ひっく…………うぅ……」
「あ、愛沙ちゃん!?え、ど、どどうしたの!?」
隣にいた吉昭が愛沙の背中を摩する。その最中にも愛沙の涙は止まる様子はない。
「……………馬鹿だな、飛悟は」
「そうね。………でも、幸せ者ね」
「しゃあない。」
「私らが、行くしかないね」
大稀と私と亜利と舞夏と后也であいつが行ったであろう場所に忍び足で向かう。
…………………着いたのは中庭。
やっぱりと私は睨む。
本人はというと、ずいずいとあの女の子に押されてる。どうしようにも出来ない状況。
よし、と作戦を決め、決行する。
「あ、飛悟はっけぇん♪」
舞夏が何気なく近寄り「あ、今取り込み中?」と聞いた。
そして、「『彼女』が困ってるみたいだけど?」と不意打ち。
「あの、取り込んでるんで……」
「ほら、飛悟、言えよ」
舞夏の笑顔の威圧をかける。流石に飛悟も負けたのか「あ、そのお俺かのじ────」と言いかけた中、私と大稀と后也でよいしょっと首根っこを引っ張り上げる。
「のわっ!!殺す気かって……お前ら…」
反対に向いた飛悟が目を丸くする。
「じゃあさっきの舞夏のは……」
「え、本当だよ?今、よっしーと唯が宥めてくれてるよ。」
とりあえず何かを考えるとまた教室に走って行った。
「こうしてやんないと、あいつも不器用だしなぁ」
大稀がそう呟く。
確かに。上手く愛沙の気持ちに気づいてやれなくて、いつもこうなってた。本人だってどことなく寂しそうになってる。
それで、さっきの自分の台詞が脳裏で蘇る。
『今、一番側にいて、撫でてやって、抱きしめてやるべき相手がいるんじゃないのか。』
私は何言ってるんだろう。いつも不器用なあいつに少しでも愛沙の気持ちを気づかせるには良いチャンスだ。




